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イベントにはシリーズの統括プロデューサー・九条一馬さん、声優の村井理沙子さん、主題歌を担当された飯田舞さんが登壇。イベント前半では九条さんと村井さんによるトークセッションが行われ、紆余曲折を経て発売に至った本作の開発についての裏話などを披露。
また、後半では飯田さんによる主題歌「約束の日」を含めた全3曲のライブパートも行われ、本作の発売を待ちわびたファンのみなさんを楽しませました。
■ファンに支えられて実現した発売
トークへ移ると、まずは本作が開発に至った経緯を説明。元々PlayStation3のゲームとして、2010年に『絶体絶命都市4 -Summer Memories-』のタイトルで発表された本作。一時は販売中止にまでなっていましたが、新会社“グランゼーラ”を立ち上げ『絶体絶命都市』の版権を取得しこの発売まで漕ぎ着けています。
九条さんは、その時点ですでにいずれ出そうという想いがあったそうです。やっていたことが無駄になったり間違っていたとなるのは嫌だったそうで、できれば“絶体絶命都市”というタイトルのままで出したかったのだとか。
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ゲームその物は1~3までは災害で取り残された主人公が脱出するという部分があったそうですが、4では逃げる人だけでなく被災地に住み続けなければならない人々の機微を伝えたものを作りたいと企画がスタートしたそうです。
開発中止で心折れずにここまでこられたのは、ファンのみなさんの力が非常に大きかった様子。「待ってくれていたのがスゴイ」としみじみ語った九条さんは、とっくに倒れていて後ろから支えられて立つことが出来ていたと話していました。
PS3版からの変更点については、基本的には全部作り直しているそう。ただし変えようとか足そうと意識してはいないようで、足したのはゲームを進めて行くと災害時に役立つ情報が手に入る“防災マニュアル”なのだそうです。
VRも大きく変わったポイントですが、本作の権利関係が落ち着いた時に最初に試していたのだとか。見てみた結果、本作に合っていると結論付けられたとのことで、本作がPS3の『絶体絶命都市4 -Summer Memories-』頃からさらに進化を遂げていることがわかりました。また、VRは使いまわしに見えて二重に作っている部分があるようです。
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続いて村井さんが、九条さんに本作の開発で苦労した点を尋ねました。九条さんはゲームそのものを作るところに余り苦労を感じなかったそうですが、「妙なところで苦労があった」と話します。
PS3版を見ながら制作を進めて行くことになったそうですが、当時はキャラクターの携帯電話が“ガラケー”になっていたそうです。それを“スマートフォン”に変えて行く作業があったのだとか。
また作中で選ぶことが出来る“選択肢の多さ”についても話題に上ります。その違いなどについて「必要があるか」と問われることがあるそうですが、これについては“主人公が勝手に喋ることが嫌だ”という想いがあり、主人公に言わせたいことや、やらせたいことを選択肢にしている部分があるそうです。
■男性用のメイド服も用意されている
トークがひと段落したところで、ファンからの質問に答えていくコーナーに。アンケートボックスに寄せられた質問は多種多様なものとなっていて、最初の質問は「一番力を入れた部分は?」となっていました。
九条さんはゲームを作る上で一部分だけに力を入れる事は出来ないと前置きしつつ、悲しいところは悲しい気持ちになれるようにすることと、“バカゲー”と言われたりすることもあるエンターテイメント性のバランスには気を使っていると話しました。
この他には「ゲーム中のキャラクターが着る中で好きな衣装は?」との質問に対し、“メイド服の男用”という単語が飛び出しました。メイド服と言うとやっぱり女の子が着るものという印象がありますが、ベテランの制作スタッフの方は疑問を抱かず男性用のメイド服の作業してくれるのだとか。しかし制作に入ったばかりの新人スタッフの方はやはり疑問を覚えるようで、男性の衣装についても確認してくれるそうです。
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その後は特に苦労した点を問われ、グラフィックに関しては現在のほうが作りやすいと述べました。ほかにも九条さんの描いたクオカードが特典として欲しいとの質問から、ゲームの特典周りの話題で盛り上がったり、ゲーム内で描かれる季節とロゴの色の関連性が語られました。
そうして最後に「シリーズを何作目まで作りたいか」とファンからの質問が投げかけられると、ファンの方が応援してくれるならばいつまででも作りたいと回答。今後の展望についても伺わせたところで、もうひとりのゲストとして飯田さんが登場しました。
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イベント後半は飯田さんによる主題歌ライブとなっており、本作の主題歌となっている「約束の日」をはじめ、「君は君のままで」「涙の代わりに」の3曲を熱唱。
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このライブをもってイベント終了の時間となり、最後に九条さんは本作の後日談を追加配信する予定があることを明かしました。また、作品を遊んだ感想や意見も求めているそうで、いいことばかりでなくとも制作の励みになるとして本イベントは幕を閉じました。