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視界全体がゲームの世界に覆い尽くされるVRモノ、協力プレイで物語を紐解いていくCo-opモノと、近頃でも大きくジャンルの幅を広げているジャンル「アドベンチャーゲーム」。その中でも、当時の最先端CG技術でミステリアスな世界を表現した『Myst』(1993年)は根強いファンが多く、シリーズ最新作『OBDUCTION』も国内外のゲーマーから高い評価を得ています。
Game*Spark編集部は、そんな『OBDUCTION』の国内PS4版でパブリッシング/ローカライズを担当したサンソフトのナイトメア・プロジェクトにインタビューを実施。最新作の国内版開発エピソードから、歴史的名作『Myst』シリーズの生い立ち、開発元であるCyan(サイアン)との意外な関係などを訊きました。
――国内PS4版『OBDUCTION』発売後、日本のユーザーからはどのような反響が得られましたか。
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清水氏:これまで『Myst』シリーズをプレイされてきた方の感想が多くを占めてました。Twitterでも「久しぶりの『Myst』シリーズだ」という声を聞けましたね。『OBDUCTION』から始めたというユーザーさまから、「初代『Myst』や『Riven: The Sequel to Myst』、『Myst III Exile』も遊んでみたい」という質問を受けることもありました。ちなみに、『Myst』と『Riven』はiOS向けにリリースしています。
――Game*Sparkの『OBDUCTION』関連記事でも、『Myst』ファンの読者からコメントが寄せられていました。「ナゾを解くと驚くような視覚的変化があって本当に楽しかった」「紙とペン用意!」という声も見られています。
清水氏:謎解きでだいぶ頭を使わないといけないものがありますからね。数字計算しなきゃいけないものは特に複雑で。『OBDUCTION』は世界観で言うとだいぶ違うのですが、ゲームの雰囲気は『Myst』そのままなので、シリーズファンの方を裏切ることはないと思います。
――PC版『OBDUCTION』では、パブリッシングの打診や開発協力はされていなかったのでしょうか。
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山城氏:『OBDUCTION』開発初期のビルドをテストプレイしたことはありました。だいぶ前のE3の帰りにCyanに寄ったとき、出資の話といっしょに軽いプレゼンをされて。
清水氏:ただ、当時の我々としては「PC版」というのに手を出しにくいところがあったんですよね。
――なるほど。あくまで家庭用/モバイルがメインというところですか。
清水氏:まあ、あまり多額の資金を出す余裕がなかったというのもありましたし、その時点では「見せてくれてありがとね」くらいの感覚でした。あと、実際にプレイしたのがVR版で、とにかく酔いまして……。
――最初にプレイしたのがVR版だったのですね。
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清水氏:ええ、そのときはVR版しか存在しなかったので。「バーチャルリアリティー版Myst」というか、プレイヤーがVRで世界に入り込むゲームという作りでした。
山城氏:まだテクスチャも仮のものでしたしね。プレイはできるけど、正直言うとファーリーの家の全景だけで酔えたというか……(笑)。
――開発初期の『Obduction』には、「謎解き」やパズル要素は含まれていたのでしょうか。
清水氏:そこまでは進んでなかったですね。
山城氏:基本システムがあって、歩いたりもできるけど仮の世界が用意されているのみで。完成後は「こんなにキレイになったんだ!」って驚きました。最初はちょっと心配なくらいだったのに(笑)。
清水氏:テクスチャの“仮”な感じが特にね。世界観も、たぶん開発中に変更があったんじゃないかな。“ツリー”の位置も全然違っていたと思いますし。でも、どっちかって言うと「表敬訪問」っていうところも大きかったです。長年いっしょにやってきているわけだし。
――サンソフトとCyanの縁はとてつもなく深そうですね。
清水氏:そのときはCyanスタッフといっしょにバーベキューをやったりしました。へたしたら『OBDUCTION』について話すのと同じくらい、重要イベントだったかも(笑)。
