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今回のプラモレビューは、『エースコンバット アサルトホライゾン』に追加DLCとして配信されたオリジナル機体「震電II」を題材としたプラモデル、1/72「エースコンバット 震電 II」をお届けします。
この1/72「震電II」は、ハセガワのクリエイターワークス枠として2012年に発売されたキットですが、他の『エースコンバット』関連プラモデルより多く再販される機会がある(2019年2月にケイ・ナガセカラーが再販されている)、比較的入手しやすいプラモデル。機体のデザインを担当したのは「マクロス」シリーズなどで監督やメカデザインを務める河森正治氏です。
ASF-X震電IIのスケッチです。河森正治氏によるこの機体は、現実世界を描いたACAHの中で「日本のステルス機」という虚構が持つリアリティを示しました。
— エースコンバット公式 (@PROJECT_ACES) April 1, 2016
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「震電II」は今回レビューする基本型を筆頭に、DLCに付属のCOLOR_03「ケイ・ナガセ カラー」、そして『エースコンバット インフィニティ』に登場するリッジバックス隊カラー「リッジバックス隊」の3バリエーションが展開。
他にも、開発史やバリエーション設定が掲載されたムック「エースコンバット アサルトホライゾン マスターファイル ASF-X震電II」や、テストパイロットのケイ・ナガセを中心とした航空小説「エースコンバット イカロス・イン・ザ・スカイ」など、プラモデルと合わせて「震電II」のバックボーンを描写するコンテンツが展開されていました。
縦双発という珍しい特徴を持つ「震電II」
ハセガワの「震電II」は、国内で航空機プラモデルの主流である1/72サイズであるため、ハセガワを筆頭とした多くのプラモデルと並べてスケールを楽しむことが出来ます。機体としては、縦双発という珍しい特徴を持ち、『アサルトホライゾン』世界の日本において「ASF-X」として開発され、翼端が下に折れ曲がる前進翼と上下に動く可変尾翼、そして2次元ベクターノズルで構成されています。
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「震電II」は、全長19.5mで全幅14.0mと設定されているために、1/72サイズになると全長27.3cmで全幅が19.5cmになり、同スケールのF-15EやF-35と比べると一回り大きいです。パーツ総数はSTOVL/SSCモード差し替えパーツを合わせて115ピースで、ランナーは汎用の展示台を合わせて9枚です。また組み立て説明書の迷彩指定がカラーで印刷されているため確認しやすくなっていますが、一方の組み立て手順欄は隙間無く解説が書かれているため少々見づらい部分もあります。
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『エースコンバット』オリジナル機体唯一の1/72スケールキット
それでは、「震電II」の制作の説明に入りましょう。まずは、機体内部のエアインテーク接着と縦双発の塗装と組み立てから入ります。上部エアインテークは吸気ファンまで作られていますが、下部エアインテークは吸気ファンまでを繋ぐダクトが入り口のみの表現にとどまっています。また、空対空ミサイルと対地ミサイルを収容する機体前後のウェポンベイも内部は再現されていないため(ゲーム中では描写されている)、比較的簡潔に組み立てることが出来ます。
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エンジン内部とベクタードノズルを塗装(塗料は、C28 黒鉄色とN76焼鉄色を使用)と接着、パイロンを吊り下げるため穴の開口が済んだら、可変尾翼を付け機体の上下を貼り合わせます。ここで気を付けたいのは、可変尾翼が上下に動くため接着が推奨されていないことです。可動を考慮しながら貼り合わせますが、接着剤が可動部に触れないようにする必要があります。可動域を確保し、前後を接着したら上部インテーク部の組み立て塗装に入ります。
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上部インテークは別パーツとなっている都合上先に塗装する必要があります。塗装は、プラスチックへの光の透過/拡散を防ぐサーフェイサー「Mr.フィニッシング サーフェイサー1500 ブラック(通称、黒サフ)」を先に塗ります。黒サフを使う理由は重量感を更に出したいためです。スプレー缶は、小面積の塗装でエアブラシの洗浄に洗浄液を使う量や時間の手間に比べて、メンテナンスの手順や時間を省略出来るために使用しています。
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上部エアインテーク内側と下部を黒サフで下地を塗り、指定色のクレオスC308(グレー FS36375)をエアブラシで塗装します。しかしながらこの部分は、隠れてほぼ見えなくなってしまうため、簡単に筆塗りで済ませても問題ないと言える部分です。なお、外枠を取り付けてみると微妙に本体との段差が生まれたので、スポンジやすりとポリッシャーを使って段差を緩やかに削りました。
