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『ウィッチャー3 ワイルドハント』開発陣に再びインタビュー! 興味深いゲーム内容が次々と明らかに

ポーランドのデベロッパーCD PROJEKT REDが贈る、PS4/Xbox One向けアクションファンタジーRPGシリーズ最新作『ウィッチャー3 ワイルドハント』。延期を経て、完成が近づく本作の更なる詳細について開発者インタビューを行いました!

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『ウィッチャー3 ワイルドハント』開発陣に再びインタビュー! 興味深いゲーム内容が次々と明らかに
  • 『ウィッチャー3 ワイルドハント』開発陣に再びインタビュー! 興味深いゲーム内容が次々と明らかに
  • 「世界で最初にウィッチャー3をクリアした人物」とプリントされた本間氏のTシャツに注目。世界に1枚しか存在しないそう。
  • 『ウィッチャー3 ワイルドハント』開発陣に再びインタビュー! 興味深いゲーム内容が次々と明らかに
  • レベルデザイナーのマイルズ・トスト氏
  • 『ウィッチャー3 ワイルドハント』開発陣に再びインタビュー! 興味深いゲーム内容が次々と明らかに
  • 英語の翻訳担当ライター トラヴィス・カリト氏
  • 『ウィッチャー3 ワイルドハント』開発陣に再びインタビュー! 興味深いゲーム内容が次々と明らかに
  • ビジネスデベロップメントマネージャーのラファール・ヤキ氏


ポーランドのデベロッパーCD PROJEKT REDが贈る、PS4/Xbox One向けアクションファンタジーRPGシリーズ最新作『ウィッチャー3 ワイルドハント(原題:The Witcher 3: Wild Hunt)』。Game*Sparkとインサイドでは、最新の日本語版デモインプレッションも掲載していますが、国内発売元であるスパイク・チュンソフトにて、開発者インタビューも実施したので、その模様をお届け。数回の延期を経て、ようやく5月に発売が決まり、完成が近づく本作の更なる詳細を聞き出してきました。

※本記事にはストーリーのネタバレが一部含まれます。観覧にはご注意ください。


──それでは、まず自己紹介をお願いします。

ラファール・ヤキ氏(以下 ヤキ): ビジネスデベロップメントマネージャーのラファール・ヤキと申します。ゲーム内のカードゲーム「グウェント」も担当しています。

マイルズ・トスト氏(以下 トスト): レベルデザイナーのマイルズ・トストです。マップに関するプランニングやデザインを行い、様々なロケーションを作っています。

トラヴィス・カリト氏(以下 カリト): 私は英語のライティング担当のトラヴィス・カリトです。本作は5人のポーランド語のライターと私を含めた2人の英語のライターがおり、ポーランド語でオリジナルのライティングを行い英語に翻訳し、それを多言語に翻訳していくという形で執筆をしました。

本間覚氏(以下 本間): 本作の日本語ローカライズを担当している、スパイク・チュンソフトのローカライズプロデューサーの本間です。




──当初の2月から5月へと発売が延期しましたが、延期の意図と開発状況を改めて教えてください。

トスト: 我々は大きなパブリッシャーと違って1年に何本もゲームを出していません。本作も長い月日をかけて作っており、仮に2%のユーザーに満足してもらえないクオリティのものを発売して購入を控えられてしまったら、それは大きな損失になると考えています。そのため、常に100%の人が100%のクオリティのものを楽しんでもらえるようにと延期をしました。また、今回はゲラルトの物語が終わりを迎えるので、世界中のウィッチャーファンはより最高の形でゲームがプレイできることを待ち望んでいます。しかし、我々がそれを提供出来る機会は1回しかありません。そうした期待に応えたいという強い思いもありました。3ヶ月という延期期間において、主にゲームの調整やバグの修正などを行い、ゲームはより完成度の高い状態になりましたので、結果的に有意義な延期だったと考えています。




──それではゲーム内容について。レベルデザイナーさんから本作に登場する特徴的なロケーションを教えてください。

トスト: 一番広大なフィールドは、大都市ノヴィグラド(Novigrad)と荒野が広がる主無き地(あるじなきち/No Man’s Land)です。これらはローディングなしで自由に行き来ができ、プレイヤーはかつてRPGが達成したことがないような広さを冒険できると思います。レベルデザイナーとしてマップを作る際に意識していたのは、ぱっと辺りを見回した時に、自分がどこの地域にいるのか一目で理解できるようにするということ。地域ごとに大きく雰囲気を変えています。例えば、ノヴィグラドは貧富の差が激しい所で、お金持ちは豪華な家に住む一方で、貧困のスラム街では食事にも困るような人達がいる。表面上は街として機能していますが、地下世界に行くと色々な犯罪組織があり、そこでも物語が楽しめるようになっています。主無き地はニルフガードと戦争をしている旧テメリア領で、ノヴィグラドのような1つの巨大な街ではなく、小さな村々や街が点在している形になります。

見た目の違いでなく、地域ごとの歴史も異なるように作っています。主無き地は戦争からとても影響を受けていて、地域全体が飢餓に陥っている。そこにいる人々は陰鬱な雰囲気に包まれ、ゆえに今まで信仰していた神とは違う宗教に頼ってしまっている。彼らはよそ者に対して排他的な意識が強く、ゲラルトに対しても冷たいという設定になっています。


──武器や装備の種類はどれぐらいありますか?

トスト: 我々も把握していないぐらい多く、それぞれ見た目・名前・ステータスが個性的なものを用意しています。レアな武器や防具を見つけたり、それらを作るレシピを手に入れる「トレジャーハント」という、クエストなどもあります。クラフティングで作成する武器には、強力な物がたくさんあります。クエストをクリアしレシピを探して作成し、さらにアップグレードして強化するという感じになります。

また、各ウィッチャーの流派(狼流派、グリフィン流派、蛇流派など)に合わせたウィッチャー装備というものもあります。グリフィン流派の装備は印攻撃を強化、猫流派は錬金術のスキルにボーナス、ゴリゴリ押す人には少し動きが遅くなるけれど攻撃力が上がる熊流派など。自分のプレイスタイルに合わせたレアリティの高い武器や防具を集めるのも楽しみになると思います。ウィッチャーの装備は単なるアイテムではなく、それぞれの流派にまつわるクエストが用意されており、例えば熊流派の装備を獲得していく中で、過去にどんな熊流派のウィッチャーがいてどんな結末を迎えたのかということも知ることができます。


──ワイルドハントという存在は何者なのですか?

カリト: ワイルドハントは地域によって見え方が違います。海が近いバイキングのような人々が生活するスケリッチでは、ワイルドハントは死者の爪でできた巨大な船に乗って現れる奇怪な存在として現れます。逆に、ノヴィグラドなど大陸に住む人々にとっては、ワイルドハントは馬に乗って騎兵団のような形で登場する、非常にミステリアスな存在となっています。


──ゲラルトのヒゲが伸びるというのは本当ですか?

トスト: 本当です。ゲームの中で移動や瞑想をすると時間が経過し、それに合わせてゲラルトのヒゲが伸びていきます。ヒゲを剃るために大都市にある床屋に行って、髪型も変えることができます。16個の無料DLCの中でも新しい髪型を配信予定で、自分だけのゲラルトをカスタマイズできるようになっています。


──ゲームの難易度選択について教えてください。

トスト: 一番簡単なイージーを我々はストーリーと呼んでいますが、これは純粋にストーリーを楽しめるような難易度になっているためで、プレイヤースキルに関わらず楽しんで欲しいという意図を込めています。難易度はプレイ中いつでも変更ができます。




──本作のエンディングでは、36種類のワールド状態が存在するということでしたが、どれほどの違いがあるのでしょうか?

カリト: 大きく分けると3つの異なるエンディングがあります。加えて様々な状況が加味され分岐していくのですが、例えばニルフガードと北方諸国の戦争の勝者、誰が国の王・女王になったのか、キーとなるNPCの生死や関係性の変化などがあり、それらを合計すると36種類前後になるかと思います。ただ、36種類というのは主要なクエストの結果のみを反映したものであり、エンディングには直接影響しない膨大なサイドクエストの結末を考慮すると、本作のプレイ経験はもっと膨大な種類になるという感じですね。

複数のエンディングを用意しているのは、ユーザーの皆さんに全く異なるゲラルトの冒険を楽しんで欲しいという思いからです。エンディングもただスタッフロールが流れるというものではなく、プレイアブルな作りをしていて、それぞれのプレイヤーが、自分が行ってきた選択の結果を見て回ることができます。




──シリがプレイアブルキャラクターになると昨年発表がありました。 彼女でプレイできるシナリオボリュームはどれぐらいになりますか?

