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Lifecoach選手は、デジタルカードゲームの名手として世界的に広く認知されているプロe-Sportsプレイヤーだ。精力的にストリーミングを行っており、その深い分析力に魅了されるファンも多い。最近では、CD Projekt REDの新作CCG『GWENT: The Witcher Card Game(グウェント ウィッチャーカードゲーム)』に活動の場を移し、2017年5月に行われた初の公式大会、「GWENT Challenger」では見事優勝を果たした。今回、日本を訪れていたLifecoach選手にインタビューを行う機会に恵まれたので、その内容をお届けする。
■人を幸せにしたい。人生を教える人“ライフコーチ”
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――本日はよろしくお願いします。まずは、Lifecoachという名前の由来を教えてください。
Lifecoach選手: 人生を教える人、という意味ですが、元々友人の悩み事を聞き、アドバイスすることが多く、自分の力で人を幸せにしたいという主義を持っていました。オンラインで活動する際にニックネームが必要となり、その主義から取ってLifecoachと名付けました。
――日本にはよく来られるのですか?
Lifecoach選手: 私の母方が日本人の家系で東京と大阪に縁があり、1年に1回は日本に来ます。滞在期間はじっくり日本を満喫したいので大体2~3週間ほどです。今回はCD Projekt REDからの依頼で『グウェント』のプロモーションも兼ねて来日しましたが、日本での仕事と併せて休暇を取ることも多いです。
――日本でお気に入りの場所はありますか?
Lifecoach選手: 温泉ですね。特にショッピングセンター等の複合施設にある温泉が印象に残っています。
――日本食はお好きですか?
Lifecoach選手: お米や梅干しなど、日本食はなんでも大好きで、中でも魚介類は新鮮なものが多く、日本に来た時には良く食べます。日本食は美味しいだけでなく、身体にも良いのが素晴らしいですね。
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――イベントで世界中のゲームファンと触れる機会も多いと思いますが、Lifecoach選手から見た日本のゲームファンの感心する点はありますか?
Lifecoach選手: 私の主観ですが、ゲームをエンターテインメントの一つとして捉えていて、競技性の高いゲームでも、他のプレイヤーとただ競い合うだけではなく、同じゲームのファンとして肩を並べてゲーム観戦する姿を多く見ました。これは評価されるべき点ですね。
――日本でe-Sportsプレイヤーを目指す若者が少しずつ増えてきています。e-Sportsプレイヤーの先駆者としてアドバイスをいただければ幸いです。
Lifecoach選手: 日本のe-Sportsは世界各国から独立している印象があり、その影響でグローバルなプロ活動を行いづらく、プロプレイヤーとして生活するには困難な場合が多いかと思います。ただ何事も頑張りというものが必要です。自身が出来得る努力を一生懸命続けてください。
――Lifecoach氏がe-Sportsプレイヤーとして特に努力している点はどんなことですか?
Lifecoach選手: とにかく練習第一、ゲームに限らず何かの競技に取り組み、その競技の世界で生きていこうと思うなら何も惜しまずに最大限の努力をすること。私は1週間に100時間くらい練習に費やします。また活動を仕事だと捉えるのではなく、プレイしていない時間も一日中ゲームのことを考え続けて、ゲーム自体を自分の生活の一部に溶け込ませていくことが大切ですね。
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――Lifecoach選手が自分の職業としてゲームを選択したきっかけは?
Lifecoach選手: 以前皆さんと同じように働いていた際、1年間の休暇を取得できるという機会があり、その際にゲームの配信を熱心に行いました。休暇の終了が近づくにつれて視聴者からゲーム配信を辞めないでくれというメッセージを多くいただき、そこから自分の中でゲームと仕事のバランスが大きく変わってきました。他にも色々ありますがそれが発端でしたね。
――Lifecoach選手がカードゲームに情熱を注ぐようになったきっかけはなんでしょうか?
Lifecoach選手: 元々はポーカーからカードゲームに触れ始めました。そしてe-Sportsタイトルとしてハースストーンに出会い、カードゲームの分析力というものが大きなウェイトを占めるところが気に入って、多くのカードゲームをプレイした中で、『グウェント』に辿り着きました。ただゲームをプレイするだけではなく、戦略や戦術の研究分析が勝利に大きく貢献するところからのめり込んでいきました。
――プレイヤーであり続けることの難しさを感じる瞬間はありますか?
Lifecoach選手: いわゆる自分の性格として競技というものが好きかどうかというところが大きく関わってくると思います。誰かと競うことが好きで、世界で一番の選手になりたいと思うならば、必然的にプレイヤーとしてしかこの業界に留まることは出来ないと思いますし、いつかそれが苦しいと感じてしまうなら、また別な道を目指す必要が出てくるのではないかと思います。また、プロのプレイヤーになるということは自分の持てる時間の全てをゲームに費やす必要があります。私の場合は幸運なことに、妻が全面的にサポートしてくれていますが、それでも家族と過ごす時間の確保は課題としてあります。そういった生活状況は個々によって違うと思いますので、とにかくその競技に費やす時間を沢山取れるかが最も難しいポイントかと思います。
■プレッシャーは外から受けるものではなく、自身の中から生じるもの
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――ベストなプレイをし続けるための集中力の維持やメンタルコントロールで心掛けていることはありますか?
Lifecoach選手: 物事の捉え方次第だと思いますが、私にとってプレッシャーは外から受けるものではなく、自身の中から受けるものなのです。競技というものの本質も他人と競うのではなく、自分自身と戦うものだと考えているので、内からのプレッシャーとどう戦っていくかを常に考えています。内からのプレッシャーは、例えばある競技シーンで自分が目標に設定した成績を達成できるかどうか、といったものです。人によってプレッシャーを感じる事柄は違うと思いますが、私は満足いく結果を出すための練習や戦略の積み重ねによってプレッシャーを払拭することを重視しています。
――カードゲームがe-Sportsと呼ばれるようになったことについてどう考えていますか?
Lifecoach選手: カードゲームと一般的な体を動かすスポーツを比較した時に、体を動かすスポーツは身体能力を競うもので、カードゲームは頭を競うものです。私の中で人間というものを定義するときに、例えば速く走れるから人間だ、とか、重いものを持ちあげられるから人間だ、とは思いません。両方できなくても人間は人間ですから。ただ人間を定義するうえで欠かせない絶対的な要素の一つとして「考える」ことがあると思っています。私の中でカードゲームは、頭を使うという面で、体を動かすスポーツよりも競技という意味で、より人間らしい勝負ができると考えており、いわゆる頭を使ったデジタルカードゲームは、真の意味で「スポーツ」ではないかと考えています。勿論e-Sportsは新しい概念ですので、これから浸透するのに10年、20年と掛かるものだと思いますが、そういった定義でカードゲームとe-Sportsを捉えています。
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――e-Sportsのジャンルとして人気のあるFPSやMOBAは、20代前半で選手生命が終わってしまうケースも多いと聞きます。一方カードゲームでも年齢による影響は生じるものなのでしょうか?
