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「中華ゲーム見聞録」第41回目は、豆腐脳や様々な食材、調味料を使って美味しい朝食を作る料理シミュレーションゲーム『豆腐脳模擬器(Tofu Pudding Simulator)』をお届けします。
本作はBeijing ECG Technologyが開発、YXECGによってSteamで4月20日に配信されました。「豆腐脳」は豆腐の塊をスープに入れたもので、伝統的な中国の朝食です。豆腐脳に使われる豆腐は非常に柔らかくドロドロしたもので、固まる前の豆腐といったところでしょうか。箸で挟むと簡単に崩れてしまうので、食べるときにはスプーンやレンゲを使います。筆者も中国にいたころよく食べていました。
豆腐脳のスープは地域によって味付けが違い、一般的には北へ行けば行くほどしょっぱくなり、南へ行けば行くほど甘くなっていきます。スープによって豆腐脳料理の個性が出ますね。台湾では似たようなものに「豆花」がありますが、これは甘いピーナッツスープなどに入れて食べるスイーツの類で、豆腐脳のように食事中に他の料理と一緒に食べることはありません。そして豆腐脳のスープは温かいのですが、豆花は冷たい場合が多いです。
本作の内容ですが、様々な種類の豆腐脳(もしくは豆花)を作る料理シミュレーションゲームです。大豆を挽いて豆腐を作ったり、様々な食材や調味料を使ってスープを作ったりといった、実際に豆腐脳を作る過程を楽しめるゲームとのこと。「中華ゲーム見聞録」で料理ゲームを扱うのは初めてですね。さっそくプレイしていきましょう。
まずは下ごしらえから!
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ゲームをスタートすると、豆腐脳用の豆腐の作り方について簡単な解説が入ります。まず原料となる大豆を碗に入れ、水を注いでしばらく放置。実際に乾燥大豆を煮るときの準備と同じです。ちなみにこのゲームには気温や天気、湿度もあり、料理に影響を与えます。
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テーブルをクリックすると、食材や調味料が並んでいる画面になります。まだゲームをスタートしたばかりなので、大半の食材が灰色。料理を完成させるたびに新しい食材や調味料がアンロックされていくシステムです。とりあえず大豆を取りましょう。
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取った大豆を左下のアイテム欄からドラッグして碗に入れます。そののち、水桶を碗にドラッグして水を注ぎ、しばらく放置すれば大豆が膨らんできます。画面上のメーターを参考にしましょう。
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大豆が水を吸って膨らみました。これで碗を取ることができます。現実だと10時間ぐらいは放置する必要がありますが、ゲームなのでそれほど時間はかかりません。あまり長く放置しておくと大豆の質が悪くなってしまいますので、クリックしてアイテム欄に収めましょう。
大豆を挽いて豆腐を作る
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今度は大豆を石臼で挽き、豆腐脳の元になる豆乳を作ります。先ほど水に漬けた大豆をアイテム欄から石臼にドラッグです。
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石臼をクリックすると回転し、豆乳が絞り出されていきます。1クリックだけだとしばらくすると止まってしまうため、画面上のメーターがフルになるまでクリックを続けましょう。ちょっと根気のいる仕事です。
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豆乳が出来上がったら、次は豆腐を作ります。まず先ほどの豆乳を左側の鍋に入れ、火を点けてしばらく煮込みます。煮込みが終わり、温度が下がって80度ぐらいになったときに凝固剤を注げば豆腐の完成です。
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豆乳を煮込んでいる最中、おたまのマークが鍋の上に表示されるので、おたまを使って掻き混ぜてやりましょう。上のメーターがフルになったら火が自動的に消え、温度が下がってきます。メーターが4分の1ぐらい減少したときに、鍋のすぐ上にある凝固剤の入った水差しを鍋にドラッグすれば豆腐のできあがりです。
豆腐脳のスープを作る
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豆腐だけでは味がないので、次はスープを作ります。右側の鍋がスープ用ですね。様々な食材や調味料を入れて煮込むことができるのですが、現在使える食材がかなり限られています。最初はシンプルなものから作りましょう。
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まず鍋に水を注ぎ、それからテーブルの上にある食材と調味料を入れます。キノコとショウガがあったので、これを使いましょう。調味料は塩のみで。
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出来上がったのは「鹵汁豆腐脳」。朝食でよく食べられている普通の豆腐脳ですね。料理を完成させたことにより、トウガラシ、ネギ、醤油がアンロックされました。
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さっそく手に入れた食材を使い、新しい豆腐脳料理に挑戦。ネギ、枸杞、ショウガ、塩、トウガラシでスープを作ります。完成したのは「葱香鮮豆腐」。豆腐脳料理というよりも、普通の豆腐料理ですね。
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台湾スイーツの豆花にも挑戦。スープの調味料として使うのは当然砂糖。そして筆者が好きな「仙草」という黒いゼリーを加えます。ちょっと苦みがありますが、冷えた砂糖水に入れて食べると美味しいですよ。台湾へ遊びに行ったときは是非食べてみてください。
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そして「仙草豆花」の完成。台湾の伝統的な豆花は甘いピーナッツスープが使われますが、近年の豆花はスープに入れるものを自由にトッピングできるので、筆者はよく仙草を入れています。この調子でどんどん新しい料理を作り、新しい食材をアンロックしていきましょう。
庶民の料理が楽しめる中華料理シミュレーター
本作は自分の知っている料理のレシピ通りに食材を組み合わせると、思ったとおりの料理が出てきてくれます。「次はこれとこれを組み合わせてあの料理を作ってみよう」といったような、知っている料理をどんどん作っていける面白さがあって良いですね。食材も中華料理でよく使われるものばかりですので、普段から中華料理に接している人には楽しいゲームかと思います。
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その一方で、豆腐脳や豆花を知らないという人には、どんな食材を組み合わせれば何ができるのかというのが思いつきにくいかもしれません。その場合、フィーリングで食材を組み合わせて自分の好きなスープを作ってみるのがいいでしょう。きっと何かが完成するはずです。本作は日本語や英語はありませんが、食材もグラフィカルに表示されますし、言語の壁は低いかと。豆腐脳や豆花を食べたことのある方はぜひともプレイしてみてください。
製品情報
『豆腐脳模擬器(Tofu Pudding Simulator)』
開発・販売:Beijing ECG Technology、YXECG
対象OS:Windows、MacOS
通常価格:205円
サポート言語:中国語(簡体字)
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/1020840/_Tofu_Pudding_Simulator/
※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら。