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『ディビジョン2(Tom Clancy's The Division 2)』は得盛りラーメンのようなゲームです。筆者はPC版で30時間ほどプレイしたのですが、まだまだ丼の底は見えません。発売したてのRPG型シューターとしては、いまだかつて類を見ないほど充実したゲームであるように思えます。無数の収集要素にPvP、ミッションもいろんな種類が山程揃っているので、隅から隅までプレイしようと思ったら現段階でかなりの時間を要することでしょう。
『ディビジョン2』は、なにか斬新な試みを取り入れたゲームではありません。こういったジャンルをやり慣れている人にとっては、目新しい部分はほとんどないでしょう。しかし、『ディビジョン2』の快適さや、あらかじめ提供されている膨大なコンテンツ量は目先の「新しさ」よりも価値があります。もし、友人を誘って4人でプレイできるCo-opシューターを探しているのであれば、本作はほぼ問題なくオススメできる作品です。
さて、筆者ですが、今のところはほとんど一人、または野良でプレイしています。このゲームは一人でプレイする者にとってなかなかしんどい仕様となっており、ストレスフルに感じられる瞬間もありました。でもそれは、ゲームをやれる友達がいない私が悪いんだ。きっとそうなんだ……そんなわけで、本稿は一人でノロノロと崩壊後のワシントンD.Cを探索した筆者によるレビューになります。もちろんオンライン要素には触れますが、その点はご留意ください。
旅行ゲームとしての『ディビジョン2』
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『ディビジョン2』の舞台はバイオテロによって治安が崩壊したアメリカ・ワシントンD.Cです。広義のポストアポカリプスものと言ってもいいでしょう。ポストアポカリプスもののオープンワールドRPGでワシントンD.Cが舞台といえば『Fallout 3』を思い出しますが、世界観の差やグラフィックスの進化などもあり、本作で描かれるワシントンD.Cはかなりリアルです。
時折足を止めてGoogleストリートビューで位置を検索し、実際のその場所の風景を確かめたくなる衝動に幾度も駆られました。比較画像は割愛しますが、これはかなりの再現度だと思います。筆者はこのワシントンD.Cのマップが、本作の最も素晴らしい部分であると考えます。
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アメリカの首都たるワシントンD.Cですから、もちろん様々な観光スポットがあります。そして『ディビジョン2』では、そんな観光スポットの内外で戦闘を繰り広げることになります。筆者のお気に入りは歴史博物館で、アメリカ史に思いを馳せながらドンパチ撃ち合うことができました。メインミッションのロケーションは本当にバリエーション豊かで面白く、あまり海外旅行と縁がない筆者でも「アメリカってこんな感じなのかなあ」と妄想を広められました。
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本作にはフォトモードも搭載されているので観光写真もバッチリ撮ることができます……が、野良でのミッション中などにじっくりこだわってフォトモードをやったりすると迷惑極まりないので、あまり出番がないのが残念でした。本作はかなり作業感の強いゲームであり、それは欠点ではなく本作にとっては美点なのですが、こつこつとレベリングのためにサイドミッションをこなしている時ですら現実のワシントンD.Cを観光しているような気分になれます。
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作戦基地がホワイトハウスなのも、単純ながらテンションの上がる設定で素晴らしいと思いました。個人的には「どうせゲームなんだったらハイエナのメンバーとしてハチャメチャやりたい」と思わなくもないのですが、まあそういうのは他のゲームでやればいいですし、時には正義を執行するのも悪くないものです。
これでもか!というほど盛られた要素たち
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シナリオを進めていくことになるメインミッションはもちろん、武器収集やサイドミッションに加え、ちょっとした探索要素、拠点解放やランダムイベントなど『ディビジョン2』にはやることがてんこ盛りです。プレイ序盤はちょっと進むたびに何か要素がアンロックされチュートリアルが出るので「これを全部把握するのはムリだぞ……」とちょっと絶望するほどでした。
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もちろん、できるからと言ってすべてこなす必要は無いので、要素が多いのは単純にとても嬉しいです。ただ、野良の場合はコントールポイントの奪還やサイドミッションなどがなかなか大変。メインミッションはミッションごとに専用のマッチングがあるのに対して、サイドミッションやレベリング、探索をしたい場合のマッチングは「フリーローム」という一つのカテゴリにまとめられています。
自分のしたいことをしているパーティーにマッチングすることは当然稀です。救難信号を出して、自分のミッションに他人の助けを求めることもできるのですが、筆者の環境ですと、あまりマッチングしませんでした。
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最初に説明したように、このゲームはなかなかソロではしんどいゲームなのですが、個人的に序盤で特に辛かったのが「コントロールポイントの解放」です。NPCを増援に呼べるとは言え、周囲を敵で囲まれてしまえば一人では対処しようがありませんし、リスポーンが遠いので死ぬたびに萎えていました(もちろん慣れてくるにつれ死亡率は下がっていきましたが)。