カリト: シリのゲームプレイパートは、このゲームにおける様々なキーポイントに登場します。通常プレイヤーはゲラルトを操作してシリを探し、情報を収集しながら冒険しています。その道中、シリの身に起きた出来事が明らかになるのですが、それを回想するようにシリのパートをプレイするという形になります。ボリュームとしては、5時間~10時間程度です。シリは幼少の頃からウィッチャーとしての訓練を受けているので、ゲラルトも使えないような能力を持ち異なるバトル感覚を体験できます。




──カードゲーム「グウェント」について、成り立ちや勝ち方を教えてください。

ヤキ: 元々「グウェント」はゲームデザインに組み込まれておらず、開発後半になってからプロジェクトが始動しました。製作が決まる前からひそかにクエストチームに連絡を取り、全NPCのリストをもらい、ストーリーと上手く絡めてどのカードをどこで登場させるかを考えていきました。製作が決まり、仕様が定まってアートチームに「今からアートワークが200枚いるんだけど……」と相談すると、「正気か!」と言われてしまって(笑)。しかし、2人のコンセプトアーティストが3ヶ月程度かけ200枚描いてくれて無事完成に至りました。

勝ち方についてですが、最初に配られた手札の点数が相手の方が優っていても、そのラウンドだけではなく、次のラウンドや3ラウンド目を考えながらプレイすれば、自分の手札の点数が低くても十分に勝つことができます。どこで勝負するかが鍵になるので、あえて負けるのも最後に勝つためには必要な時もあります。少しの運の要素もありますが、なるべく運が悪いから負けるようなバランスにはならないように調整をしているので何度もチャレンジして欲しいですね。また、ストーリーを進めていくと色々なカードが手に入って自分のデッキを強化することができます。ただ、自分だけが強くなるのではなくNPCのデッキの強さも調整されるようになっているので、常にチャレンジングな戦いが楽しめるようになっていますよ。




──16個ものDLCを無料で配信していく方針を、あらためて説明してください。

ヤキ: 16個の無料DLC(武器や防具、クエストなど)を配信する計画になっていますが、フルプライスで購入してくれたユーザーに最大限の感謝をしたいというCD PROJEKT REDのポリシーがあって、無料で提供することになりました。有料のDLCを作るなら、ユーザーに納得して買ってもらえるよう、スタンドアローンとして遊べるぐらいの規模のものにしたいと思っています。




──ローカライズの際に何か苦労された点はありましたか?

カリト: オリジナルの原稿は、ポーランドの文化や習慣、書物や寓話がストーリーに深く組み込まれて出来上がります。ゆえに、そのままに直訳してしまうとポーランドの文化的背景が分からない人にとっては意味が分からなくなってしまう。そこで、例えばポーランドの歌が作中に登場したら直訳するのではなく、英語圏の子どもたちが歌うような歌に置き換えるなど、よりその国の文化に近づけてライティングを行いました。単純な翻訳ではなく、フルリライトで新しいテキストを作っているような感じでしたね。

本間: 私の場合、その英語のテキストを更に日本語に翻訳するので、いよいよ元がなんだか分からなくなってしまう。そのため、ポーランドの開発スタジオを訪れた時に、英語のテキストで分からない部分mについて、ポーランド語での意味を聞いたりして、出来る限りポーランド語の精神を受け継いでいるような文章を心がけました。彼らの開発スタイルは日本語を含めてすべての言語を同時にマスターを出していくというスタンスで、日本語に重きをおいて開発をいただいているのはとても光栄に思っています。


──CD PROJEKT REDの皆さんは、日本語版の声優の演技にどういった印象を受けましたか?

カリト: 英語版のゲラルトと比べると日本語版の方がハスキーな声をしていて一番最初は違和感を覚えたのですが、プレイしているとその違和感が全くなくなりましたね。

トスト: 私は元々日本語でプレイするのが大好きで、テストも日本語でやっていました(笑)。

ヤキ: 僕もすべての言語が選べるなら、日本語でプレイしたいと思います。もちろん他の言語のアクターの方々も素晴らしいのですが、日本では声優という職業がプロになっており、日本の声優たちは自分たちがゲームに声を当てているという意識がしっかりとあります。その有無はクオリティに影響しているのかなと。




──最後に、本作を楽しみにしているユーザーにメッセージをお願いします。

トスト: 剣と魔法の世界で愛する者を守るために戦うというゲラルトの物語は、日本人にも受け入れてもらいやすいと考えています。また、スタジオが胸を張って良い体験を提供できると言えるゲームになっているので、是非プレイしていただきたいですね。

カリト: 本作はゲラルトという1人の男性を中心とした人間ドラマを描いたゲームなので、原作や前作を知らなくても十分に楽しむことができますよ。

ヤキ: 実は本作を世界で一番最初にオープンニングからエンディングまで通しでクリアしたのは、ポーランドに来て開発チームと一緒にローカライズをしていた本間さんでした。彼を含め日本人のスタッフの心もたくさん込められている作品なので、本作の世界に存分に浸って楽しんでください。


──本日はありがとうございました。
《》

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