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東京ゲームショウで国内初の試遊出展となったバンダイナムコエンターテインメントの探索アクションRPG『CODE VEIN』。2018年に発売予定の本作について、IP総合プロデューサーの富澤祐介氏と、プロデューサーの飯塚啓太氏に話をうかがいました。
――試遊台を出展されていますが、これが本作の平均的な難度になるのでしょうか。
(※インタビューの前に試遊台でプレイして、その難しさにやや心が折れかけた状態で質問しています)
飯塚氏: まだ具体的な難易度の設定は行なっていないんですが、今回初めての試遊ということで、「歯ごたえのある探索RPG」という印象づけを含め、少しだけ高めにしているところがあります。今後はユーザーさんからのフィードバックを含め、ベースとなる難しさは模索していこうと思っています。今のところちょっと難しめに感じられているようなんですが、いろいろな要素を使いこなしてこその難易度なので、それを理解していただければ。
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――カジュアルな見た目であれば「自分にもできそう」や、リアルだったら「難しそう」など、ユーザーはゲームのビジュアルで難易度を判断する傾向にあると思うのですが、本作ようなアニメ調のビジュアルでこの難易度だと、驚くユーザーもいるのかな、と思いました。
飯塚氏: 「探索アクションRPG」というジャンルもはっきりと打ち出しているので、それを求めているユーザーの方には理解していただけていると思いますが、見た目から入っていただいた方はちょっと難しいと感じるかもしれませんね。それは今後ユーザーの方の反応を見て、単純に易しくするんじゃなくて、ゲームの要素の使い方や順番で調整できればいいと思っています。
――今回の出展で、現時点でボスを倒していた人はいましたか?
飯塚氏: 数名いたかな……。今回の特別仕様でボスに挑んで倒した人はいたと思いますが、一から始めてボスを倒したのは目撃してないですね(※今回の試遊では道中をスキップしていきなりボス戦をプレイできる)。
――クリアしたら自慢できます?
富澤氏: できますね。コスプレイヤーとの記念写真とセットで、クリアしたぜ! とつぶやいていただきたい(笑)。
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――いわゆる“死にゲー”と呼ばれるジャンルが確立して、今ではかなり市民権を得ました。その流行というのは意識されたと思うんですが。
飯塚氏: もともとファミコンの頃から、何度もやられてまた始めからプレイして、プレイヤーのスキルを蓄積していくというゲームはありましたよね。それがよりリッチなビジュアルや世界観を組み込んで、今またプレイされているということだと思うんです。本質的なゲームの楽しさを、本作でも出せていければいいなと思っています。
富澤氏: 海外を含め、そういうジャンル選択をするゲームが増えてきたという認識はもちろんあります。そことどう差別化できるか、というのが一番重要なところなので、単なるクローンではなく、本作ならではの楽しさをどう提供できるかが大切だと思います。ただ、今はもう他のゲームうんぬんじゃなくて『CODE VEIN』をどうするか、というフェーズですね。
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――本作は「心が折れない」RPGであり「困難を乗り越える喜びを味わえる」ものだとおっしゃっていましたが、心が折れそうになっているプレイヤーを、具体的にどういった形でサポートしていくのでしょうか。
飯塚氏: わかりやすいところでは、バディの存在ですね。プレイヤーが倒れそうなときはHPを分け与えて助けてくれます。あとは、難しいゲームでは「なぜやられてしまうのか、理解する間も無くやられてしまう」ということがありますよね。本作はバディが攻撃をひきつけてくれる、その間に敵の攻撃方法を見極めるといったことができます。消極的になりすぎずに、ボスなど強い敵と対峙する時間を増やすことで、攻略の糸口を見つけて次はこうしてみよう、というチャレンジのモチベーションになると思います。
バディも死んでしまうんですが、そのバディを助けることもできるんですね。キャラクターの能力を高めたり、いろいろな攻撃を仕掛けることができる「錬血」も含め、今回の試遊ではいろいろな要素を一回入れてみて、様々な攻略の可能性を提示するという段階になっています。
富澤氏: 今回の試遊では、ダンジョン内が細い通路から始まるので、攻撃の分散といったありがたみは、ボス戦のほうがより感じやすいかもしれませんね。
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――何回もリトライを繰り返しているときに「難易度を下げますか」みたいなガイドがあるわけではないんですね。
飯塚氏: それはしたくなかったんですね。バディの存在も含めて、いろいろな手段を提示することで攻略する喜びを感じてほしかったんです。だんだん敵が弱くなるとか、こちらが強くなるといった方向性は目指しているところではないです。ただ、欧米からは「イージーモードはないのか」といった声もあったり(笑)。そういう意見もわかるんですが、困難を乗り越える喜びをどう体験してもらえるか、それが今後の課題だと思っています。
――バディによって攻略の糸口を見つけ、再挑戦するモチベーションを高めるということですね。逆にバディ頼みでクリアする、ということもできないわけですね。
飯塚氏: バディはプレイヤーが操作できるわけじゃなく独立したAIを持っている存在なので、ある程度のランダム性もあります。ただ、やられたのはAIのせいじゃなく自分のせいなんだ、と思えることが大事なので、そこのさじ加減をどうするか狙いを持ってやっている部分です。“気の利いた”バディにしていくために、最後までAIのアルゴリズムを練り上げていくつもりです。
