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2018年5月12日から13日にかけて京都市勧業館・みやこめっせにて開催された「BitSummit Vol.6」。Game*Sparkでは、任天堂ブースにて出展された『TRAVIS STRIKES AGAIN NO MORE HEROES(トラヴィス ストライクス アゲイン: ノーモア★ヒーローズ)』のディレクター・SUDA51こと須田剛一氏にインタビューを実施しました。
[聞き手:Daisuke Sato]
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――ニンテンドースイッチ向けタイトル『トラヴィス ストライクス アゲイン: ノーモア★ヒーローズ』の国内へのプレイアブル出展は初めてですが、何故BitSummitを選んだのでしょうか。
須田:単純に良かったからですね。3月からGDC、PAX East、EGX Rezzedとあって、その後BitSummitだったので、任天堂さんのブースで全部出展させてもらったんですが、今回も出展していただけるとのことで。
――京都弁で書かれたテキストはBitSummit用に書かれたものだったのでしょうか?
須田:僕が書きました。ローカライズは任天堂さんに構成してもらいました。京都弁はご当地なので任天堂さんにお願いして(笑)。
――あのバージョンはここだけでしかプレイできないものということですか?
須田:そうです。ここだけ、ここ限定です。GDCもPAX Eastも全部特別なものを用意しました。
――製品版のテキストは関西弁ではないと。
須田:もちろん標準語です。ちょっと調子に乗っちゃった(笑)。
――本作では7つのゲームを体験できるということですが、それぞれのゲームは子供の頃に影響を受けたゲームが元になっていたりするのでしょうか。
須田:影響を受けたものもありますが、基本的にはゲームに登場する「デスドライブMk2」というゲームハードがモチーフになっていて、その幻のゲームハードで遊べるローンチタイトルが6本、というふうにイメージをしながら作っていた感じです。
――今回の試遊デモでは画面が4:3で構成されていますが、こだわりがあるのでしょうか。
須田:最近のゲームは16:9ですが、本作ではビデオゲームの世界に入った瞬間4:3になります。80年代後半から90年代頭のブラウン管の時代のゲームのイメージですね。
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――16:9と4:3の画角だと、ゲーム体験は変わるものなのでしょうか。
須田:いや、あまり変わらないと思いますね。ただ、横長になればなるほど横スクロールには適しますよね。インディーでも横スクロールが多いじゃないですか。あれは単純にアセットが使いやすいとかだけじゃなくて、横画面だからこそ印象が変わるという部分があるんじゃないかなと思っています。
――シリーズ1作目の『NO MORE HEROES』がWiiからスタートしてリモコンを活用していますが、今回もスイッチの機能を活用したものになるのでしょうか。
須田:今回はJoy-Con1個で遊べるというのがテーマにもなっているので、このボタン配置の中では遊べるように作っています。どちらかというと引き算で作っていきましたね。これしか使えないからこそのシンプルな操作を意識しました。
――ゲームエンジンはUnreal Engineでしたが、スイッチでの開発ではいかがでしたか。
須田:若干苦しみはしましたが、何とでもなる感じだったので、問題なく進みました。任天堂さんからもUnrealのサポートは万全だったので助かりました。
――今回出展されている試遊デモのテキストで気になる点がいろいろありました。「ダブル主人公はクソゲーになってしまう」というセリフは元ネタがあるのでしょうか。
須田:いや、特にないですね(笑)。ノリで考えた部分もあります。
――ラーメン屋でのセリフ「最高の一杯をくれ」も?
