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Focus Home Interactiveから2016年6月18日にPC向けにリリースされた新作タワーディフェンスゲーム『Space Run Galaxy』。宇宙の運び屋をテーマとし、ユニークな要素を多く備えた本作のプレイレポをお届けします。
■合言葉は「Fast, Safe delivery」。ユニークなタワーディフェンスゲームの続編
2014年にリリースされたタワーディフェンスゲーム『Space Run』。同作は宇宙を舞台に、運び屋が海賊や隕石などの危険で満ち溢れた宙域を愛機で駆け抜けていく様をテーマにしたタイトルです。その場その場で上部構造物の組み換えが可能な、土台だけで構成された宇宙船を用い、砲塔やエンジン・シールドなどの各種の構造物を状況に合わせて建築し、敵に合わせ砲塔の角度を切り替えたり、構造物ごとに設定されたアビリティを的確に運用して、素早く、そして安全に積荷を目的地まで届ける。設定とゲーム性が上手く噛み合ったユニークでアクション性の強い作品でした。
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危険な惑星間の運び屋家業をテーマとした本作。土台だけで構成された宇宙船の上部構造物の組み換えがゲーム性と上手く合致しているのが魅力
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プレイヤーは運び屋なので、敵を倒すだけでなく、適度にエンジンを増設し、より早く積荷を目的地に届ける必要がある。もちろん敵機の飛来もこちらの速度に合わせて早くなる
その続編となる本作『Space Run Galaxy』は、ユニークなゲームプレイの多くをそのままに、オンライン要素を始めとした新たな要素を加えたものです。
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前作主人公“Buck Mann”。本作のプレイヤーは、彼が興した新興の輸送会社の1艦長としてミッションをこなして行くこととなる
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本作でもメインミッション間の掛け合いは健在。
「Fast, Safe delivery」。
宇宙最大手の輸送会社“Big Cargo”社のCEOのモットーであり、ゲームのテーマとも言える内容だ
■船の変更・改造を始めとした新要素
本作の新要素として大きなものが「船の変更と改造」。前作では構造物の土台となる船は積荷の位置こそ選べたものの、ミッションごとに固定でした。本作では多種多様な形状の船を購入し、その中から任意の船を用いてミッションに挑む形へと変更されています。購入した船には一定の範囲で土台を追加することも可能となっており、より自由度の高い戦略が楽しめるようになっています。
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船の変更、改造も可能となっている。改造では土台の追加だけでなく、
色の変更も可能なのは地味ながら嬉しいところ
また、前作ではメニュー画面から条件が完全固定のミッションを選ぶだけだったものが大幅に変化。全体マップが用意され、各々の星へと赴いてそこで輸送依頼を受け、依頼された物品を積み込んで目的地への航路に挑む形に変更されました。敵の出現パターン自体は航路によって固定ですが、同航路を用いる、積荷が異なった幾つもの依頼が用意されており、更にはそれらを同時に受託することで、任意に様々なバリエーションのミッションを楽しむことができるようになっています。航路自体の数も前作のミッション数と比べて大幅に増加しているので、一通りのプレイでも十分なボリューム感を味わえます。
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4種類の星系マップを股にかけ、幾つもの航路を攻略していくオープンワールド的なゲーム展開が本作の特徴
■ゲームの幅を更に広げるオンライン要素、しかし周回前提のバランスとなったのは玉に瑕
もう一つの本作のウリはオンライン要素の導入です。とは言えども、ミッションを複数人で協力して行う直接的なものではなく、装備の作成に使う素材アイテムの売買や、素材アイテムの別惑星への輸送依頼の作成と受託などの間接的なものに留まっています。
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オンラインを用いて他のプレイヤーに余剰素材の販売や輸送の依頼が行える
別惑星への物資の輸送依頼要素はゲームに用意された依頼と合わせ、更に多くのミッションバリエーションを作り出すことに成功していますが、この素材アイテムの輸送依頼や売買を活かそうとしたのか、本作ではゲームバランスが大きく変わることとなりました。前作では建造物はミッション中、リソースの許す限り無限に再設置が可能でしたが、本作では素材アイテムを集めてアイテムを作成した数までしか再設置が行えません。
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戦略の自由度そのものは高いが、その戦略を実現するには素材を集めて建築物の数を揃える必要が生じてしまっている。実に悩ましい
多くの砲台の設置方向の変更は再設置でなければ不可能であり、更に本作では建造物の修理にも専用の建築物が必要な制限が掛かったため、結果として十分な数の建造物を製造するまでは戦略が大幅に制限される形となってしまいました。素材アイテムはミッションの報酬としての入手である上に、個々の惑星ごとに保管されており、オンライン要素を用いない場合は特定の航路での周回を繰り返させられる傾向に拍車をかけています。
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各惑星の下部の数量の表示された青や赤アイコンが該当の惑星に保管されている素材数。
これらの素材を必要な場所に集めるためにはオンライン要素の利用や、特定ミッションの周回が必要だ。
好き嫌いが別れるところだろう
上記のような問題点を抱えてしまってはいるものの、ユニークなゲーム性をそのままに、大幅なボリュームアップを行い、ゲームプレイの自由度がより高くなった本作。前作を楽しんだプレイヤーはもちろん、タワーディフェンスゲーム好きなプレイヤーが本作から始めても問題なく楽しめる内容となっています。
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