また、本作では常にメインミッションに臨むためのレベルが不足しがちで、かつ、フリーロームのマッチングが前述のようにあまり便利でないので、結果「メインミッションに野良で挑むと、ほとんどのメンバーのレベルが足りず苦戦を強いられる」というような悪循環も産まれていました。メインミッションの場合はコンティニューポイントが小まめに設けられているので、幸い「詰む」ようなことはありませんでしたが。
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ミッション以外の要素ですと、武器MODで武器性能を変えられるところが気に入りました。スナイパーもショットガンもサブマシンガンもライフルも状況によって強みがあるので、考えて使い分けるのもなかなか楽しいです。カスタマイズやスキルの選択で地味にバリエーション豊かな戦法が試せます。
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本作にはいわゆる「クラス」に相当する「スペシャリゼーション」というキャラクターカスタマイズ要素があるのですが、アンロックされるのは終盤もいいところなので、「ここでまた要素が増えるのか」と驚きました(そういえばベータテストのときそんなんあったなと思い出しました)。数十時間遊んだプレイヤーに「まだまだコンテンツあるんですが?」と突きつける素晴らしい構成だと思います。
やりごたえのある戦闘
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戦闘は基本的に「敵から撃たれないカバーポイントを見つけて、一人ずつ確実に、かつ接近される前に迅速に処理する」というようなもので、特攻してくる敵やタンク気味の硬い敵に防衛線を突破されたときのてんやわんや感も込みで、なかなか面白いです。迫撃砲やラジコン爆弾を使う敵などは、安全なポイントにこもりっきりにさせてくれません。
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「硬い敵」に関しては賛否が分かれるところだと思いますが、個人的にはそれほど気になりませんでした。本作は基本的には「ロールプレイングゲーム」なので、装備を掘るモチベーションを維持するためには敵も硬くなっていって然るべきでしょう。全員で一人の敵に集中砲火して、ようやく倒せたときには達成感も生まれます。少なくとも適正レベルで臨むメインミッションでは、一部の場面でちょっとストレスフルなところがあるぐらいで、理不尽に感じられる場面はほぼありませんでした。完全にソロでプレイすると大変そうですが。
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戦闘は少々単調に感じられることもありますが、複雑過ぎないちょうどいいバランスでしょう。前述の通り、メインミッションを進める限りはどんなに単純でもロケーションが新鮮なので、退屈することはありませんでした。こつこつした作業的なゲームプレイを通じてキャラクターを強化していくというハクスラならではの喜びは十分に味わえますし、一部のプレイヤーは中毒的にハマる魅力を持っています。
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本作は恐ろしいことに「ダークゾーン」や「コンフリクト」といったPvPコンテンツも収録しています。正直に言うと、筆者はあまりこれらのコンテンツに時間を割けていないのですが、「ダークゾーン」はソロプレイだとかなり辛い要素ではあります。とは言え、その気になればゲーム内クランを検索し、知らない人たちの中に飛び込んでいくこともできます。VCの有り無しなど嬉しい検索オプションも完備しているので、オンラインゲームでのコミュニケーションに抵抗のないゲーマーであれば参加しやすいことでしょう。
総評
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こういったゲームの宿命ですが、ときおりミッション進行不能などのバグに遭遇することもありました。しかしながら、同ジャンルの他作品に比べるとよっぽど少ないですし、わざわざ挙げるほどひどいと感じられることは、幸いなことに筆者の環境では起こりませんでした。最近はめちゃくちゃ不具合の多いCo-opモノ大作を立て続けに遊んでいたので、目立った問題がない『ディビジョン2』はそれだけでも魅力的と思えてしまいます。FTなど細かい利便性の高さでバグを上回る快適さがあります。
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とにかく、Co-opゲームが好きで、一本のゲームを長く遊びたくて、一緒にやるプレイヤーがいるなら本作は間違いなくオススメでしょう。飛び抜けてド派手なところはないのですが、敬遠しているのは勿体ないです。
もし一緒にやるプレイヤーがいないなら……私と一緒に遊びましょう!大丈夫!ダークゾーンも一緒に行けばきっと怖くないですよ!と、冗談は置いておくにしても、「ソロしんどい」と思いながらもずっと楽しく遊べましたし、まだまだこれからもやり込みたいと思います。ちなみに、本作のダウンロードコンテンツは無料で開放されるそうですし、アップデートも控えているので末永く遊べることも保証されています。
総合評価: ★★★
良い点
・ワシントンD.Cをリアルに描くマップ
・発売からまもないにも関わらず、コンテンツの量が豊富
・必要十分な戦略性を持った楽しい戦闘
悪い点
・ジャンルファンでなければ単調に感じられるかもしれない
・見逃せる程度ではあるが、バグはある
・あまり気持ちの盛り上がらないストーリー