スマートフォンを主体としたモバイルゲームの勢力拡大および顧客嗜好の多様化に対応した既存市場の深耕や、新規顧客開拓による女性・ファミリー・高齢者の取り込みなどによる全体のゲーム人口の増加、年末商戦によって盛り上がりを見せた当期の情勢。
そのような中、カプコンは、開発コストの低減や開発期間の短縮を図るため、外部委託の削減による内作比率の向上などにより、開発プロセスや収益管理の改善などに取り組むとともに、多面的な収益展開を図るため、『モンスターハンター』や『ストリートファイター』などの優良なコンテンツ資産を活用した“ワンコンテンツ・マルチユース”戦略を推進。さらに、在庫リスクの回避や流通コストの削減を図るため、好採算のダウンロード販売の拡大に注力しました。
クリスマス商戦に向けて投入した目玉タイトル、ニンテンドー3DSソフト『モンスターハンタークロス』が好調なスタートを切ったことにより販売本数を伸ばし、売上増大のけん引する役を果たしました。また、成長余力がある中国において、テンセントとの提携により12月から配信開始したPCオンラインゲーム『モンスターハンターオンライン』が順調な滑り出しを見せ、今後の事業展開に期待が持てるとしています。
【期間】平成27年4月1日~平成27年12月31日
※()内%表示は、対前年同四半期増減率
■売上高:570億6000万円(19.3%)
■営業利益:106億400万円(9.0%)
■経常利益:106億4000万円(5.2%)
■親会社株主に帰属する四半期純利益:70億600万円(7.1%)
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
セグメント別に見ると、デジタルコンテンツ事業では、前述の通りニンテンドー3DSソフト『モンスターハンタークロス』が大ヒットとなり、当初計画の250万本を上回る300万本を突破するなど売上増大に大きく寄与。PS4/PS3ソフト『戦国BASARA4 皇』は定着したブランド力で底堅い売行きを示しましたが、ニンテンドー3DSソフト『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』は軟調に推移しました。一方で、リピート販売やダウンロード版が海外を中心に健闘しました。
オンラインゲームは、PS4/PS3/PCソフト『ドラゴンズドグマ オンライン』が堅調に推移したほか、モバイルコンテンツでは、iOS/Androidアプリ『モンスターハンター エクスプロア』のダウンロード数が累計300万件を超え好転の兆しが見えてきたとしています。
アミューズメント施設事業では、市場停滞が続く状況下において、中高年者を対象にゲームの無料体験ができるゲームセンターツアーやサービスデーの実施に加え、低年齢者向けに「あそび王国ぴぃかぁぶぅ」や「キッズコーナー」を増設するなど、女性や家族連れなど新規ファン獲得に努めましたが、目玉機種の不足や、スマートフォンをはじめとするユーザー層が重なる娯楽の分散化により弱含みに展開。また、「アミューズファクトリー常滑店」(愛知県)や「カプコンカフェ」(埼玉県)に開店と、1店舗の閉鎖により施設数は34店舗となりました。
アミューズメント機器事業では、パチスロ機部門において『バイオハザード6』が順調に販売台数を伸ばし収益を下支えしましたが、9月に投入された『アスラズ ラース』は軟調に推移。業務用機器部門においては、停滞気味の市場を反映して、『ルイージマンション アーケード』が弱含みに展開。カプコン初の業務用音楽ゲーム『クロスビーツレヴ』も苦戦を余儀なくされたとしています。
【期間】平成27年4月1日~平成27年12月31日
※()内は、セグメント損益
■デジタルコンテンツ:360億8000万円(97億600万円)
■アミューズメント施設:65億7800万円(4億5900万円)
■アミューズメント機器:130億9100万円(28億9500万円)
■その他(キャラクターコンテンツ事業など):13億1000万円(3億5400万円)
■調整額:(△28億1000万円)
■四半期連結損益計算書計上額:570億6000万円(106億400万円)
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
第4四半期には注目のPS4/PCソフト『ストリートファイターV』の発売が控えており、世界で200万本の売上を計画。また、年末商戦までに320万本の売上を達成している『モンスターハンタークロス』の好調が、年始商戦や年度末商戦を含めてどこまで持続するかにも注目です。
記事提供元: インサイド