
AMDは、2017年4月14日に都内で、新製品のCPUである「Ryzenシリーズ」と、グラフィックカードの新製品「RX 500シリーズ」に関する国内向けの記者説明会を実施しました。
この発表会では、まず日本セールスマネージャーのHideaki Suezaki氏が登壇。同氏はZenコアを搭載したRyzen 7シリーズが3月3日に発売してから、ユーザーやメディアからの注目度が大きく、雰囲気が変わったと感じていると強調しました。また、4月11日に国内で「Ryzen 5」が発売されたものの、下位モデルの1500X/1400の2モデルが国内調達の関係で延期したことを改めて説明し、4月15日から発売すると述べました。


さらに日本AMDは、日本の市場を重要視していることを強調し、他社のプロセッサーに対抗すべく「Ryzen 7」と「Ryzen 5」を筆頭にRyzenシリーズをリリース。さらにユーザーからの要望などに耳を傾けていくつもりだと語ります。またRyzenに限らず2017年は、日本AMDにとって今後も沢山製品を投入する予定であるので注目して欲しいと話しました。

■Ryzenラインナップの解説
続いてAMDのプロダクトマーケティングマネージャーのDon Woligroski氏が登壇しました。Woligroski氏は、ZenアーキテクチャーのRyzen 7 1700が、IntelのCPUアーキテクチャーkabylakeより高速なプロセッサーである事を説明、Ryzen 7のラインナップ(1700、1700X、1800X)では8コア16スレッドで構成されている点を述べました。
また大成功を納めたRyzen 7のラインナップですが、対応している市場は比較的小さなもので、それ以外にも300ドル程度のCPU市場があるとのこと。300ドル程度のCPUを購入するユーザーの市場は2倍程度いると言われており、4コア4スレッドのCPUを持っているユーザーに破壊的な変革をもたらしたいとしたCPUが「Ryzen 5」であると語ります。


「Ryzen 5」は4つのモデルを導入し、そのうちの2モデルは6コア12スレッドで構成され、残りの2モデルは4コア8スレッドです。これによって競合であるCore i5のCPUと同じかそれ以上のパフォーマンスを実現しています。また、このような高パフォーマンスのモデルにアクセス出来なかった人たちに、優れたパフォーマンスを提供できることにとてもわくわくしていると述べ、コーディングやビデオのレンダリング、圧縮、そしてゲームなどを嗜むユーザーに優れたパフォーマンス改善をもたらす事が出来ると語ります。ゲーミングに関しても、DirectX 12やDirectX 11においても4コア4スレッド以上の能力をフルに活用出来ます。

Ryzen 5 1400は、Ryzen 5シリーズの中でも最も手頃な価格体系の製品となりブーストクロックは3.4GHzですが、XFR機能に対応したCPUクーラーであればそれ以上に高クロックにすることも可能。また1500Xは、XFRと優れた冷却機構を持ち合わせればプラス200MHzまでも高められます。

Ryzen 5に同梱されるCPUクーラーは、AM4ソケットに対応した全く新しいモデルを開発。1600/1500Xのクーラーは、物理的にRyzen 7 1700のクーラーと全く同じものですが、一番の違いはLEDライトの有無で、Ryzen 5 1400に使われているWraith STEALTHクーラーは最も音が静かでプロファイルが小さいベースクーラーとなっています。

マザーボードでは、AM4プラットフォームが、DDR4メモリーとPCI-E Gen 3、NVMe/USB 3.1 Gen2/SATA、Athlon/7th Gen APU/Ryzenで構成。チップセットは、X370とB350、A320、X300、A300の5種類で揃えられており、X370とX300、そしてA320とA300の違いはUSB 3.1 Gen 2の有り無しです。

ゲーミング分野に関しては、既存のタイトルに対応アップデートが配信された後、パフォーマンスが『Total War: WARHAMMER』で11%、『Ashes of the Singularity』で33%、『Dota 2』で15%向上しています。それに加えて、ソケットAM4側でのアップデートでは、4月11日にBIOS側でDDR4 3200をサポートし、HPETタイマーの無効化、Windows向けのRyzen最適化のパワープランによって更なるパフォーマンスを引き出せると解説しました。また、前述の要素を合わせることにより『Counter-Strike: Global Offensive』において最大で57fpsのフレームレート向上にも貢献しています。

