気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、6 Eyes Studio開発、PC/Mac/Linux向けに5月1日正式リリースされたターン制SRPG『Fell Seal: Arbiter's Mark』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ストーリー主導のターン制SRPG。ファンタジーの世界観にスチームパンク要素も織り込まれています。40エピソードを超える長大なストーリーに加え、高難度なエンドコンテンツも用意。キャラクターには30を超える職業と300を超えるスキルが用意されるほか、様々なスキルも用意されており、それらを自由に組み合わせることが可能。記事執筆時点では日本語未対応です。
『Fell Seal: Arbiter's Mark』は3,090円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。
Pierre Leclerc氏(以下Leclerc氏)こんにちは!Pierre Leclercです。6 Eyes Studioという2人きりの小さなチームで、プログラマーを務めています。もう一人のメンバーは(私の愛する妻である)Christina Leclercで、本作のメインアーティストを担当しています。私はこれまで他のスタジオで、15年間ゲーム開発に携わってきました。
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Leclerc氏本作のことを考え始めたのは約6年前になります。当時、私はまだ大きなスタジオ(エレクトロニック・アーツ)で働いていました。その時はまだ本作の計画を立てたりデザインをしたり、貯金をしたりしながら、いつかフルタイムでゲーム開発に取りかかれるよう、準備をしていました。今からおよそ2年と少し前、時は来たと思ったのです!
アーティストがまず必要となるたくさんのデザインを完成させ、仕事を辞めても問題ないほどの貯金もでき、本作を完成させることだけに集中する準備ができたのです。そうして、私たちは仕事を辞め、このプロジェクトにフルタイムで取り掛かり始めました。
しばらくし、Kickstarterも成功させ、ベータバッカーの方達からはフィードバックを得ました。その2~3ヶ月後、Steamの早期アクセスを利用し、もっと多くの人に本作を遊んでもらいました。これにより、さらに多くの素晴らしいフィードバックをコミュニティから得ることができたのです。こうして、4月30日、ついに本作をリリースすることができました。
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――本作の特徴を教えてください。
Leclerc氏かなり正直に言うと、本作の強みは独創的であることではなく、むしろすでに証明されているコンセプトに光を当て、より良いものに仕上げているところです。とは言ったものの、本作には目新しい要素がたくさんあります。人気のあるものの一つに、他のRPGとは随分違うアイテムシステムがあります。本作では「ポーション」や「エリクサー」を購入したり見つけたりするのではなく、プレイヤーは一定量、敵と遭遇するたびにタダでこれらが補充されます。これにより、プレイヤーは勿体無いと思うことなく、好きな時にアイテムを使うことができ、同時に、99個のポーションを持ってごり押しするようなプレイスタイルを回避することができたのです。
このアイテムシステムは、クラフトシステムとも繋がっており、プレイヤーはクラフトを通してより強力なアイテムや新しいアイテムを作ったり、アイテム数を増やしたりすることができます。これによりバランスも保つことができ、アイテムを使うのもより楽しく、ごり押しでどうにかなるゲーム性も回避できたことから、とても成功しています。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Leclerc氏確かに、他のゲームからインスピレーションを受けています!私と妻は5歳ぐらいの頃からゲーマーです(30年以上ゲームやってますね!)。本作における一番大きなインスピレーションは、疑うことなく『ファイナルファンタジータクティクス』です。私たちの目標は、現在のUIとデザインを使い、これと似た体験を再現することでした。これ以外には、『タクティクスオウガ』『ヴァンダルハーツ~失われた古代文明~』『X-COM』からも多くの影響を受けていますし、古典的作品だと『ファイナルファンタジー4』『5』『6』が、カットシーンに多くの影響を与えています。
もちろん、これらは私たちが影響を受けたと認識しているものに限ります。長い間ゲームをしていると、気づくことなくたくさんのゲームから影響を受けているものですので。
――本作の日本語対応予定はありますか?
Leclerc氏いい質問ですね!実は、本作のローカライズは経験豊かなパブリッシャーが決めているので、私にもよくわからないのです。他の言語へのローカライズを決める前に、少し様子見をした方がいいとは思っています。しかし、本作のスタイルが日本のゲーマーの皆さんに受け入れていただけるとは確信しています!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Leclerc氏私も妻も、日本のゲームをプレイして育ちました。スクウェア、エニックス、アトラスのゲームが特に大切な思い出です!いつか日本に行き、日本の人々と会い、その文化と食べ物を実際に体験したいと思っています!インディーゲーム開発ではなかなか休みが取れなかったので、まずは休暇を取らなくてはいけないですね。(笑)
――ありがとうございました。
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