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去る10月27・28日、マレーシア・クアラルンプールにおいて、デジタルエンターテイメントへの投資を行う企業・Global Top Round(以下GTR社)が主催する、インディーゲームスタジオへの投資イベント「GTR Conference 2018」が開催されました。今回は前回の一日目に続き、プレイテストとトップ10が発表された二日目の様子をお届けします。
世界から選ばれたインディーゲームスタジオがマレーシアに集結!「GTR Conference」レポート(Day1)
トップ10選出タイトルには4万ドルの投資!ユーザーを巻き込んだテスティングコミュニティの設立も発表
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2日目のオープニングセッションはGTR社創立メンバー・CEOのDanny Woo氏が登壇。NHNとサムスンでの投資活動経験を持ちます。
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GTRのプログラムは2015年にスタート。開催を重ねる度、雪だるま式に規模が大きくなっている、この勢いはもはや止められないとアピール。
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Amazon、AirbnbとGTRの共通項はクレイジーで非現実的なアイディア、困難な資金集め、そして世界を変えようとする(強い意志)である、と語りました。
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インディーゲームスタジオの多くは初期に資金とパブリッシャーを探すことが困難であり、投資グループやパブリッシャーは資金を出す意思はあるが、期待できるスタジオの確保は困難。そこに大きなスタジオとパブリッシャーのギャップが存在します。
パブリッシャーの多くはスタジオに不利な契約を行うことが多く、またその多くがローカルマーケットにのみソフトを供給しグローバルにタイトルをリリースできないとも。
GTR社の役割はグローバルにゲームを発売しようとするインディーゲームスタジオに対し、投資とパブリッシングプラットフォームを提供することです。
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GTR社のプログラムは5つのセクションで構成され、まずプログラムへの応募から始まり、このカンファレンスに招待する20タイトルが決定。このカンファレンスによる投票で10タイトルが決定。採択された10タイトルには投資とメンターによるサポートが与えられます。サポートの中にはスタジオのインフラ整備やスペイン・バルセロナのゲームインキュベータ「Game BCN」の協力によるオフラインワークショップの開催などが含まれます。さらに上位のタイトルにはグローバルマーケットへの展開や追加投資も。
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GTRとスタジオは、日本・中国・北米・南米・欧州・アジアといった各マーケットにどのような形(自社パブ/ローカルパブリッシャー経由/GTR社による発売)でリリースするかを選択できます。また、“GROUND”というユーザーによるテスティングプラットフォームを開設することも発表し、フォーカステストのできるシステムも構築します。
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GROUNDのテスト画面。GTR社が投資したタイトルのベータテストが開催され、感想をスタジオに送ることができます。JAPANって書いてますがテキストが英語なのはご愛敬。
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GTR社とパブリッシング契約を結んでいるパートナー会社の一覧。日本市場向けにはネクソンやSIEがパートナーとなっています。中国市場向けは『荒野行動』のNetEase、『Monkey King』などで日本でも知名度を上げているOasis Gamesなどが提携。ほかにもRaw Furyなどがパートナーです。
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スタジオの成長曲線に応じた投資も継続的に行っていくとのことで、最大数百万ドルの投資が可能となっています。協力する投資家グループにはNCSOFTや日本のコロプラネクスト、「トゥーキョーゲームス」の出資をしたKoolong Nightなども含まれています。
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「GTR Conference 2017」で採択されたトップ10タイトルのうち、6タイトルがパブリッシャー決定、2タイトルが追加出資が決定しています。
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トップ10に採択されるとGTR社より4万ドルの出資が確定します。なお対価としてGTR社は5%の株式を保有します。
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2日目も業界動向などのセッションがありました。最初はFingersoft/Round ZeroのPasi Jokinen氏。
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Fingersoftはフィンランド3位のゲーム会社で、『Hill Climb Racing』が1億ダウンロード・3,000万MAUを誇るモバイルレースゲームのトップ作品となっています。
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その規模故、パブリッシュ案件も多くなっています。一方でマニュアルレビューはバイアスがかかる、遅い、誤った情報が間違ったカスタマーサービスにつながるなどの問題も抱えています。
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Fingersoftはゲーム開発事業に特化し、パブリッシング事業を新設会社のRound Zeroに移管、データ解析を基にするパブリッシング事業に乗り出します。
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『Hill Climb Racing』シリーズなどからの広告誘導からダウンロード数やパフォーマンスを測り、ソフトロンチに向けての改良を重ねるそうです。
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AIを活用したパブリッシングプラットフォーム「DOME Technology」を開発中。KPIなどのパフォーマンスをディープラーニングで学習し、どのような改良をすればよりパフォーマンスが出るかを測定するそうです。
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ゲームサービスの運営を行うNeowiz Able Studio・Yerim Lee氏による講演は「サービス化したゲームをどう運営するか」というもの。
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PCの場合は動作しないゲームがクッキーの削除で動くようになったり、ウイルス対策ソフトのコンフリクトなどが問題になることがあり、サポートでどう説明するかも問題になるそうです。
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インディーパブリッシャーによるパネルディスカッション。左から中国Another IndieのIain Gerner氏、HeadUp GamesのDieter Scholler氏、スペイン・GameBCNのOscar Sahun氏、Rogue SnakeのMark Venturelly氏が登場。一番右はGTR社COOのRick Nahm氏(モデレータ)です。
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テーマは「インディーゲームをグローバルに送り出すには」。問題となったのは今も政府対応が話題となっている中国、そしてレーティングシステムの簡素化・低価格化が進んでいない日本。CEROレーティングは基本的に15年前のパッケージソフト全盛時代に作られたもので、小規模なダウンロードソフトに対しては費用面や海外からの申請などが問題になっているようです。
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試遊、投票、そしてトップ10決定。日本のスタジオの参加にも期待が
セッション終了後は3時間半に及ぶゲームの試遊に。プレイ後のフィードバックを受け、今後の開発指針にするスタジオも見受けられました。なお、プログラムの応募には「応募時点でワーキングデモの開発が完了もしくはソフトロンチが行われていること」が必須となっています。
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試遊後は全員参加――各スタジオだけでなく、GTR社スタッフ、登壇者、メディア(筆者含む)――によるタイトルへの投票が行われました。ベストゲームに5点、よかったタイトル3本に3点を入れることができ、その獲得スコアの上位10スタジオが4万ドルの資金提供を受けられます。
投票の結果、2018年のトップ10は以下のタイトルとなりました。
●Guards!
●Dogfight: World War 2
●AVARIAvs
●The Peterson Case
●Above
●Girl in the BL
●Robot 4Z:The Last Protocol
●EChoes of Orion
●Exacta Mundo
●The Hutching
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なお、GTR社の方は「日本のインディーゲームスタジオにも参加してほしい」ということを強くアピールしていました。日本の隠れた才能に期待している、ということですが、個人的には正直なところ多くの日本のインディーゲームスタジオにはそぐわないプログラムとも感じています。源流となる同人ゲームを含め、“自分の遊びたいゲームを、完成したら発売する”という考えの作り方のところが多いためです。また、英語でやり取りをすることも必要となるため(なお、英語が母国語ではないアジア圏のスタジオも多く参加していたのですが、みなさんちゃんと英語で話していました)、そのあたりも厳しいところかもしれません。
とはいえ、グローバルな視点から開発するゲームを改めて見直すことができる、というのもなかなか得難いチャンスではあるはずです。出資に対する責任はもちろん発生しますが、興味を持ったスタジオの方はコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか。