ゲーム開始時にシード値に基づいた世界が構成され、さらに進む度にワールドが自動生成されていく『Minecraft』。ほぼ無限に思える同作の世界ですが、実は技術的な制限によりファーランド(Far Lands)と呼ばれる水平方向における世界の果てが存在することがかつては知られていました。この碧落の地を追い求め歩み続けているのが、海外の『Minecraft』プレイヤーKurt J. Mac氏です。
2011年3月28日に『Minecraft』を購入したMac氏は、木を叩き折りいくつかのアイテムをクラフトした後、その日の内にある単純な目標をかかげて歩き始めました。それは「世界の果てに到達する」という内容。当時はおよそ1年かそこらで終わるだろうと考えていたMac氏ですが、3年が過ぎた現在も同氏のマインクラフトガイは歩みを続けています。
世界の果て「ファーランド」とは、公式ブログにて開発者Mrkus"Notch"Persson氏も触れた約1万2,000キロメートル以降に現れるワールドのことで、異常な形状の地形が生成されるなど様々なプログラミング上のバグが発生し、最終的にはマシンに高負荷がかかりクラッシュしてプレイが不可能になるとされている地域。すでにバージョン1.8にて消えてしまったこの「ファーランド」ですが、Mac氏はバージョン1.7.3の『Minecraft』を現在も使用しています。
Mac氏が相棒ウルフィーを初めて見つけたシーン。後にウルフィーが消滅してしまった際にはMac氏と多くのファンが悲しんだが、次のシーズン冒頭で再び現れた
Mac氏がおよそ180時間で歩いた距離は仮想空間上で約700キロメートル。3年をかけたにしては移動距離が少ないようにも思えますが、Mac氏はこの大長編の旅のために護身用の剣を作り出し、モンスターが徘徊する夜には避難所に逃げ込み、またコンパスを持って正しい方向へ向かっているかどうか確認するなど、機械的に移動するのではなく本物の旅さながらに進んできました。もちろんチートや座標移動は使用せず、Modも導入していません。
またMac氏は旅の模様をカットせずに全て撮影した映像シリーズ「Far Lands or Bust!」をYouTube上に投稿しており、その総エピソード数はすでに300回以上に到達。エピソード32で相棒となったオオカミ「ウルフィー」と行く旅は人気を博し、毎エピソードが数万回以上の再生回数を記録しています。自由な遊び方が出来る『Minecraft』ならではの遊び方と言える「Far Lands or Bust!」ですが、現在のペースでは1万2,000キロメートルに到達するにはあと22年が必要で、現実世界の偉業と同様にその偉大な記録を完遂するにはまだまだ時間がかかりそうです。