山城氏:「アメリカ来るならついでにおいでよー!」とカジュアルに呼ばれたんですよ。だいぶ遠いんですけど。
清水氏:あのときはスタッフの家に遊びに行ったり、一緒に牧場に行ったりして。完全に満喫してきちゃいました。
――そのとき、Cyanのスタッフとは他にどのようなお話をされたのですか。
清水氏:もちろん『OBDUCTION』の話もありましたけど、いわゆるクリエイタートークのようなものはなかったですね。深くて熱い話というよりも、本当におしゃべりというか。
山城氏:野外でご飯食べてお酒飲んで、「あ!今あっちに鹿が通った!」みたいな。
清水氏:二作目の『Riven』のころに、ウチのスタッフがCyanと共同開発するためにアメリカに渡っていたんですよ。そういう縁もありましたし、逆にCyanの人が日本に来たら観光案内することもあります。時間がなかったら近所の神社に連れて行ったりして……。
――もしかして、「Cyanの人」というのはいわゆる“アトラス”なのでしょうか。
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清水氏:そうです、“アトラス”を演じたランド・ミラーですね。これまでに4回くらいは日本に来てくれてるんじゃないかな。ほんと、あのまんまの見た目ですよ。さすがに“アトラス”の撮影のときは年寄りっぽく演出してますけど。
――Cyanと交流を持ち、彼らのゲームをパブリッシングすることになった理由を教えていただけますか。
清水氏:Cyanのミラー兄弟とは『Myst』開発前から交流がありました。彼らが初めて手がけたのは『The Manhole』(1988年)というゲームなのですが、この作品のPCエンジン向けリリースをサンソフトが担当していまして。そこから当時のスタッフが「この人達、おもしろそうだな」と更に興味を持ち、Cyanを訪問していました。
――なるほど。そのころから関係性を築かれていたのですね。
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清水氏:当時のCyanって、まだオフィスもないような状況だったんですよ。兄弟がガレージにこもってゲームを開発していて、そこでサンソフトの者が「今、『Myst』っていうゲームを作ろうとしているんだ」という話を聞かされたと。あとはとんとん拍子に出資の話が決まりました。
――それが「サンソフトとミラー兄弟の出会い」だったのですね。
清水氏:正直なところ、そこでサンソフトがワールドワイドかつPC版を含めた契約を結んでいれば、だいぶ凄いことになってたと思います(笑)。今でもその傾向はありますが、「家庭用ゲーム機向け」という考え方が強いです。Cyanとしては無事にスタートアップができたということで、とても感謝してもらえてます。海外のMac版、Windows版でもスタッフロールに手書きで「よしださん、まえださん、ありがとう」とサンソフトへのメッセージがあったりします。ひらがなで残されていますよ。
――当時のPS版『Myst』のパッケージにもサンソフトのロゴが入っていますよね。
清水氏:ええ。やはり、そのときの信頼関係のおかげで。そのとき、PC版はブローダーバンド、家庭用ゲーム機版はすべてサンソフト、という形で分かれていました。以降、長くに渡って付き合いがある、と。
――いわゆる「デベロッパーとパブリッシャー」というより、むしろ「家族」のような雰囲気がありますね。
清水氏:そうですね!特にランドは、日本人向けの英語がとても上手いんですよ。
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黒田氏:単語と単語をきっちり区切りながら喋ってくれたりして。日本人と英語で話すのに慣れていて、リモート会議もかなり対応しやすいです。
清水氏:逆にランド以外の英語圏の人と話すと、分かりにくくて驚きますけどね(笑)。
――完成した『OBDUCTION』をプレイされたときの印象についてお聞かせください。これまでのシリーズを担当してきたサンソフトとしは、てどう感じられましたか。
清水氏:改めてCyanからお話を受けてプレイしたときも、さすがに最初は酔っちゃいましたね。正直なところ、そこが「酔うなあ」というのが第一印象。ただ、謎解きは『Myst』テイストのままで、「相変わらずだなあ」と思いました。
――清水さんほど長年『Myst』シリーズに関わってきた方なら、「謎解きのきっかけ」のようなものもすぐ分かりそうですね。「とりあえずレバーは下げておけ」「スイッチは入れておけ」のような。
