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世界最大のPCゲーム『リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)』のプロリーグの一つ、北アメリカのチャンピオンシップシリーズ「NA LCS」。その中でも、デビューシーズンとなる前期「スプリングスプリット」でチーム名通りに無敗の成績を成し遂げた「Immortals」は、「優勝候補」の意味を超えるほどの注目を集めました。多くのファンから「世界への挑戦」を期待された彼らですが、セミファイナルではTeam SoloMidを相手に0勝3敗で敗北。そんなImmortalsは今回の「サマースプリット」で、チャレンジャーの立場から失われた座を取り戻そうと挑みます。
「サマースプリット」開幕から4週間が経った今、Immortalsは2位で奮闘中。7勝1敗という好成績の彼らを越えて首位に君臨するチームは因縁の相手、Team SoloMid。Game*Sparkは、そんなTSMで「世界最強のADC」の名を欲しいままにするDoublelift選手に引き続き、ImmortalsのMidレーナーEugene "Pobelter" Park選手に直撃取材。今大会のリーグ形式やチームの調整、現在のパッチやダイナミックキューシステム、更には「とある国でのバカンス」についてお話を伺いました。
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――サマースプリット開幕戦では、Cloud9を相手に2勝1敗で勝利していましたね。ご気分はいかがでしたか。
Eugene "Pobelter" Park選手(以下、Pobelter): やっぱりBO3になってから、プレッシャーは増したよね。3回の長い試合を終えて、まるでプレイオフ戦で勝ったような気分になった。まあでもそういう気持ちが好きで、楽しみにしているところもあるよ。思ってる以上にヤバいものが懸かってる、って感じがしてさ。
――NA LCSがBo3形式で行われるのは史上初のことですが、韓国などの海外リーグは昔からBO3でしたよね。Pobelter選手がおっしゃった「BO3のプレッシャーの大きさ」は、北米チームが世界大会で苦戦を強いられてきた要因の一つになるのでしょうか。
Pobelter: まあ、たぶんな。韓国代表相手に北米が劣勢になる理由は山ほどあるだろうけど、きっとそのうちの1つなんだろうね。
――特にImmortalsの試合で言えば、初のシリーズマッチは前回行われた白熱の対TSM戦でしたね。「試合前の準備工程がゲームに大きく影響するようになった」とおっしゃっていましたが、シーズン戦が最初からBO3で行われていたら、また違った結果になっていたとは思いますか?
Pobelter: そうだなぁ、よく分からないかも。僕らなんか、まったく同じ作戦のまま17戦も圧勝したこともあったから、シリーズ形式であろうと結果は同じだったかもしれない。思うに、僕らの敗因はこれまで続けてきたその手の戦術のせいだったんじゃないかな。他のチームよりも圧倒的なパワーを持つTSMにそういったスタイルは通用せず、チームは崩壊しちゃったし。
――その後は勢いを取り戻してTeam Liquidを破り、3位に落ち着きましたね。当時はあなたのプレイスタイルや、Huni選手がタンクをピックしない傾向が敗因として指摘されていたかと思います。今回のゲームでもHuni選手はタンクを選びませんでしたが、そのスタイルは少し変わりつつありました。現行メタにおけるImmortalsのスタイルについてはどう思いますか。
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Pobelter: 今のメタの中で十分プレイできると思う。実は、Huniは最近マオカイやタンクエコーとかをプレイしているんだ。僕たちのチームは状況に合わせてAPエコーをピックしたりして、その代わりにジャングラーをタンクにできる。ドラフトの流れ次第でね。
――メタが変動し、“強チャンプ”と呼ばれていたチャンピオンに大きな影響が与えられました。メイジアップデート実施からは、スウェインやブラッドミアなどが頭角を現しましたね。メイジチャンプを好む選手として、現在のミッドレーンのメタをどう見ますか。
Pobelter: タンキ―メイジが強くなっているんじゃないかと思う。射程が長いメイジより、1対1ができるタンキーメイジがピックされる流れになっているんだ。スウェインやブラッドミア、リーライ・クリスタルセプターを買うようになったビクターとかがね。そういう流行に関しては、僕はあまり好きになれないな。個人的には射程距離が大きい火力特化型チャンピオンが好きなんだけど、プロとしてはちゃんと仕事をしなければならないよね。
――他に変わった要素、例えばリフト・ヘラルドやドラゴンなどはゲームメイキングにどのような影響を与えたと思いますか?
