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先日、台湾の一般向け美少女擬人化グルメ作品がリジェクトされるなど、2018年末より加速するギャルゲ、もしくはそれに類するタイトルのSteamリジェクト。再び、今度は中国タイトルが対象とされたことが明らかにされました。
今回対象となったのは、中国の33paradox氏らが製作中の『筑盛計画_Victory Project』。本作は、ある男の復讐をテーマに、主人公がヒロインとの交流の中で失ったものを取り戻していく様子を描いた、一般向けのスタンダードなノベル型のアドベンチャーゲーム。なお、同作のCGクオリティは十分日本国内と比肩するものですが、33paradox氏は『ネコぱら』のクレジットにも彩色スタッフとしてその名を連ねています。
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Game*Spark編集部の取材に対し、33paradox氏は、「“未成年者の性的表現(児童ポルノ)”と“人道的グレーゾーンの描写”が問題とされた内容」であるとするものの、そもそも該当の表現とされる箇所が何処であるのかについての指摘がないとし、「要修正の場所が推測の域を出ない」と困惑の様子を見せました。
また、物語の性質上、作品には一部のセリフや表現における軽い性的暗示・テキストによるバイオレンスの描写が含まれるものの、アダルト的な内容はそもそも企画の趣旨ではないと説明。当該表現はいわゆる「エロ・グロ狙い」とされるものではなく、あくまで「一般出版物での表現の基準を遵守した、文学的表現の範疇のものである」としました。
なお、Valveからのメールにおいては高校生キャラクターの年齢に関連した記述があるものの、これも同作には関係がない事項であるとのこと。いずれにせよ、「人道的グレーゾーン」とされる部分においても、Steamで多くの作品で大々的に描写されているもので、作品の表現のマイルドさ・テーマ性のポジティブさを考えれば特に“リジェクトされるほど過激なもの”が存在しないと丁寧に説明を行ってくれました。
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その上で、氏はValve側がこの問題について「審査基準についての問い合わせ」に関するチケットなども含め、一切の連絡窓口を閉じていることを指摘。制作側として、ゲームコンテンツの調整に対応したくとも対応の方向を決めることすらできないと吐露しました。
また、他メーカーの、それも成人向けタイトルのケースでは、「リジェクトされた同じ内容を3度に渡り修正無しで提出した所、3度目では一切問題なく通過した場合がある」と、現状の非常に不安定な審査の状況を語りました。氏は、現時点では「(担当)スタッフが東アジアにおける美少女コンテンツの文化に対して理解があるかないかによって、審査結果がいくらでも変わる」と、問題を提起しています。
33paradox氏は、今後、Valveが一定の基準に基づく「審査→修正」のフローを実施することを願っているとしました。なお、同作は、今回問題となったSteam審査の関係で作業が停止しているものの、日本語化の予定もあり、日本Steamやその他プラットフォームで展開していきたいとのこと。
『筑盛計画_Victory Project』をご覧いただき、誠にありがとうございます。 そして、ご期待頂いている方々にはお詫び申し上げます。 より多くの方々にこちらの作品をお届けできることがこちらの願いであり、日本語対応バージョンの配信はぜひ頑張って実現したい目標でもあります。 これからも全力で頑張っていきます。 何卒宜しくお願い致します。
日本のユーザーへもこちらのコメントを下さいました。
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本作のリジェクトにあたっては、『ネコぱら』のNEKOWORKsも海外向けに、製作中の『ネコぱら Vol.4』に大きな影響が出る可能性の危惧をコメントする事態に。時を同じくして『HuniePop』で海外ユーザーに知られるHuniePotも『HuniePop 2』を1同様「規制版」としてリリースする旨を決定したとしました。
なお、1月後半より、複数のギャルゲ様式のタイトルがキャラクターの年齢について「18歳以上である」とストアページに明記を行っていますが、同様の記載を行ったタイトルが以前、発売後に配信停止措置を受けており、これらの記述が実際の効果を持つかは定かではありません。
昨今、市場ではSteamの真価が試される流れが続いていますが、水面下ではValveによりなおも激しく続く一部インディーデベロッパーへの冷遇や、それに伴ったValveに対する不信が発生しています。
2018年に「ゲームを区別しない」として表現規制の撤廃を謳ったSteam。その新基準の実施から数ヶ月程度で、自由になるどころか逆に一般タイトルすらコンスタントに不明瞭なリジェクトをされる様になった現状が、今後果たして何らかの大きな流れに繋がることになるのか、注目が集まるところです。