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国内では4月25日より発売が開始される『バイオショック』シリーズの最新作『バイオショック インフィニット』。本作の開発指揮を務めるのは『バイオショック 2』とは違い、初代『バイオショック』でディレクションを務めたゲーム開発者ケン・レヴィン氏と同氏率いるゲームデベロッパーIrrational Gamesです。人々の心を掴んでやまない世界観と物語を考えだすケン・レヴィンとは一体何者なのか? 前回、前々回では『バイオショック インフィニット』ゲーム内の情報に焦点を当てましたが、今回の記事ではIrrationalとレヴィン氏の過去を振り返りつつ、同氏が本作へ込めた思いを追っていきます。
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名作『バイオショック』を作り上げたゲーム開発者は、1966年にダイアモンドショップを経営していた夫とその妻の間に生まれ、ニュージャージー州バーゲン郡のアッパーサドルリバーという町にて育ちました。その子供時代をレヴィン氏は自ら決して誇れるわけでは無いナード(オタク)な過去だったと複数のインタビューにて語っています。
「ローガンの逃亡(2300年未来への旅)」からフィクション小説に熱中し「X-Men」を崇拝。部屋にひきこもりでTRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」やアバロンヒル社のボードゲーム「Luftwaffe」や「Panzer Blitz」をプレイ。初めて手に入れたビデオゲーム機は、誕生日にプレゼントされたAtari 2600。ビデオゲーム文化が開花する黎明期に訪れた、誰もが羨むような贅沢で貴重な少年時代は、レヴィン氏にとってはナードで孤独な青春でもあったようです。
当時は自分の気持ちを表に出す事は苦手。コミックやゲームや小説、自分の好きな物にばかりに没頭する暗い情熱を持ち、外見も中身もまさにナードな少年だったとレヴィン氏は言います。家族からは理解されていたものの、学校では迫害の対象に。毎朝いじめっ子がやって来ては授業前に何度も酷く腕を殴られるような体験を受け、そんな攻撃に対し当時の幼きケン・レヴィン氏は、脳内で創りあげた妄想復讐劇にて対抗していたそうです。心に針がチクリと刺さるような憂鬱なナードの青春。しかし彼がナードとして育ったことが、後のゲームデベロッパーの道へと繋がることになります。
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青年になったケン・レヴィン氏は気心の知れた仲間たちを作ることができ、2人の友人と共に初年時代と比べるとまっとうな生活を送るようになります(ガールフレンドは3人の中で唯一出来なかったそうですが)。安息のナード生活を送る中、15歳の時にレヴィン氏に転機が訪れます。当時サマーアートキャンプに参加した同氏は、顧問の勧めで最後の演劇の脚本とステージを任されることになるのです。ここでレヴィン氏の書いた劇は大受けし、同氏はキャンプ内で一躍スターとなりました。
この出来事がきっかけで演芸に興味を持ち、ニューヨークの超難関校ヴァッサー大学のドラマ学部に入学したレヴィン氏は、後にゲーム開発でも発揮されるストーリーテリング、芝居や脚本などについて学んでいきます。ここで彼の才能が瞬く間に花開いたのか、同大学がホストを務めるパワーハウス・シアターのワークショップ公演にてプロのライターに才能を見出されたレヴィン氏は、そのプロライターからハリウッドのエージェントを紹介されます。卒業後はロサンゼルスに居を移し、同氏は2本の映画製作に脚本として関わることに。彼が後にゲーム業界へと足を進めなければ、映画監督あるいは脚本家ケン・レヴィンの名を我々は見ていたかもしれません。
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しかし自身の納得のいくような映画脚本を書けないことに不満を感じ、また当時同居していた友人に誘われて行ったシアターフェスティバルにて感銘を受けたレヴィン氏は、数年を経てニューヨークへと戻ることになります。帰郷したレヴィン氏の目に止まったのは、幼い頃から今まで好きだったゲーム。とあるゲーム雑誌に載っていたLooking Glass Studiosのデザイナー募集の広告でした。
ゲーム業界に足を踏み入れるケン・レヴィン氏、この時29歳。ゲーム開発経験は一切ありませんでした。
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Looking Glass Studiosに採用されたケン・レヴィン氏は、マサチューセッツ工科大を中退したゲームデザイナーDoug Church氏に教えを請いながら、名作『Thief: The Dark Project』の開発に携わります。過去のインタビューにてレヴィン氏は、作り上げた要素を破棄することを恐れず、唸るようなアイディアも投げ捨ててしまうChurch氏の姿勢には多大な影響を受けたと語っています。
その姿勢は現在のケン・レヴィン氏とIrrational Gamesにも受け継がれているでしょう。例えば今作『バイオショック インフィニット』のマルチプレイヤーに関しては、40以上ものデザインをテストし中には良いものもあったものの、基準のクオリティに達していないため全て破棄したことが明らかにされていました。実際、今作にマルチプレイヤーが搭載される予定は今のところありません。