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清水氏:そうですね、「初期値は変えておく」ってやつです。レバーが左を向いてたら、訳が分からなくてもとりあえず右にしておきます(笑)。どこかで何かが起こるかもしれませんから。『OBDUCTION』は、謎を解いたときの景色の変化が特に丁寧でしたね。
――PC版のSteam向けリリースは2016年8月、国内PS4版のリリースは2018年6月と発売日に大きく差がありましたが、このような形になった経緯について教えてください。
清水氏:契約の話が済み、データのやりとりが始まったのが、2017年の夏過ぎだったんですよね。そのときからPS4版を担当する予定だったのですが、海外PS4版の動作が不安定気味で、ウチが本格的に動けるようになるまでにだいぶ時間がかかりました。「丁寧にやろう!」と意気込んでいたところも大きいですけれど。
――なるほど。
清水氏:単にテキストを日本語化するだけなら、もっと早く出せたと思います。ナイトメアで担当する以上は「日本のユーザーに楽しんでもらえるようにしよう」、そして「原文が持つ微妙なニュアンスもできる限りユーザーに届けよう」ということで、字幕オーバーレイ機能や日本語ガイドの準備に時間をかけていました。
――パブリッシャーやデベロッパーによってはローカライズの流れが異なりますが、「有志制作の日本語Mod/パッチ」をそのまま公式として取り入れるケースもありますね。Steam版では、有志による日本語Modも配布されていましたが。
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清水氏:そのあたりは最初にCyanとも相談したのですが、「日本語PS4版は、サンソフトとして良いものを作って欲しい」と頼まれたので、「じゃあ、翻訳含めていちから内部でやろう」ということになりました。PS4版だけのオリジナル日本語版、という形になっています。
――今作のローカライズで、特に工夫したところや苦心したところを教えてください。
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山城氏:セリフ回しについては私が担当して、黒田には一次翻訳を頼んでいました。複雑なニュアンスを訳していくのがとても上手なので。
黒田氏:高校生のころアメリカで生活していたこともありまして、自然な翻訳はできたかなと思っています。でも、ゲーム内の造語には苦心しました。オリジナルの言葉というか。
――なるほど。たしかに「これは固有名詞なのか?」と疑問を持つところも多そうです。
黒田氏:そうですね。罵ること、「Damn」のような表現も造語だったりしたので、そこは訳しながら「んっ?」ってなりましたし、辞書を引いても出なかったり、大変でした。Cyanとは毎週のようにリモートで会議することが多かったので、本題のついでに「このセリフってどういう意味?」と聞いたりすることもありましたね。
清水氏:黒田がひとりで翻訳して、山城がニュアンスを汲みつつ書き直す、という体制でした。ちなみに、フォントなどは山城が担当してます。
――フォントやユーザーインターフェイスでこだわったことについて教えてください。
山城氏:一番大事だったのは「英語版と近いフォントを選ぶ」というところだったのですけど、字幕だけは雰囲気を変えてます。最後の最後に「やっぱコレに入れ替えて!」って頼んだりして。あと、字幕のタイミングの調整も大変でしたね。
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清水氏:『OBDUCTION』には最初から英語字幕が収録されていて、他の国の言語はこの英語字幕をベースに翻訳していると思うんですよね。でも日本語版は「英語字幕を全捨て」で、音声をベースにしながら訳して、字幕表示のタイミングも独自に測って入れています。ちょっとしたプログラムを書いてタイミングを合わせられるようにして、字幕用のタイムコードまで作ってCyanに送っていました。
山城氏:Cyanもそこまでやるとは思ってなかったみたいで。「いや、書き換えるだけでいいんだよ!」なんて言われました。でも英語と日本語では尺も変わってしまうし、そのままでいくと、どうしても違和感が出てしまいますからね。
――『Myst』シリーズの物語は「最初から完璧に目的が説明される」というわけではありませんし、難解なところも多々あると思います。そういったところを分かりやすく伝えるためのアイデアについても、ぜひ伺いたいです。
