シリアスとコメディが混ざり合った独自の世界観と、類を見ないユニークな戦闘システムで、多くのゲームファンを魅了した『END OF ETERNITY』(以下、『EoE』)。その名作が4K/フルHDに対応した『END OF ETERNITY 4K/HD EDITION』として、PS4とSteamのダウンロード専売にて、2018年10月18日に発売されます。
「最高にハマった」「何もかもが早すぎた」「リーンベル可愛い」などなど、多くのゲームファンを魅了した本作ですが、なぜこのタイミングでリマスター版の発売に至ったのか。インサイド編集部はその理由を探るべく、2人のキーマンにたっぷりとお話を伺ってきました。中々のボリュームになってしまいましたが、『EoE』ファンには堪らないものとなっているはず。ぜひ、お付き合いください。
なぜ今、『EoE』がリマスターされたのか
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──まず始めに、自己紹介をお願いできますか。
向峠氏:向峠です。僕は『END OF ETERNITY 4K/HD EDITION』のプロデューサーをしています。
勝呂氏:勝呂です。原作のPS3/Xbox360版ディレクターをしていました。よろしくお願いします。
──今回の発表は驚きました。なぜ今、リマスター版を制作したのでしょうか?
向峠氏:きっかけは『スターオーシャン4 –THE LAST HOPE-』のリマスター版を2017年11月に発売したことでした。このプロジェクトで元々あったタイトルをリマスターしてPS4とSteamに出すという経験をしたのですが、終わった後に「他に何かリマスターできるタイトルはないの?」という流れになりまして。そこで、『EoE』が良いんじゃないかということでセガさんにお話したところ、「トライエースさんがやるならどうぞ」となった次第です。本音を言うと、これで売れて、続編制作につながったらうれしいです。
──PS3/Xbox360版ではセガさんがパブリッシングに入っていましたが、今回は完全に自社だけですか?
向峠氏:そうですね、パブリッシングもトライエース。セガさんは監修という形で関わって頂いています。
──勝呂さんは『EoE』をリマスターしますと聞いたときはいかがでしたか?
勝呂氏:発売からずいぶん経ちましたが、続編を出してほしいという声もありましたし、改めて新しいユーザーに届ける機会が得られたのは嬉しいなと思います。
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──今回はSteam版も発売されます。やはり、海外でのヒットも狙っていますか?
向峠氏:Steamも今はプラットフォームとして無視できないですよね。海外でも売れてほしいと思います。
勝呂氏:PCだとプラットフォームが移り変わって遊べなくなるという事が少ないので、作った側としてはコンシューマー機より嬉しいかなってところもあります。
──海外の評判はいかがですか?
向峠氏:海外も反響がでかくて驚いています。
──当時も海外ユーザーからの反響は結構あったんですか?
勝呂氏:そうですね、ハマる人とはまらない人、ボロクソ言う人とやっぱり極端。別れがちな感じではありました。
向峠氏:今だったらアリだったんじゃないかなと思うんですけどね。リマスター作業の中で感じたのですが、2010年当時に発売されたタイトルとしてはクオリティ高いなあと。ムービーも、今見ても全然見劣りしない。4K化をしてるんですけど、ほとんどそのままアップコンバートしただけなのに、遜色無いんです。
──リマスター版は、どこらへんが大きく変わっているのでしょうか?
向峠氏:ゲーム自体は素直に原作重視です。内容で変えたところはないですね。特徴を挙げるとすれば、PS4版でもPC版のように、被写界深度やブラーなどを細かく設定できるようにしました。普通なら、ゲーム側で最適化された設定を一つ用意するだけですが、色々と画面設定もこだわりたいユーザー向けに、そういう仕様になっています。
──ユーザーとしてはありがたいですね。
向峠氏:4k化ってやっぱ負荷が高いんです。解像度で言うと描画が9倍になるわけです。そうするとマシンスペックは相当必要で、PS4 Proでもフルフルでエフェクトをいれると結構しんどい。極限まで最適化はしましたので、最大限のパフォーマンスは出せてると思うんですけども、フレームレートを最優先にしたい方もいるでしょうし、そこに配慮した形です。
──基本的には、コンテンツの部分は当時のままですか?
向峠氏:当時のままで十分いいと思ってます。「ちょっと難しいから簡単にしよう」なんて下手に弄ると、原作の良さが無くなっちゃうので。
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