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3月7日、PAX East 2015で開催されたインディーゲーム開発にスポットを当てたイベント「All the Feels: Empathy in Indie Game Narrative」のレポートをお届けします。このイベントには、インディーゲームに携わる5人の開発者が登壇し、ゲームの物語と共感性について語ったものです。
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Kickstarterプロジェクトからスタートした家族3人で開発されている横スクロールアクション『Ninja Pizza Girl』は、個人経営のピザ屋の娘が大手チェーン店が送り込む刺客をかわしながらピザを配達するという内容です。
忍者少女がピザを配達するという設定は、開発者のNicole Stark氏の十代の長女がピザの宅配アルバイトをしながらカンフーを習っているところから着想を得たそうで、子供達の共感を呼びやすいと考えたのだそうです。個人経営店が大手チェーンの圧力に屈せずに立ち向かうという構図は、いじめなどに立ち向かうという意味合いもこめられているとのことです。
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1人称アドベンチャー『Gone』は、Logan Harrington氏が大学の仲間と共に開発したもので、メンタルヘルスシミュレーターとしての意味合いが強いものだそうです。ゲーム内では精神病患者の視点となっており、その表現も実際の精神病患者を取材し忠実に再現しているものだそうです。
このゲームではプレイヤーは精神病を疑似体験できるものとなっていると述べられました。また、Harrington氏は、誰も精神病を患いたくないとは思うと前置きし、精神病患者の視点を体験することは人生において何かの役に立ってくると語りました。
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11 bit studiosのKarol Zajaczkowski氏が手がけた『This War of Mine』は戦争を描いたアドベンチャーゲームですが、主役となるのは兵士ではなく一般市民です。
戦場で逃げ延びた一般市民たちを描くこのアドベンチャーゲームは、架空の戦争でありながらも徹底的に戦争をリサーチした物語作りを行い、ゲームの中で起きる出来事、人々の感情をリアルに再現。プレイヤーがあたかも戦場でサバイバル生活しているかのように感じることができるそうです。
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開発者Justin Amirkhani氏が手がけた16bit風アドベンチャー『Always Sometime Monsters』は、プレイヤーの選択がゲーム内に生きるすべてのキャラクターに影響を与えていくゲームで、常に考え行動する必要があるそうです。
プレイヤーが取った行動により、他のキャラクターが犯罪に走ったり、死んでしまったりするといった他者との関わりを考えさせるものを目指したとのこと。Amirkhani氏は、ゲーム内にキャラクターのリアルな人生を作り出すことが目標であると語っています。
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『MURDERED 魂の呼ぶ声』などのシナリオを手がけるゲームシナリオライターのAnna Megill氏は、例えば暴力事件の物語を描く時、加害者と被害者の双方の感情をシミュレートする必要があると述べていました。観客の共感を呼ぶためには、一方的な視点だけではなくさまざまな視点の必要性を語りました。
ゲームの物語における共感性について語られた今回のイベント。ここで紹介されたゲームの多くはすでにリリースされているので、ぜひともプレイして作品に込められた意味や自身が何を感じるか確かめてみてはいかがでしょうか。
『Ninja Pizza Girl』は近日リリース予定、『Gone』は公式サイトから無料ダウンロードが可能、『This War of Mine』『Always Sometime Monsters』はSteamで販売中です。