Pobelter: スプリングスプリットでは、考えるまでもないと思ってドラゴンはほとんど無視してたんだ。でもこれからは、ドラゴンだけじゃなくリフト・ヘラルドだってもっと優先しなければならないと思う。対Cloud9戦では、ヘラルドのバフがかなり強烈だった。大差で勝ってたはずのHuniが、ヘラルドのバフのせいで対面のトランドルとまともに戦えなかった。バフの有効時間もすごく長いし。マジで強いよ、あれは。
――新ドラゴンについてですが、最強なのは「ファイアドラゴン」、最弱なのは「エアードラゴン」と多くのプレイヤーが考えているようです。Pobelter選手はどのドラゴンを優先的に考えていらっしゃいますか。もしくは、どのドラゴンも獲得を狙うべき存在と言えますか?
Pobelter: たしかに今のメタでは、「エアードラゴン」のバフの効果が薄いと思うんだよな。アサシンのチャンプが高速度でマップを回るゲームより、チーム全体でウェーブを押し続けて、徐々に目的へ進むゲームになっているから。そういったスタイルだと、移動速度のバフの影響は少ない。「エアードラゴン」以外はオブジェクトのコントロールに便利なんだ。「アースドラゴン」もけっこう強いと思う。
――どのドラゴンならアグレッシブにコントロールしていきたいと思いますか?
Pobelter: まあ、「エアードラゴン」だったらリスクのある戦いを避けて、代わりにトップのタワーを狙うかもな。
――それでは今シーズンのチーム構成について伺わせていただきます。今回、ほとんどのチームが出場メンバーを変更していますね。Immortalsは前シーズンで残念な結果に終わったにもかかわらず、スプリングスプリットと同じ構成のままでサマースプリットに挑んでいますが、今シーズンにおいてはどのように調整してきましたか。
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Pobelter: 練習試合で、前よりいろんなスタイルを試すことにしている。TSMに負けるまではずっと同じスタイルで練習してきたけど、さすがに「また同じ流れで負けちゃうかも」って気付いちゃった。だから、今はもっと気楽に、上達だけのために猛練習しているんだ。
――“気楽”でありながら“猛練習”というのは、勝ち負けにこだわらずに新しいスタイルを身につけようとしている、ということでしょうか。
Pobelter: そう、勝率の高い十分に叩き込まれた作戦より、勝てるかどうか分からないような、机上の空論めいたことを試してるよ。
――ダイナミックキュー導入の影響で、プロチームの練習はいろいろと大きな話題になっていますね。やはりダイナミックキュー機能の導入で、練習しづらくなったという批判の声が増加しているように見受けられます。長らく「ソロキュー・ゴッド」と呼ばれてきたプレイヤーの1人として、ダイナミックキューについてはどのような気持ちを抱いていますか。
Pobelter: やっぱり好きじゃないな。ソロキュー、もう今までみたいに“ソロキュー”とは呼べないだろうが、あれは以前から劣化し続けていると思う。個人的には、シーズン3開始までのEloシステムがベストだった。LPシステムへの変更はあまり気にしなかったけど、ピックの順番がランダムになったことが嫌だった。ランクの高いプレイヤーでもチームメイトにポジションを取られてしまう試合はある。とは言え、ポジションを選べるようになったら、プロとしては更に嫌気が差した。僕は大抵ミッドを譲れられるんだけど、味方のサモナーネームに「Mid」って書いてあれば譲る気になっちゃうんだよね。まあ、自分が勝手にやってるってだけの話なんだけど。サーバー移動でピングが上がっちゃったこともよくなかった。最近はトーナメントサーバーでプロリーグを行っているんだけど、それはまあまあ具合が良い。少しだけソロキューでランクをまわしてみたこともあるんだけど、普通に良い感じだった。マッチングを待つ時間はたしかに削られた感じがする。オートフィル機能は未だに経験せずに済んでる。まあ、5試合しかしてないからこれから気が変わるかもしれないけどね。
――というと、昔の方式に戻してしまえば良いとお考えですか?現在のリーグシステムは競技シーンに悪影響を及ぼしてしまうのでしょうか。
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Pobelter: 確かにそうだろう。プロはみんなソロキューからの生え抜きなんだぜ。ソロキューとデュオキュー、ロール選択無しにしてくれたらうれしい。けど、やっぱりロール選択はなくならない。今のシステムでずっと我慢するしかないだろうな。Huniから聞いたんだけど、韓国ではデュオキューにだって批判の声が上がっているらしいんだ。味方のボットレーンがデュオキューのペアに当たっちゃったらボコられるだろう。韓国のコミュニティーはもともと不満げだったのに、更に逆方向に調整されてしまった。Inven(韓国のゲームサイト)じゃあ激しいコメントが飛び交ってるらしい。ネットカフェのゲームランキングで言えば、『オーバーウォッチ』に追いつかれちゃうかも。ライアットは全部把握済みだと思うし、彼ら自身が何をやっているのかも分かってくれているといいんだけど…。
――この件について、プロとライアットの間では何らかのやりとりがありましたか?