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上部エアインテークの構造と翼端を接着したら、いよいよ全体塗装に入ります。ここで機体全体をチェックしてみると、どことなくモールドが浅く塗料で溝が埋もれてしまいそうになるために、一度けがき針を使って線を彫り直しました。またリベットメーカー(航空機表面に見える鋲打ち表現を出すツール)を使う航空機らしい表現を模索しましたが、『アサルトホライゾン』の「震電II」は、ウェザリング表現はあってもリベットが打たれているディテールがなかったので今回は見送りました。
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全体塗装はエンジン部マスキング→下地塗装→外周部/主脚部塗装→外周/主脚マスキング→塗装1段階目→マスキング→塗装2段階目の順番で行います。下地塗装は本体だけでなく、カナードやパイロン、ミサイル、着陸装置など全てに塗り込みます。下地塗装はガイアカラーの「GS-03 サーフェイサーエヴォ ブラック」を使用しました。
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サーフェイサーを全体に塗装し、塗料が乾燥したら外周部を指定色のクレオスC338(ライトグレー FS36495)で、主脚収容部をクレオスC316(ホワイト FS17875)で着色すると共にマスキングをします(今回は、細かい部分に塗って保護出来る「マスキングゾル」を一部使用)。「震電II」の迷彩色はF-15Jと同じC308とC307の2色に指定されているため、外周部分をマスキングしたらC308を全体に着色。次のC307塗装に入るため、ここで一旦更なるマスキングを行います。
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「震電II」の迷彩構成は、F-15JやF-15Cに近いため、組み立て説明書の塗装指示の紙を拡大コピーし、塗装する部分を切り取りとって型紙を作り、マスキングテープで貼り付ける方法で迷彩塗装を再現出来ます。
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しかしながら実際に切り取って取り付けてみると、機体中央が膨らんでいるために密着するよう貼り付けるのが難しく、型紙が浮いてしまいました。この状態だと塗装時に2色の境界線がハッキリと出にくくなるため、今回はこの方法は諦めます。結局大小のマスキングテープを用いて全面を貼り、塗装2色目の範囲に沿って鉛筆でラインをとって切り取り塗装に備えました。また迷彩2色目は機体後部の可変尾翼両面だけでなく、機体のカナード部分片面にも塗ります。
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全ての塗装を終え塗料が乾いたらマスキングテープ等を剥がし、最終組み立てに入ります。クレオスのラッカー塗料C307とC308は一見すると同じ色のように見えますが、濃淡が微妙に異なっているため、色が隣同士になった際に違いが分かります。なお、少し緑かかったグレーとなりますが、C307はタミヤの「ダークゴーストグレー」、C308は「ライトゴーストグレイ」の缶スプレーでも代用可能です。
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組み立てはコックピットから手を付けます。コックピット内部の指定色はC308であるために、機体塗装時にそのまま塗りました。一方の射出座席とHUD周辺の枠はつや消しブラックが指定されているために、黒サフ塗装時に塗ったものをそのまま使いました。
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加えて、コックピットのMFDにはデカールが指定されているためにクレオスの「Mr.マークセッター」を使ってしっかりと貼り付けます。次に、パイロットの塗装です。パイロットは、ヘルメットをC308、バイザーを光沢ブラック(アクリジョンN2)、飛行服をカーキグリーン(アクリジョンのN80)、ベルトをエアクラフトグレー(アクリジョンN57)で塗装。頭部と腕が分割されているため、ある程度指定位置に合うように調整して接着。パイロットをコックピットに着座させます。
また、ここでキャノピーのステルス表現のためにC101のスモークグレーをエアブラシで塗装します。スモークグレーは、クリア塗料であるために色の濃さが確認しづらいため、慎重に塗装を続ける必要があります。クリアパーツに吹きかけてみた段階では実際に黒くなったか認識しにくいのですが、取り付けてみれば、光が透過せず暗くなったことが分かりやすくなります。
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タイヤのゴム部分をタイヤブラック(アクリジョンN77)で塗ると共に、着陸装置を取り付けます。武装を取り付けとデカールを貼る前に、ここでスミ入れを行います。機体の表裏面共にスミ入れを行い余分な塗料を溶剤で拭き取ります。次はデカールを組み立て説明書を参考に貼り付けます。
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最後はミサイル部分です。「震電II」のキットでは、ゲーム中で装備出来る長距離空対空ミサイル(6AAM)の他に、70mmロケット弾ポッド(RKTL)が付属。今回は6AAM装備状態で組み立てました。
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これで組み立てと塗装の全作業は終わりです。次ページで完成したキットの全景と難易度を探って見ましょう