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『428 ~封鎖された渋谷で~ (以下、428)』が2008年12月4日、セガ(開発:チュンソフト)よりWiiで発売されてから今年2018年で10周年を迎えます。
同年9月6日にはPS4/PC版がスパイク・チュンソフトよりリリース。 1998年1月22日に発売された前作『街』(発売・開発:チュンソフト)とともに長らく愛されているシリーズですが、いまのところ新作のニュースは出ていません。
『428』から10年。そして『街』から20年が経ちました。今、新たな渋谷の物語が生まれるとしたらどんなものになるのでしょうか?過去の『428』、そして『街』を再びプレイし、実際に渋谷を歩きながら想像してみました。
ハチ公前の人々
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渋谷駅に降りたときには午後3時を過ぎていました。ハチ公前はいつものように人が集まっており、銅像と一緒に写真を撮る人をしばしば見かけました。海外から来た方が多いようです。
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人々がハチ公前を待ち合わせや時間をつぶすのに使う風景はあまり変わっていません。ですが、その周りの人々の姿は刻一刻と変わっています。10年前は、ある少女が莫大な身代金を渡す場所でした。
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その少女とは『428』の大沢ひとみです。近野成美演じる彼女はこの物語のキーマンとして活躍。ミステリアスなキャラクターとしてプレイヤーを引っ張っていきます。物語の冒頭ではアタッシュケースを抱え、たったひとりで待っていました。
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さらに20年前の『街』では、高校生の飛沢陽平が女の子に呼び出された場所でした。「デートの待ち合わせなのかな?」と思いきや、莫大な現金の受け渡しと同じくらいの深刻な事情を告白されます。一度遊んだきりの女の子に妊娠したことを告げられるのでした。
いま、この場所ではヨーロッパから来たと思わしき金髪の男性や、褐色のインド系の青年、ヒジャブを被った妻を連れる男性とその子供たちという中東系の家族がしばしば目にします。
日本で外国籍の人々は徐々に増えています。コンビニに行けばアジア系の店員がレジにいることも珍しくなくなりましたし、ニュースでも外国人技能実習制度が話題に上がることも多くなってきました。
『428』、『街』といえばザッピングです。これは異なる人物の視点から状況を多角的に見せるシステムでした。過去にも外国籍の登場人物が出てきましたし、今後、主人公の一人として登場することにも意味はあるでしょう。他の日本人の主人公とザッピングすることで、多様な価値観を描くことができるかもしれません。
『街』、『428』の時代に影響を与えていた実写ドラマ
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2008年にリリースされた『428』。それから10年も経った……というのは正直な話、実感が薄いです。しかし今回のPS4版を遊んでみるとあの当時の環境や、人気を博していたものが見受けられ、そこではじめて時の流れを感じました。「あのころはあんなドラマも流行っていたな」ということを思い出してきたのです。
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チュンソフトの実写サウンドノベルは、実際のドラマの方法論がモデルとなっています。サウンドノベルのプロジェクトの中核には、テレビドラマの脚本家として活躍した長坂秀佳氏が関わっていました。『街』は「一人一人にドラマがあり、テレビでチャンネルを変えるようにドラマを描く」 という、ゲームならではの視点を利用したものです。
さて『428』はどんな実写ドラマが背景にあったのでしょうか?本作は複数の登場人物がある事件に関わり、刻一刻と状況が変わる一日を描いた作品です。そう、海外ドラマ「24 -TWENTY FOUR -(以下:24)」シリーズです。
「24」は「ドラマの1話分の時間が実際に1時間経過する」というリアルタイムの緊張感を特徴としています。ディレクターのイシイジロウ氏はインタビューにて、このコンセプトに影響を受けていることを過去に語っていました。
イシイ:(中略)428では,とかく面白さが伝わりにくい群像劇の欠点を潰しつつ、「24」のようなスピード感のあるリッチな内容を目指して、見た目に映える顔の役者さんを起用したり、ストーリーも分かりやすいサスペンスというテーマにしたんです。
(「4Gamer×ゲーマガ連動企画第1弾! 今だから話せるサウンドノベル「428 -封鎖された渋谷で-」の秘密を,総監督イシイジロウ氏に直撃!」4Gamerより引用)
現在の実写ドラマはどうでしょうか?たとえばNetflixをはじめとしたサブスクリプションサービスによるオリジナルドラマが話題となっています。扱う題材も人種や性の多様性や社会的なテーマを取り扱うことが多く、いま最新作が出るとすればそうしたデリケートなテーマを扱うことにリアリティがあるでしょう。
「不良」の変化
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街を歩きながら、ふと街路樹を見るとしばしば缶やレジ袋に詰められたゴミが捨てられています。それを目にしながら『428』の主人公のひとり、遠藤亜智を思い出していました。カラーギャングの見た目なのに、街のゴミを集める「エコ吉」という妙なキャラクターに仕上げられていたのはこういう現実を見てのことなのかもしれません。
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いまではカラーギャングも古びてしまいました。少し調べてみると10年で各グループの幹部の逮捕や、ライバルグループが消えていったことで徐々に下火になっていったようです。
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不良も時代によって変わります。20年前の『街』ではチーマーなんて言われていました。元外人部隊の高峰隆士に立ちはだかる敵として登場した彼らですが、現在リアリティのある存在ではありません。
今はどう呼ばれているのでしょうか?まず思いつくのは半グレです。語源は「半分グレている」とそのままなものから「暴力団に所属していないゆえのグレーゾーン」など分かれているようです。どこにも所属せず、暴力団と似た活動をするこの集団は危険性の分かりづらさがあります。
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『街』のころの90年代、危険な人物や組織とはわかりやすい存在でした。元暴力団員の牛尾政美のシナリオの冒頭では渋谷スクランブル交差点を堂々と歩くシーンが印象深く、本編でも暴力団がフィーチャーされていました。
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暴力団排除条例の施行以降、牛尾政美も現代では成立しなくなりました。新たなる渋谷の物語の主人公の前に立ちはだかるのは、暴力団の姿が見えなくなるにつれ台頭した半グレとなる可能性が高いでしょう。
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