Lifecoach選手: 私が考えるに、瞬発力や反射神経を競うスポーツはどうしても身体のポテンシャルによって決まるため、衰えが少ない若者の方が有利だというものは大前提として認識されていると思います。それはe-Sportsに当てはめても同様で、FPSやMOBAは若者の方がプレイヤーとして成功する可能性が高いですね。しかし現在の競技シーンではプレイ技術と合わせてメンタルの部分も重視されてきており、その部分で差をつけるためにチームにコーチや監督をつけて、研究分析を行うケースが増えてきました。そしてコーチには若者より経験豊かなベテランの方が適しています。メンタルの部分では年齢を重ねても活躍することは可能で、また『グウェント』をはじめとしたメンタルを重視するカードゲームにおいても、私は年齢による衰えというものは一切感じていません。e-Sportsについては少なくとも年齢やスキルによって活躍の場所は変わるかもしれませんが、年齢によって活躍ができないということはないですね。
また社会的構造も大きく影響しているかもしれません。プロになるために、膨大な時間をゲームに費やす必要があるため、若者の方が、30代や40代の中年よりも、家族や周囲の理解を得て取り組みやすい環境にいると言えます。
■『グウェント』の勝利への難解さと奥深さは他のカードゲームにはない大きな魅力
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――『グウェント』で気に入っているところ、他のゲームより優れていると感じる点を教えてください。
Lifecoach選手: 何といっても自分の技術を発揮する場面が多いことが挙げられます。他のカードゲームと比べても勝敗の行方がプレイヤーの意志決定に掛かる面がとても多いと感じますね。他のゲームではプレイヤーの勝利までのプロセスをゲーム自体が簡略化して見せてくれる部分がありますが、グウェントはプレイヤーの意志決定を最重要視しているのが大きな特徴だと考えています。
――「GWENT Challenger」で優勝までに苦戦した場面はありましたか?
Lifecoach選手: 「GWENT Challenger」では特に大きな問題はなかったですね。大会は普段の『グウェント』のマッチとは違い、複数のデッキを扱う必要のある変則的なマッチだったということと、配信等を通じてその試合を何万人もの観客に見守られながら行うということで、他の選手は非常に緊張していたと思うし、競技に慣れていないプレイヤーはてこずったと思います。ただ私はそういったシーンにずっと触れてきた経験があり、変則的なルールや大観衆の前での試合というものは、私にとってはプラスに働きました。
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――「GWENT Challenger」に向けての練習はどのように行っていましたか?
Lifecoach選手: 練習時間は毎週80~100時間程度取りました。その半分をゲームプレイに、そしてもう半分を戦略や戦術の検討に費やしましたね。相手がどのような手段を用いてくるか、そしてそれに対するカウンターとして何が有効か、などの研究に多く時間を割きました。
――その練習は誰と行いましたか?
Lifecoach選手: 私の配信をよく見てくれていた、二人のドイツ人視聴者と一緒に練習を重ねてきました。毎週私の練習に付き合うという前提で相手を探していて、そこに合致する二人だったのです。私が『グウェント』をプレイする際には必ず二人のどちらかが相手してくれる環境を作り、「GWENT Challenger」に臨みました。
――『グウェント』のオープンベータに際して、カードのテキスト変更や機能のアップデートが行われました。クローズドベータと比べて今の印象はどうでしょうか?
Lifecoach選手: 多くのカードテキスト変更が実施されたことで、まだまだバランスがとりにくい状況になっていますね。しかし開発元のCD Projekt REDはバランス調整に対して迅速に対応する力を持っているチームなので、数週間後には全ての勢力バランスが安定してくるのではないかと考えています。
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――オープンベータの現時点で好きな勢力はありますか?
Lifecoach選手: リリースから数日という状況で1つを選ぶというのは難しいですが、いくつかのデッキではその兆候が見えてきています。これからまたバランスが変わってしまうと思うので、その都度検討を行ってベストを求めていきたいと思います。
――『グウェント』の魅力について一言お願いします。
Lifecoach選手: 『グウェント』は今あるカードゲームの中でもかなりハードな部類なので1日数分のプレイでは良さがなかなか実感できないと思います。しかし、『グウェント』の勝利への難解さと奥深さは他のカードゲームにはない大きな魅力です。それを感じてもらうために第一印象で判断するのではなく、まずは20~30時間プレイしてみて、その後にもう一度このゲームについて評価してほしいですね。必ず良い方向に印象が変わると思います。
――最後に、次のGWENT Challengerが日本で開かれるとしたら参加してくれますか?
Lifecoach選手: もちろん! 可能な限り参加したいと思っていますよ。
――日本人プレイヤーがLifecoach選手のライバルとなる日が来るかもしれないですね!本日はありがとうございました。
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