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アレックス、ガイルに続く『ストリートファイターV』の追加ファイターとして、5月末にトレイラーを含む詳細が公開された「いぶき」。すでに必殺技など基本的な情報は披露されていますが、この度カプコンの東京オフィスにて、実際にプレイすることができたので、細かな仕様や対戦における感触をレポートします。
さらに、「いぶき」と同時で無料配信が決まった大型コンテンツ「ゼネラルストーリー」の詳細も本稿の後半でご紹介します。
「いぶき」技表はこちら。
■いぶきの基本的なプレイフィールは過去作そのまま
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『ストリートファイターV』のいぶきは、『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』や『ウルトラストリートファイターIV』から多くの通常技・必殺技がコマンドもそのまま受け継がれており、プレイフィールは大きく変わっていないというのが最初の印象です。持ち前のスピードをいかし、移動技や中段攻撃をからめて相手を撹乱しながら、多彩なターゲットコンボで一気にダメージを奪うスタイル。
一方で、過去作にあった「築地越え(623+P)」や「首折り(41236+P)」「旋(214+K)」「飛燕(421+K)」といった必殺技が無くなっているのも、旧いぶきプレイヤーは留意しておきたい点。「霞駆け(236+K)」の強が低空ジャンプのような技になっていたり、「EX雷打(63214+PP)」がわずかに前方移動したりと、ちょっとした性能変更も確認できました。
■大きく変わった苦無の仕様、一気投げや残弾補充も
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苦無一気投げ。空中からも発動可
最も大きな変更点は、飛び道具「苦無(くない)」の仕様です。コマンドそのものは236+Pで変わりないものの、新たにVゲージ横に「苦無」の残弾数(最大6つ)が表示されるようになり、63214+Kでいぶきがポケットから1本の「苦無」を補充します。これまでのように無限に飛び道具は使えず、多少の隙が生じる「苦無補充」を行い、いわば“在庫管理”を考えながら立ちまわる必要があります。
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隙が生じる苦無補充。キャンセル発動も可能なのだとか
また、過去シリーズのいぶきは空中のみでしか「苦無」を投げられませんでしたが、今作では地上でも発射可能に。さらにPボタンホールド後に離すと、手持ちの「苦無」をまとめて全部投げられます。加えて、Kボタンホールドで「苦無」を最大数までまとめて補充できるという仕組み。ただしこれには大きな隙が伴います。なお、通常空中では前方ジャンプ中にしか「苦無」を発射できませんが、Kボタンホールド後に離すとジャンプの方向に関わらず「苦無一気投げ」が使えます。
■爆弾を投げつける個性的なVトリガー六尺焙烙玉!
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六尺焙烙玉。方向キー入力で点火までの時間も調整できる
気になるVトリガーは、「六尺焙烙玉(ろくしゃくほうろくだま)」と名付けられた、爆弾を前方に投げる技。Vトリガー発動時に1個、さらにVゲージ減少中にVトリガー入力でもう1個投げられます。爆弾は一定時間が経つと爆発して近くにいる敵にダメージ。『ヴァンパイア』シリーズのレイレイよろしく、下段技をヒットさせると前に吹き飛ばせる他、いぶきの「EX苦無」ヒットで即座に点火させられるのも特徴です。
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飛び道具を打ち消せるVスキルの天雷
Vスキル「天雷(てんらい)」は、前方に移動しながら気を放出する打撃技。かりんの「明王拳」と似た技で、飛び道具を打ち消せる効果があるのも同じながら、発動のタイミングや立ち回りに組み込むには少々慣れが必要だと感じました。
■無敵技やめくり技も充実したテクニカルキャラ
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無敵技となるEX風斬り
最後に、対戦シーンにおいて重要と思える「いぶき」の要素をいくつかあげていきます。まず、いぶきには無敵技「EX風斬り(623+KK)」が存在するため、『ストリートファイターV』において命運をわけている、起き上がりの駆け引きや画面端での攻めにおいて、少なからず優位性があると言えます。
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身代わりの術のような演出のVリバーサル花霞(はなかすみ)
また、弱・中ジャンプキックいずれにもめくり性能があることに加え、「空中苦無」、空中ターゲットコンボ、そして通称“ムササビの術”「野衾(のぶすま)」による空中移動と、ジャンプをからめた技の選択肢が非常に豊富。やはり飛び道具のないキャラや、移動速度の遅いキャラに対しては、優位に戦えるのではないでしょうか。