山城氏:「主語と述語を分かりやすく構成した」というのはありますね。「このセリフは誰が言ったものなのか」というのをハッキリさせたり。あと、英語って「同じ言い回しの繰り返し」を避ける傾向があるんですよ。同じ内容でもわざとフレーズを言い換える、ということが多いのですが、日本語では分かりやすさとバランスをとって、逆に「同じ言葉で繰り返す」ようにしていました。
――たしかに、海外の作品だと「最初は苗字で呼んでいたのに、次のシーンでは名前で呼んでいる」ということも多そうです。
清水氏:あるあるですね(笑)。
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山城氏:“ファーリー”というキャラクターを初めてテキストで見たとき、最初は苗字じゃなくて名前だと思ってたんですよ。あるとき、“ファーリー”を巡る話の中で“キャロライン”っていう人が出てきて。そういう別人のキャラクターかと思ってたら、ちょっとこれ同じ人じゃん!って気付いたりして(笑)。
清水氏:“ファーリーのお父さん”も“ファーリー”としか呼ばれてなくて、更にややこしい(笑)。
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山城氏:だから、日本語では“キャロライン・ファーリー”ときっちり書いたりもしましたね。まずはキャラクター名を覚えてもらわないと!って思って。
――ちなみに、海外のユーザーはそういったテキストを英語版でどう解釈しているのでしょう。単純に「そういった複雑な表現にも慣れている」ということでしょうか。
清水氏:PCの英語版では、多くのメッセージが手書きなんですよね。メモや手紙だと人物ごとにフォントが変わってくるので、だいぶ分かりやすいとは思います。ただ、テキストをそのまま翻訳先の言語に置き換えると、フォントの種類がひとつしか選べなくなりますし、そうなると「誰がそのメモを書いたのか判別できない」という問題が起きます。
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山城氏:そういうところはなんとかしたい、と思って字幕のオーバーレイ機能を取り入れました。日本語をオンオフして、手書きメッセージも確認できるように。
――国内PS4版で日本語ガイドを採用した経緯について教えてください。他の国やPS4以外のプラットフォームでも収録されるようなケースはあったのでしょうか。
清水氏:国内PS4版の独自の特典となっています。ナイトメア・プロジェクトでいちから制作し、ガイド内の文章を英訳してからランド・ミラーに確認してもらっていました。最初の提案のときにはどうかなー、断られるかなーって心配したんですけどね。
――日本独自の要素ということなら、拒否される可能性もあったかもしれませんね。
清水氏:Cyanとしては『Myst』シリーズを“ゲーム的”に見せるのが嫌なんですよ。『Myst』だって最初はBGMすら付けていなくて。開発途中で「さすがにBGMはつけようか」と考えを改めたのですが、そんな話もあるくらい「ゲーム的な演出」があまり好きじゃない。そういうこともあって「中途半端なヒント」を避けているんですよね。
――やはり、プレゼンの際には苦労されたのでしょうか。
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清水氏:それが、どういう意図でガイドを付けたいのか説明してみたら、割と軽くOKもらえてしまって。日本のゲーマーには特に分かりにくいポイントもありますので、一部は分かりやすく解説するという形で制作することができました。
黒田氏:がっつり資料を作って打ち合わせの時間も設けていたのに、あっさり通ったので、私達も「えっ、良いって言ってますけどどうします?」と困惑しました(笑)。
山城氏:それに、そもそもPC版ではスクリーンショットを撮る「フォト機能」があったんですよね。PS4版では仕様上の問題で「フォト機能」を取り入れることができなくて。
――なるほど。パズルを解くため、ゲーム内の景色や暗号のようなものをメモするために使うことも多いですよね。
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山城氏:Cyanは「フォト機能」を付けたがっていたんですけどね。どうしても不可能だったので、そこでゲーム全体の攻略の方法が変わってしまっていた、というのもひとつの理由です。特に、地図だけはなんとかしたいなと。
清水氏:PC版を遊んだ人も、攻略のためにスクリーンショットを撮るのは必須だったと思います。PS4版だと一旦ゲームを閉じることになりますし、オリジナルとはプレイ感が大きく変わりますよね。