またラインナップを紹介するスライドでは細かな説明がなかったものの、「Ryzen 3」の文字も掲載。最後にWoligroski氏は、「ミッドレンジのプロセッサーに対して人々の期待値を変えるような開発であった」と語り、Ryzenの解説を締めくくりました。
■Radeon RX 500シリーズの解説

続いてRadeon新製品となるRX 500シリーズのプレゼンテーションに移行。AMDのシニアマネージャーであるAntal Tungler氏が壇上に上がりました。同氏は、DirectX 12やVulkanのAPIや、VRプラットフォームの出荷台数の増加から2017年もPCゲームについてもっと良い年になると述べました。その中でPCゲーム人口は全世界で5億人いると言われています。

昨年GPUをアップグレードしたユーザーは僅か10%にとどまっているのは、古いGPUを使っているゲーマーが多いことを示し、VRに関してもスペック不足が予想されることからGPUを取り替えるのに最適な年であるということです。


PolarisアーキテクチャーのGPUは、最新のFinFET 14で構成され、高クロックへのチューニングやマルチモニターに対応します。そしてRX 580とRX 570、RX 560、RX550の4種類の新製品を発表しました。RX 580のスペックは、ベースクロックが1257MHzでブーストクロックが1340MHz、コンピュートユニットが36、8GBのGDDR5メモリーで構成されています。性能比では、R9 380より多くのフレームレートを稼ぐ1.8倍となります。


RX 570では、ベースクロックが1168MHzでブーストクロックが1244MHz、コンピュートユニットは32、4GBのGDDR5メモリーを搭載。RX 560では、ベースクロックが1175MHzでブーストクロックが1275MHz、コンピュートユニットが16、4GBのGDDR5メモリーを搭載。RX 550では1183MHzのブーストクロック、コンピュートユニットが8、2GBのGDDR5メモリーです。

RX 550でもゲームプレイにおいてフレームレートが向上することや、PhotoshopなどのアプリケーションにおいてもOpenCLアクセレーション機能によって大幅な速度アップに繋がります。さらにHDMI 2.0bやHEVCと4K解像度、HDR機能、ロープロファイル設計であることも強調しました。


また、2016年12月に発表した「Radeon ReLive」が、Twitchなどへのストリーミングやスムーズかつ低燃費な録画機能、H.264録画による4K解像度と30/60fpsであると改めて解説。「Radeon ReLive」にて配信された「RADEON Chill」は、ノインテリジェンスを持って動的にフレームレートを制御し電力消費や熱を下げ、ノートPCなどのバッテリーを持たせることを目的とした機能です。「Radeon Chill」とRX 560を適応した『League of Legends』では、43%の反応速度の向上、28%の低電力、7度の温度低下を実現しています。


最後にTungler氏はRX 500シリーズを改めて紹介し、Day 1ドライバーと「Radeon ReLive」、「Radeon Chill」、そして追加サポートをもって注目して欲しいと述べ、プレゼンテーションを締めました。
国内での発売時期に関してはRX 580/570が4月18日に、RX 550が4月20日より販売開始。RX 560が5月上旬に発売されます。
- ■日本での発売時期
Radeon RX 580: 2017年4月18日(火)
Radeon RX 570: 2017年4月18日(火)
Radeon RX 560: 2017年5月上旬
Radeon RX 550: 2017年4月20日(木)
国内での希望小売価格はAIBメーカーによって販売価格が異なるため提示されていませんが、グローバル希望小売は以下の通りです。
- Radeon RX 580: 8GB GDDR5 - SEP US$229、4GB GDDR5 - SEP US$199
Radeon RX 570: 4GB GDDR5 - SEP US$169
Radeon RX 560: 2GB GDDR5 - SEP US$99
Radeon RX 550: 2GB GDDR5 - SEP US$79
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