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Doug Church氏の下でゲーム開発を学んでいたレヴィン氏、しかし『Thief』の製作には半分しか携われることが出来ず、他のスタッフと共に別のゲーム開発へと回され、さらにそのプロジェクトもキャンセルになってしまいます。この時、一緒にこのプロジェクトに回されたJonathan Chey氏、さらにもう1人のRobert Fermier氏が意気投合し、3人で独立してIrrational Gamesを設立することになります。
鬱憤としたナードな青春時代、脚本や劇を学んだ青年時代、そしてLooking Glass在籍時代、3つのピースがカチリとハマり、FPS史における名作でありIrrationalの処女作『SystemShock 2』が1999年に誕生します。Looking Glass Studiosと協力し(※1)完成したこの作品は、初代から続くボイスログや密閉空間の恐怖感、狂気的なキャラクターとホラー演出、キャラクター育成などのRPG要素などなどを高い完成度で纏め上げたSF-FPSでありました。初代『SystemShock』を除けば、『SystemShock 2』はケン・レヴィン氏が開発した『バイオショック』シリーズに続く元祖的な存在となっています。
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※1: 初代『SystemShock』はLooking Glass Studiosの作品。Irrationalの処女作は元は新作だったものの、EAの意向により『SS』の続編を開発することが決定した。またLGSは独立したIrrational Gamesにゲームエンジンやスタジオスペースなど貸し出し支援している
■ストーリーテラーの天才が手掛けるシリーズ最新作『バイオショック インフィニット』
Irrational Gamesは『Freedom Force』や『SWAT 4』、『Tribes: Vengeance』といった作品を経て、再びケン・レヴィン氏が指揮を取った『SystemShock 2』の精神的続編『バイオショック』を2007年に発売します。壁に写る影、血まみれの床、凶器を持って倒れた死体、オーディオログから聞こえてくる狂気の歌声。その周囲の要素から本筋を伝える巧妙なストーリーテリングと深く掘り下げられた空想世界、ゲームである事を逆手にとったプロットなどは、2007年当時コンソール展開も上手くいき、国内外で大きな称賛を浴びることになります。
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そしてスタジオ間の事情や『バイオショック 2』の発売(同作にはケン・レヴィン氏は関わっていない)などを経た2013年今年、ついに6年ぶりにケン・レヴィン氏が手掛ける最新作が帰ってくることになります。同氏は過去にインタビューにて、『バイオショック インフィニット』は『バイオショック 3』としては見ていないものの、それでも『バイオショック』シリーズの作品であると語っていました。ランボープレイからハッキングマスターまで様々なゲームプレイを許容するRPGとFPSの融合。先述した空想世界の構築。その世界観に依存仕切らない魅力的な人間たちの物語。ビッグダディやリトルシスターが登場せず、新たな世界観やキャラクター達が登場しても、ケン・レヴィン氏と『ショック』の名が付くタイトル達が培ってきた要素は最新作『バイオショック インフィニット』へと受け継がれています。
【製品情報】
タイトル: バイオショック インフィニット
発売元: テイクツー・インタラクティブ・ジャパン/2K Games
ジャンル: アクションアドベンチャー
対応機種: PlayStation3/Xbox360
発売日: 2013年4月25日発売予定
価格: PlayStation3版 7,770円(税込)
Xbox360版 7,770円(税込)
CERO表記:: D
公式サイト: http://www.bioshockinfinite.com/ja
タイトル: バイオショック インフィニット
発売元: テイクツー・インタラクティブ・ジャパン/2K Games
ジャンル: アクションアドベンチャー
対応機種: PlayStation3/Xbox360
発売日: 2013年4月25日発売予定
価格: PlayStation3版 7,770円(税込)
Xbox360版 7,770円(税込)
CERO表記:: D
公式サイト: http://www.bioshockinfinite.com/ja
(C)Take-Two Interactive Software, Inc. Developed by Irrational Games. BioShock, BioShock Infinite, Irrational Games, 2K Games, Take-Two Interactive Software and their respective logos are all trademarks of Take-Two Interactive Software, Inc. All rights reserved. All other trademarks are property of their respective owners.
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