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既報の通り、米国議会でオンライン規制法案(SOPA / Stop Online Piracy Act)が議論をされています。
この法案はインターネットでの著作権侵害への対処を目的としたものですが、DNS遮断という強行な対応を盛り込まれていることから、言論の自由を阻害するのではないか、恣意的な運用が行われるのではないかと反対の声が大きくなっています。ゲーム業界でも多くの開発者や企業が声を挙げています。一方、著作権侵害への対処はコンテンツ業界が切望しているものでもあり、ゲーム業界団体のESAは法案を主導する団体の一つです。
当初18日にも下院で採決することを賛成派は目指しており、反対派は打倒規制法案を目指し盛り上げてきました。数多の反対署名が集められ、既報の通り任天堂、ソニー、エレクトロニック・アーツなど当初は賛同していた企業がそれを取り下げるケースも目立っています。賛成企業は不買運動のターゲットとなっています。
Red 5は抗議のため、オンラインゲームの『Firefall』のサービスを採決予定日の18日の1日間は停止すると発表。2000万ユーザーを達成した『Minecraft』のMojangも賛同し、『Minecraft』もサービスを停止することに。また、「Major League Gaming」も同様の抗議を実施する予定。さらにRed 5は法案に賛成するESAへの抗議として同団体が主催するE3への出展も取り辞めたとのこと。
反対を呼びかける企業も続々。『ヘイロー』シリーズのバンジーは「広い意味で我々のコミュニティを傷つけることになる」と指摘。Nvidiaの広報責任者は「ESAから政治的な立場について相談されたことはない」と断った上で、「法案は海賊行為を止める適切な方法ではない」と反対の立場を表明。Epic Games、Riot Games、Trion Worldsなども同様の立場を明らかにしています。
しかし2日前になって下院の司法委員会のLamar Smith委員長は「様々な業界団体との協議の結果、DNSのブロックという対処を法案から除く」ことを発表。大きな前進がありました。
さらにオバマ大統領のホワイトハウスは声明を発表し、現行のままの法案は受け入れられず、議会を通過したとしても拒否権を発動する事を示唆しました。
声明では、全ての法案はあらゆる利害関係者の立場を反映したものでなくてはならず「著作権侵害と戦う行為が、合法的な活動を検閲のリスクにさらすものや、大小さまざまなダイナミックなビジネスモデルの革新を阻害するものであってはなりません」と指摘。また、法案が私権をいたずらに強調し、スタートアップや革新的な企業に不当な訴訟を可能とするような不透明な内容であってはならないとしています。また、DNSを操作することはインターネットの根幹を破壊する行為に繋がるのではないかと懸念を表明しています。
そして「著作権侵害への対処は単に法律だけの問題ではありません。私たちは、全てのコンテンツ制作者とインターネットのプラットフォーム提供者が集い、オンラインでの著作権侵害を減らすための自主的な対策や最良の方法を模索することを期待しています」とし、法律だけでなく、実質的な前進を目指すために事業者間での取り組みが一層求められるとの認識を示しています。
この声明により一旦は沈静化する方向と考えられますが、賛成派は採決を延期した上、修正案を作成する方針で、今後も目が離せません。(ソース: )
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