細かい点ながら、『ストリートファイターIII』シリーズから存在する、しゃがみ強K→立ち強Kの伝統的なターゲットコンボが、立ち中Kからしか繋がらない仕様に変わっていました。
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ド派手な演出のCA花鳥風月
トレイラーでも見られたクリティカルアーツ「花鳥風月」は、ド派手な演出で合計43ヒットという数字を叩き出すのが特徴ですが、あっさりしゃがみガードされてしまうため、基本的にコンボに組み込んで使う必要がありそうです。
余談ですが、いぶきのペットであるタヌキの「どんちゃん」は、Vトリガー「六尺焙烙玉」の爆弾にはさりげなく顔が描かれているのでチェックしてみましょう。
■無料で提供される大型シングルコンテンツ「ゼネラルストーリー」
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オリジナルキャラクターも登場する
カプコンが無料ダウンロードコンテンツとして提供を予定している「ゼネラルストーリー」は、『ストリートファイター』シリーズ初、そして29年待ち続けたファン待望の本格的なストーリーが体験できるといい、全5部で構成される壮大な内容を用意。本稿では、ストーリー設定の概要と、その仕組みや位置づけを解説していきます。
■ストーリー
- 時間軸は『ストリートファイターIV』と『ストリートファイターIII』の間。悪の秘密結社シャドルーの野望とそれに抗うストリートファイター達の物語。新たな兵器、黒い月を開発したシャドルーは、その力を利用し世界を恐怖で支配しようとする。物語の「鍵」となる「ピース」を巡り、世界各地でファイター達の戦いが繰り広げられる。ベガ、ナッシュ、リュウ、春麗、ラシード……すべてのファイターの思いが交錯する中、ついに最後のバトルが始まる……! RISE UPするのは一体誰だ!?
■過去シリーズの謎が次々と明らかになっていく
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キャラクター同士の意外な関係も
悪の組織シャドルーを取り巻く物語が展開する「ゼネラルストーリー」では、過去シリーズでは描ききれなかった様々な謎が明らかになっていきます。既存のストーリーモードのようにキャラクターごとに用意されているわけでなく、様々なキャラクターたちが織りなす一本のストーリーを体験します。なお、ゼネラルストーリー」は物語の本編として、発売当時から実装されている「キャラクターストーリー」はそのサイドストーリーとして位置づけられており、これらを全てプレイすることで『ストリートファイターV』の物語を全て知ることができます。
ゲームプレイは、インゲームエンジンを使ったリアルタイムのドラマパートと、要所にCPUとのバトルパート(スキップ可能)をはさみながら進行。登場キャラクター達の台詞やアクションがゼネラルストーリー用に作り込まれており、対戦モードでは見られない彼らの表情や性格が豊かに表現されています。最初はナッシュの視点でスタートし、対戦もナッシュを使用しますが、次々と場面や使用キャラクターが変化し、敵であるシャドルー側のキャラクターを操作することもあります。
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ゼネラルストーリー上のオリジナルキャラと戦うことも
つまり「ゼネラルストーリー」では、『ストリートファイター』の世界観やバックストーリーを鑑賞しながら、それぞれのキャラクターを順番にプレイしていける構成で、何よりシリーズ初心者や新規プレイヤーにはシリーズの歴史やキャラクター達のバトルスタイルを学ぶ上でも導入的な役割を持っていると言えます。
■「ジュリ」「バイソン」「ユリアン」がプレイアブル!
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最新の追加キャラクター「いぶき」の姿も
既存のプレイヤーにとって最も注目すべきポイントは、まだ実装されていない三人の追加キャラクター「ジュリ」「バイソン」「ユリアン」が登場すること。CPU戦ながら実際にこれら新ファイターを操作できるというから驚きです。もちろん最新の追加キャラ「いぶき」をはじめ、既存のキャラクターもすべて登場する上、「ゼネラルストーリー」オリジナルのキャラクターも存在します。
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さらに、追加キャラクター6人が中心となるキーアートも初公開されました。まだ詳細発表されていない追加キャラ3人の姿も確認できます。過去に登場した際の容姿と少々異なるようだが、彼らはゼネラルストーリー上でどのように関わってくるのか気になるところです。
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全5部の壮大なストーリーが描かれる
カプコンによると、「ゼネラルストーリー」はリリースと同時に全5部がまとめて実装され、ゲームプレイのボリュームは、ドラマパートだけでおよそ2時間の内容とのこと。また、クリアすることで何らかの報酬も入手できるということです。
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