――モバイル版の『Myst』も攻略ガイドを収録されていましたね。
清水氏:あのガイドはCyanが用意したものでした。段階的にヒントをくれるもので、「ここから先はネタバレになるけど本当に見ますか?」とくどいぐらいに聞いてくるのですが、それでも承諾していくと答えが見られるものでした。Cyan的にもさすがに考えたのでしょうね。モバイル版ということで、策を講じたのだと思います。
――サンソフトは『いっき』や『アトランチスの謎』でも知られていますが、両作のノベライズ版が発売されていましたね。直接的な『Myst』の権利保有はされていないと思われますが、こういった作品をこれから発売するプランはありますか。
清水氏:現在サンソフトでは予定していませんが、『Myst』の前日譚をノベライズしたものは発売されています。イギリス文学みたいな雰囲気なんですよ。アメリカでは3部作として出版されていて、日本では第1部のみ、翔泳社さまから翻訳版「ミスト アトラスの書」として発売されていました。
山城氏:ちなみに、新作が出たとして需要はあるのでしょうか……(笑)。
清水氏:『Myst』はゲームの中であまり語っていないところも多いですからね。「本の中の世界へ行く」という話を、ゲームをプレイしながらじわじわ読み解いていく、というのが『Myst』ですから。
黒田氏:最近は子ども向けにもゲーム原作の小説が発売されていますよね。私は小学生の子どもが2人いるんですが、読書感想文のための本を探してあげてたら、映画ノベライズ作品と一緒に『星のカービィ』や『レイトン』の小説版が並んでるのを見ましたよ。『Myst』も有り得なくないかも……。
清水氏:いや、だいぶ違いますよ!(笑)『Myst』も『OBDUCTION』も、同じ感覚でノベライズしたら難しそうですよね。スイッチやレバーを操作した主人公が「なんだ、これは……」とつぶやくようなものになってしまう(笑)。
――独り言のシーンが多くなりそうですね(笑)。
山城氏:『OBDUCTION』で言えば、ファーリーの手記や「種の起源」の話はテキストだけで読んでも面白いかもしれないですね。読み込むのが楽しい内容ですし。
――海外では実写ドラマ版『Myst』が企画中ということですが、日本での展開はどうなるのでしょうか。
清水氏:ランドが進めている、という話をもう15年くらい前から聞いてます。そこからどうなってしまったのか分からないのですが。あまり人物が出てこないので、やはり難しい作品になりそうです。
――更に、『Myst』遊園地化計画と言うのも存在しているらしいのですが……。
清水氏:そちらについては詳しく聞いていませんが、メカニカルエイジとか、ストーンシップを題材にするのでしょうか……。
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山城氏:『OBDUCTION』だと、遊園地にしても乗り物があまりないですよね。トロッコとか?
清水氏:『OBDUCTION』をリアルで遊べたら、ほとんど「リアル脱出ゲーム」になりそう。頭をとても使う複雑な脱出ゲーム。
――『OBDUCTION』は、どちらかと言えば古典的な作りのアドベンチャーゲームに分類されると思います。これで最後の質問となりますが、そんな『OBDUCTION』を「2018年の今、日本でPS4向けに発売する」と決断されたときに、どのようなことを志されましたか。
清水氏:正直なところ、「今の最新技術で、今のプラットフォームに向けて、こういうゲームを出すべきだ!」と志していたということはありません。ただ、一定の「流行りのゲームジャンル」がある中で『OBDUCTION』のようなゲームをリリースすることは、「ゲームの多様性」のためにはなるだろう、とは思っていました。「アドベンチャーゲームに一石を投じる」という感覚もなかったですね。やはり、Cyanと築いてきた信頼関係が大きいです。
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清水氏:「ざっくりとした直訳のローカライズ」ではリリースしたくなかったですし、ランドとの信頼関係から、ある程度は自由に任せてくれるだろうということも分かっていました。もし任せてもらえるなら良いものにできるという確信がありましたし、「良いものにして、日本のユーザーに届けたい」という思いが一番強かったですね。
――ありがとうございました。
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