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4月25日から4月27日までの3日間、ネクソンの連結子会社であるNexon Korea Corporationが、ゲーム開発者の祭典、ネクソン開発者カンファレンス(Nexon Developers Conference、以下NDC)を開催しています。NAT Games グローバル企画チーム チームリーダー キム・ドングン氏の「モバイルゲーム『HIT』のグローバル展開における事後検証 既に韓国で成功した『HIT』を、グローバルで成長させるには」セッションのレポートをお届けします。
■『HIT』は1ビルドでグローバル展開が特徴
キム氏はNCSoftの『アイオン』でレベルデザイナーとして働いた後、別の企業にて企画チーム長を経験し、現在はNAT Gamesのグローバル企画チームリーダーに就任しています。過去には3作を海外サービスで運営した経験もあるとのこと。
『HIT』は、2016年7月7日に140カ国、1ビルドでローンチされ、アジア、北アメリカ、ヨーロッパの3地域にサーバーを用意してあり、国によりサーバーは近くのものに割り振られるとのこと。また、ゲーム内から任意のサーバーにアクセスできるようにもなっているとキム氏は語ります。対応言語は1言語を追加して11言語に対応しており、下半期にもさらに1言語を追加予定で、Unreal EngineのARPGで1ビルドでローンチしたことが1番の特徴だとしています。
『HIT』のそれぞれのサーバーの中で、最もキャラクターの生成は国別で、アジアではタイ、ヨーロッパではデンマーク、北アメリカはアメリカが最も多かったとのこと。売上が高い国は、アジアでは台湾、ヨーロッパではフランスではあるものの、ドイツとほとんど変わらず、北アメリカはアメリカだそう。
アバターはハロウィンやSF、シドニーオリンピックや『アラド戦記』といったコラボ系のものまで用意されており、ハロウィンが最も売れたアバター装備。運営側としてはハロウィンアバターが最も売れるとは思っておらず、趣向が反映されたのか、アメリカでのハロウィン文化の根付きがあるためかは不明だそう。SF装備についてもあまり期待はしていなかったものの、同様に良い売上を記録してますが、サービス当初は「世界観に馴染まない装備を何故出さないのか」というような要望もユーザーから出ていたとのこと。一方、シドニーオリンピックのアバターは、予想に反して結果は全く振るなかった、とキム氏は様々な視点から分析していることが伺えます。
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■国ごとに特徴が分かれる課金形態
ユーザーが課金する対象については、召喚チケット(ガチャ)にフォーカスしていたものの、それ自体がユーザーにストレスを与えるとの結果が出たため、方向性を変化させたそう。韓国の場合は月初めに大量の課金が行われ、徐々に減少していくという傾向があり、ヨーロッパやアメリカではそういった傾向は見られず、韓国独自の傾向だとのこと。
『HIT』は月2~3回アップデートパッチを配信しており、アジア圏ではアップデートに反応してBAUが顕著に上がりますが、ヨーロッパ、アメリカ圏ではそういう傾向はなく、またアップデートが頻繁に行われることに対して疲れを感じており、一方アップデート間隔を空けると、アジア圏からはアップデートが遅すぎるとの意見が出るとのこと。『HIT』に限らず、グローバル展開されるタイトルでは同様の傾向が見られるとキム氏は予想しています。
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1ビルドのオープン前の方向性として、まずは1ビルドの必須要素を開発、その後システムとコンテンツは維持をするものの、企画データとして管理できるバランシングに集中するように決めたそう。エンジンのブループリント機能を活用してコンテンツのON/OFFを行って、データパッチのみでアップデートを管理。これらの仕様を全部含めてグローパルオープンまでの準備期間は3ヶ月だったそうです。
必須要素は大きく3つにまとめられ、1つ目は言語、11ヶ国向けの文章や映像・音声、翻訳、文字の大きさといったものです。2つ目は時差で、レイドなど特定の期間にのみプレイできるイベントなどが多く、またアップデートなども含みます。3つ目は離脱率で、Unreal Engineなため、ハイエンド仕様のタイトルがグローバルとしてリリースされているので、普及率に関しては韓国と差がありました。ARPGというジャンルや難易度も普及率が異なりました。
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■言語対応と容量問題の兼ね合い
言語については、携帯などのデバイスの言語を確認した上で当てはめ、当たらない場合は英語で対応するようにしています。イメージについては伝わらない場合もあるため、容量の問題との兼ね合いもありました。台湾は大きなマーケットだったため、台湾語だけは英語以外の言語として別途対応していました。グローバルサービスでは文字間隔が問題になり、タイ語やトルコ語は同じ言葉だとしてもかなり長く繋がるため、処理方法には悩んだそう。対処としては、決まった間隔で行送りをする、決まった間隔の中で文字サイズを変更すること。この2つで解決できなかった場合は、翻訳を修正する形を採用し、グローバル対応を行いました。
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時差に関しては、140ヶ国を対象にサービスを行っているため、例を挙げると、レイドは17時に入場できるコンテンツの場合は、サーバの設置位置ごとに設定されるため、時間のみをクライアントサイドで計算して、GMT(グリニッジ標準時)で制限をかけています。韓国からシンガポールサーバに接続する場合は18時にオープン、韓国からヨーロッパサーバの場合は夜中の12時にオープン、韓国から北アメリカでは6時とゲーム内で表記ができるようになっているとのこと。
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離脱率は、最も心配した部分は容量が大きいことによる追加ダウンロード区間における離脱率だったそう。対策として対応している10言語でWeb漫画を制作し、合計で70ページほど使用したもののあまり離脱率は変わらず、ムービーを使用したところ、ぐっと離脱率が落ちたとのこと。詳細は明かせませんが、追加ダウンロード区間はムービーを使用してくださいとおすすめしたいです、とキム氏が自信をもって語ります。
このような努力をして9ヶ月運営してきましたが、現時点で1,000万DL、76ヶ国のランキングで1位を獲得し、全体の売上順位でも、香港2位、ベトナム1位、タイ4位、台湾3位と好調な売上を記録しています。韓国の『HIT』における売上の約半分に達しているそうです。
■2017年、さらに飛躍させていきたい『HIT』
2017年の目標は、ライブサービス9ヶ月間で、全体的に韓国国内の指標よりも低いのは事実です。しかし、新規ユーザーの流入率は指標よりも300%以上の高い結果が出ていますし、同時に新規ユーザーの離脱を防ぐことも必要になります。さらに累積DL数が1,000万ですが、実ユーザー数は500万人です。残りの500万人はゲームのインストールができずに離脱してしまうようなことが発生しています。分割ダウンロードやSDカードの設置といった対策を考えています。2017年のアップデート計画としては、よりグローバル志向に見合ったシステムやアバターなどを開発できるように検討していきたい、とキム氏はセッションを締めくくりました。
この後、数分余裕があるとのことで、急遽Q&Aを行っており、会場のユーザーからも積極的に質問が行われていました。
取材協力:ネクソン