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――本作は「ドラマティック探索アクションRPG」を謳っていますが、この「ドラマティック」とは具体的にどういう意味なのでしょうか。
飯塚氏: 主人公、バディともに吸血鬼としての物語があります。ゲームを進める上でそれが体験できるようになっています。イベントシーンで見せることもありますね。
富澤氏: 全体のストーリーラインと、キャラクターに紐づいたシークエンスと、両方あって、連れて行くバディによって進行に多少の変化があったりします。ゲームのリトライ性にもつながるような、ゲームとドラマが渾然一体になったようなものを目指しています。今回はこいつ連れて行ってみようかな、とか、俺はずっとコイツ一筋だ、といった遊び方ができるようになれば。
――プレイヤーは男女選択できますが、それによってバディの対応などに変化はありますか。
飯塚氏: 基本的にはないので、プレイヤーの好みで選んでもらってかまいません。
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――これまで、海外でも積極的に情報を出されていますが、海外と日本のユーザーで反応に違いはありましたか。
飯塚氏: イベントによるのかもしれませんが、海外では純粋にゲームとして好きだとか、今回出展した激しいボス戦のようなものが好きだという方が多い印象ですね。もちろん日本でもそういうユーザーさんはいますが、世界観やキャラクターといったものは、日本のほうがレスポンスが大きいかな、と思っています。
――本作は当初からワールドワイドな展開を考えていたんでしょうか。
富澤氏: プロジェクトの段階から、ワールドワイドに情報を発信して同時発売することを目指していました。同じチームでつくった『ゴッドイーター2 レイジバースト』は海外発売まで一年半かかりましたが、それでも多くのユーザーの方にご支持いただきました。そういった実績があり、また複数ハードでの発売も一般的になっている中で、世界の全てのユーザーに同時に遊んでいただくのが一番盛り上がるし、当然のことだと考えたんですね。複数機種で世界同時リリースという点は、開発陣にとっても大きなチャレンジになっています。
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――海外展開を目指す作品というのは、どちらかといえばリアル調のキャラクターデザインになりがちだったと思うんですが、本作はワールドワイドな展開を目指しつつ、日本的なキャラクターを維持しているという点で珍しいと思います。デザインにあたって海外の視線というのは意識されたんでしょうか。
飯塚氏: そうですね。これまでの作品のイメージは残しつつ、アニメ的な表現は少しおさえています。日本的なデザインのキャラクターが好きな方のことを考慮しつつ、ゲームジャンルとどうバランスをとればいいか、理想的な融合をはかっているところです。
富澤氏: デザインだけでなく、シェーダーだったり、最終的な見え方については日本と欧米の両方の感覚を意識しています。日本発のワールドワイド作品としてどういう見え方がいいのか、試行錯誤をして絵作りには一年以上かけてきました。欧米の開発陣の意見なども聞いています。キャラクターを覆う吸血牙装のマスクもそこから生まれたんですが、それ以外にもフィードバックされた部分はたくさんありますよ。
開発の部分だけでなく、プロモーションにおいても地域ごとに独自のものを行っています。それを開発陣が否定するんじゃなくて、まずやってみよう、怒られたらやめよう(笑)というチャレンジ意識でやっています。
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――純粋に日本向けにつくって海外でもリリースする、というのとは少し違うんですね。
富澤氏: 同時発売ということで海外も意識はしています。ただ、本作の立ち位置はあくまで“日本発”というところです。海外を意識してスーパーリアルなものをつくるんじゃなくて、やはり日本的なものをつくりたいし、日本のユーザーに受け入れられた上で、海外のユーザーにも届くようなアプローチをしたかったんですね。「日本のゲームが世界に通用するんだ」という誇りのようなものをユーザーの方々と作り上げていけるのが、わたしたちが一番理想とする未来像なのかな、と。
日本のゲームが海外に比べ立ち遅れているんじゃないか、といわれる時代が続いていたので、ちゃんと“日本発”という部分で世界と勝負できる、喜んでいただけるものをつくる。使命を背負う、というのは言い過ぎかもしれませんが、今回は家庭用のゲームとして、それを目指すチャンスが巡ってきたんだ、と考えています。
――最後にひとことずつお願いします。
飯塚氏: 今回の試遊では主にアクションの部分を体験していただきました。それをふまえて様々な意見が出てくると思いますので、率直な意見を開発陣に伝えていただいて、それを上手く活かしていければと思います。オンラインについても、もちろん検討しています。本作の特徴としてバディがいますので、どういった形でオンラインプレイと関連づけていくか、本作ならではのものを模索していますので、そこは今後の情報をお待ちいただければと思います。
富澤氏: 「ドラマティック」の部分や「ヴェイン」という深淵な世界観についても、公開したPV等で少しずつ明らかになっていきます。キャラクターなどで興味を持った方も、今後の情報を楽しみに待っていただきたいと思います。
――ありがとうございました。
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2018年にPS4、Xbox One、STEAMで発売予定の『CODE VEIN』。10月14日(土)・15日(日)には 体験会&開発ミーティングが開催されます。ゲームショウで体験できなかった方や、開発に意見を言いたい! という方は参加してみてはいかがでしょうか。