Pobelter: まあ、別に何も隠してなんかいなかった。問題は向こうの反応の遅さだね。ダイナミックキュー導入からすぐに「このままじゃいけない」と分かっていたのに、今に至るにまで数ヶ月かかってる。
――LCSや世界大会の練習には、プロ用のリーグだけで十分とお考えですか?
Pobelter: 正直、あのリーグはなくなっちゃうだろうなって思うんだ。なんか雑な感じでさ。本当のマッチメイキングじゃないから。こういうプロリーグは昔から何度も作られたことがあってね。でも今のソロキューがこの体たらくなら、今回のリーグは定着するのかも。
――プロ用リーグはNA LCSとNAチャレンジャーシリーズの選手で行われているわけですね。
Pobelter: マッチメイキングがない以上チームバランスが作りにくいっていう問題がある。この間のゲームなんか、相手チームにBjergsen, Doublelift, Huniがやってきて、あと二人も相当強いNA LCSプレイヤー選手だったんだ。味方はチャレンジャーリーグ選手とADキャリーのSvenskeren。まともな試合ではなかったなー。プロリーグにも問題アリだよ。
――サマースプリットが始まり、世界大会をかけたレースがさらに熱くなってきました。今のNA競技シーンにおける自分たちの実力を、どう思いますか。
Pobelter: Cloud 9はHaiがいなくなったけど、韓国で更に力をつけたように見える。彼を失ったら崩れるんじゃないかと思ったのに、なかなか手強そうだ。TSMとは未だスクリムしたことがないわけだが、彼らも上達しただろう。僕らの実力はTSMに近いだろうな。様子見ってところだね。
――「俺達こそ最強!」という感覚だった前シーズンとは大違いですね。
Pobelter: あの時はスクリムで全チームをボコボコにしていたからさ。みんなとはまだ対戦していないし、強気なことは言えないよな。
――多くのチームが韓国のブートキャンプに行っていましたが、Immortalsはチームハウスで練習を重ねてきたのでしょうか。
Pobelter: ぶっちゃけG2をフォローして休暇を取ったんだ。Adrian選手は実家に帰って、みんなとは別行動。僕はと言えば、実は日本に行ってたんだ!このインタビューって日本のサイトに掲載されるんだろう?僕、姉ちゃんと友達と一緒に日本を旅行してたんだよ。
――そうだったんですね!どこに足を運ばれました?日本での滞在ではどんなことを楽しみましたか。
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Pobelter: 東京と大阪をそれぞれ6日間ずつ訪れてた。楽しかったのは……そうだな、すし屋でおいしいおまかせコースを食べたんだ。奈良の依水園というところにも行った。近くのお寺で巨大な大仏も見た。奈良公園を歩いてシカを見たけど、ライム病にかかっているんじゃないかと思って近寄らなかった。印象に残ったのは、何もかもがきれいだった。街を掃除してる人もいたしさ。ソウルやロサンゼルスとサンフランシスコ、どこよりもきれいだった。あとは、酔っ払いの数にも笑えた。到着した日の夜の渋谷駅で、道の真ん中に酔い潰れた人がいたよ!日本は楽しくて、きれいで、とても歴史のある国だね。それに電車はマジ最高だったよ。新幹線は特に。まあ、日本はやっぱいいよなー。
――最近は日本人プロ選手とマッチメイキングで当たったりはしますか?昔はよく配信中に見かけましたが。
Pobelter: ほとんどは韓国サーバーでプレイしていると思うな。最近はあまり見ないけど、まだ覚えてるプレイヤーはいる。7th heavenの……確か、Eviっていう選手だよね。あとはDetonatioN FocusMeのCeros。彼らは覚えてる。実は秋葉原に行ってLJLが行われている会場を見に行ったんだけど、閉店で入れなかったんだよね!
――本日はありがとうございました。今後の健闘を祈ってます!