CI Gamesが開発・販売を行う『Sniper Ghost Warrior 3』。4月25日に発売された現代を舞台としたスナイパーシミュレーションのタイトルです。多くのタイトルがWWII付近をテーマにしていますが、果たして本作は現代に対してどうアプローチをしているのか、プレイレポをお届けします。
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■プロローグで基本的な操作を学ぶ
ゲームを開始すると、19年前の主人公、Jon Northと、弟のRobertを振り返るムービーが流れます。そして、23ヶ月前の話としてプロローグが開始。Robertとともに行動し、移動方法や隠れ方、弾の選び方といった基本的なプレイだけでなく、ドローンの操作や遮蔽物を利用したサポートスタンスでの射撃など、戦闘をしていくにあたって必要なプレイを実践を交えたチュートリアルとして行え、新しい行動が出るたびにTABキーでチュートリアルの文章が読めるのも便利です。ただ、プロローグとしてはあまりに長く、チュートリアルのために無理に色々と詰め込んだ印象を受けます。
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左がRobert、右が主人公Jon North
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17年経つとRobertも見事なオッサンに
■戦地では常に1人、相棒はいない
そして時は現在、ジョージアのど真ん中から車を運転してセーフハウスまで向かいます。途中危険そうなニオイのする場所も通りましたが、何事もなく通過できました。到着後はセーフハウスの設備4種、装備の交換を行うWeapon cache、弾薬やアイテムを作成するWorkbench、ミッションを開始するLaptop、そして時間を進めることのできるBedのチュートリアルを行います。装備系に関しては後述しますが、Bedがノーモーション、ノーウェイトで時間を進められることに関して、他のオープンワールド系で見られるような煩雑さは感じられず、非常に快適でした。
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車のフィーリングは良くも悪くもリニア、操作はしやすい
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簡素なベッドのUIでも、1分単位で寝る時間を調整できる軍人の鑑のような仕様
また、スカウトモードにすると足跡や血溜まり、引きずられた跡などが見やすくなり、それを追っていくとPoint of Interest(気になる場所、ゲーム中では?アイコンで表示)を解除できたり、死体や拾えるもの、人間(敵、民間人含む)など様々なオブジェクトがハイライトされます。また、インタラクトや破壊できないものはハイライトされないため、周辺の取り残しを探すのにも便利です。
■侵入方法はまさに自由、どこからでも入っていける
目標地点に向かい、まずはなるべく高地へと移動します。そしてスコープやドローンで敵をマーキングし、侵入する方法を考える、という手順で攻略をしていくことになりますが、ミッションでは目標によって強引なプレイはできないものはあるものの、フリーローム時は何をやっても自由。そのため、前述のようなきっちりとした手順で攻略することも、正面突破で一気に倒していくこともできます。どこから侵入してどう脱出するかも完全に自由です。
一方、ミッションではスナイピングポイントにおすすめな高地にマーカーが示されており、そこを起点にするとやりやすいというのはあります。しかし、必ずしも時間をかけられるミッションのみではなく、また、目標を倒せばそのまま脱出可能なミッションもあるため、内容に応じて何をするかも決めていくことができます。目標を倒して敵が警戒している中、そのまま脱出しても結果には影響しません。
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この場合、おすすめポイントは右側のマンションの屋上。使いやすいとは限らないので、筆者はここから警戒されつつ突破
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時にはAKにサイレンサーを装着してバンバン倒していくことも必要
■無駄撃ち厳禁、弾切れは死を招く
本作の特徴とも言える弾薬システムでは、多くのFPSのようにステージやミッションクリアなどで弾薬が最大まで補充されるようなものは搭載されていません。また、セーフハウスに戻らないと弾薬が補充できず、足りなければ作成するか購入するしかありません。弾薬の作成には弾種に応じた素材が必要で、その素材は各地で入手する必要があり、場所によっては敵が多いことも十分にありえます。つまり、トリガーハッピーになって乱射をしていたり、あまりに外しすぎると入手できる素材よりもコストがかさんでしまう、という仕組みです。
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武器によって弾種が違うため、大量に作って無駄にすることは許されない
武器やカスタマイズパーツ、アーマーなどは初期状態ではロックされており、ミッションの攻略に応じて解禁されたり、敵が落としたものを拾うことで使用できるようになります。解禁された装備は購入することができます。またサイレンサーは撃てば撃つほど痛んでいき、最終的にゲージがなくなればサイレンサーは自動的に外されます。サイレンサーは修理キットまたはセーフハウスのWeapon cacheで修理ができます。スコープに関しては多種多様に揃っており、レティクルや見栄えにこだわる方とは異なる方向ですが、実用的な倍率で固定・可変スコープが細かく用意されています。その他、バイポッドやフラッシュライト、レーザーといったものは武器により不可能な場合もありますが、あまり多くのカスタムの選択肢は用意されていません。
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カモフラとスコープの選択肢は多い。画像ではサイレンサー下のゲージがなく、壊れた状態
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12xのNATOスコープで遠くの敵も見やすい。可変だとさらに便利
■スキルで能力を強化
本作ではプレイスタイルによりSniper、Ghost、Warriorの3種類がありますが、それぞれスナイピング、ステルス、激しい戦闘のそれぞれをメインとした形に分かれており、行動に応じてそれぞれに経験値が割り振られ、一定量貯まればポイントを獲得できます。それを使用してツリー形式のスキルを解禁していくことになります。序盤には弾薬や修理コストを下げるEfficient CrafterとThrifty、拾ったアイテムが50%増加するScavengerは取っておきたいところ。上位のスキルはTierが解禁されれば自由に取得することができます。
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スキルは1クリックで取得可能。戻るコマンドはないので慎重に
■スナイパー関連の完成度は高い部類でも、細かい部分の詰めが甘い現代スナイパーシミュ
本作をざっくりと表現するのであれば、プレイフィールは同系統のオープンワールドである『Ghost Recon Wildlands』と似通ったものを感じます。徒歩や車で向かい、敵の基地を制圧して戻るというルーチンに陥りやすい部分はあります。しかし、着弾点のガイドのON/OFFは可能なものの、紛れもなく風と重力の影響を受けた弾道計算が楽しめ、スコープの補正も行えるという、スナイパーライフル好きにはたまらない仕様もきっちりと搭載されています。
20時間ほどプレイしたところ、筆者は一部で不満点として挙がっている「ゲームが落ちる」ということはなく、地形にハマって抜け出せなくなる致命的なバグに2回遭遇したのみ。逆に、敵の銃を素材にするキーが何故かコンフィグの項目に入っていないことや、一部機能・システムの説明不足などプレイ中にふと感じる不便な点がいくつか気になってしまいました。さらに、執筆時点で公式な告知がされていませんが、直前に日本語のサポートが何らかの理由により消されたことに関しては、筆者含め残念に感じるプレイヤーもいたかと思います。
コンフィグ含め、多機能ゆえの独特な操作感もありますが、ここ最近特にAAAタイトルを多く購入してきた筆者としては、割安感を感じつつも物足りなさも同時に感じています。また、スナイパーを中心としたタイトルだからこそのこだわりがあるにもかかわらず、アサルトライフルやショットガンを持ってランボーすることもできるというあたり、多くのプレイヤーに受け入れられやすいような土壌づくりはできていますが、総合で見るとシステム的にハードコアゲーマーに寄せすぎているようにも見えます。バグも含め、改善がまだまだ必要なタイトルということを、プレイレポの執筆を通じて改めて認識しました。
『Sniper Ghost Warrior 3』は、PC向けに、4,980円(税込)で発売中です。