須田:ノリです(笑)。
――現在の開発状況は何%ぐらいでしょうか。
須田:35%ぐらいですね。
――開発がスタートしたのはいつ頃でしょうか。
須田:去年の5月ぐらいです。
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――一番最初に公開された映像ではトラヴィスが『Hotline Miami』をプレイしていましたが、ゲームにどのように関わってくるのでしょうか。
須田:そこはまだ内緒でお願いします。Tシャツコラボはやりますが。
――ゲームの中でも何か関わってくると期待して良いのでしょうか。
須田:うーん、内緒でお願いします。
――今回たくさんの海外メディアが来場していますが、お客さんの反応も含め反応はいかがでしたか。
須田:最初はファンの方が集まってくれて、何回も遊んでくれる人もいました。海外でもそうだったんですが、ボタン配置がYが小攻撃でXが大攻撃で、というシンプルな配置にしてあるので、この使い方はみんなすぐに習得してくれましたね。僕らの方からスキルの出し方などを説明するとすぐに出してサクサク進めてくれたので、遊びやすいゲームとは思ってもらえたんじゃないでしょうか。
――今回は7つのうちの1つでしたが、他の6つはゲームのジャンルが変わるのでしょうか。
須田:基本のプレイはスラッシュアクションの延長なので、1つのジャンルの遊びに特化した形にはなっています。プラスアルファがあるぐらいですね。
――成長要素はあるのでしょうか。
須田:一応ありますね。成長要素と言って良いのかどうかはわかりませんが、ゲーム中ではスキルもどんどん増やしていけますし、体験版では4種類固定ですが実際は自分でカスタマイズできるようになります。
――2人プレイは最初から考えられていたのでしょうか。
須田:スタッフが「こういうプレイ、仕組みにしたいんです」と提案してきて、Joy-Con1つで遊べて、Y押しっぱなしで撃てるっていうシステムが出来上がってきました。面白いから良いんじゃないの、とゴーを出して。基本的にニンテンドースイッチの最初のセットを買っただけで2人で遊べるようにしたかったのはありましたね。
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――本作もキャラクターデザインはコザキユースケさんが担当ですか。
須田:主人公などのキャラデザはそうですね。敵のキャラクターに関してはbonefaceというイギリスのアーティストの2人がメインで担当しています。
――E3が来月に開催されますが、出展されるのでしょうか。
須田:体験版にセリフありましたか?書いてないですよね。
――いいえ、E3に関するセリフはなかったです。
須田:書いたのは英語のバージョンか。海外用の体験版にはE3のことも盛り込んでいたので、海外のメディアの人からも訊かれましたね。とはいえ、任天堂さんからまだ出展されるか連絡がきていないので、実はわかりません(笑)。
――そのテキストに関してですが、海外で出展されたバージョンは今回のものとはどう異なるのでしょうか
須田:イベントの開催場所に合わせたご当地ネタですね。ロンドンにはロンドンのネタを、PAXではボストンのネタ、GDCにはサンフランシスコのネタを仕込んでいます。
――今後も試遊台は独自のネタになっていくと考えて良いのでしょうか。
須田:そうですね...でも現場は大変なんですけどね。対応型(共通の製品版に近いもの)を作られたらどうですかとはアドバイスされたんですけどね(笑)。
――有料DLCで地方の方言バージョンが出たら買いますよ!
須田:それ面白いですね(笑)。
――その他の6つのゲームが明らかになるのはいつ頃でしょうか。
須田:すべてをいつ明らかにするかはわからないですが、イベント単位で出していく感じですかね。どこで何を出すか決めきれてません。
――オンラインは実装されないのでしょうか。
須田:ローカルのマルチだけとなります。
――発売日はいつ頃明らかになりますか。
須田:2018年発売と告知しているので、秋口ぐらいには言わないと。
――ファンの方へ一言お願いします。
須田:今回BitSummitで初めて日本のゲーマーの皆さんに遊んでもらって、世界中のファンの皆さんの声を聞けて僕もフィードバックを元にして調整をかけて発売まで持っていきたいと思っています。あとはニンテンドースイッチというプラットフォームにこういうゲームがあるのは(ガンダムの)ニュータイプみたいな部分もあると思うので、そういった役割みたいなものを意識しつつ、インディーゲームとの架け橋にもなれるといいな、と。お祭りみたいなゲームにもしたいなと思っているので、是非応援してください。