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毎年、E3会場近くの駐車場を貸し切り、ゲーミング用にカスタムされたキャンピンクカーで出展を行っているDevolver Digital。インサイド/ Game*Sparkは、Devolveブースにて、『METAL WOLF CHAOS XD』の発売を控えるフロム・ソフトウェアの竹内将典氏とDevolver Digitalのマーケティング・ディレクターを務めるナイジェル・ローリー氏にインタビューを実施。
発売が延期になった理由や、今後もフロム・ソフトウェアの旧作タイトルのリマスター版はリリースされるのかを訊いてきました。
◆「gamescom 2018」での竹内氏へのインタビューはこちら
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――当初の発表より発売日が遅れている理由を教えてください。
竹内将典氏(以下竹内)発売日はもともと2018年中の予定でしたが、遅れてしまったのは申し訳ないと思っています。移植作業はGeneral Arcadeという会社が担当しているのですが、最初のオリジナル版が初代Xboxという古いテクノロジーだったので、新しいテクノロジーに載せ替えるのに時間がかかってしまったんです。最近のゲームは、コンピューターの計算によって行われるフィジカルベースのレンダリングでグラフィックを作っているのですが、オリジナル版はアーティストが手作業で絵を作っていた部分が多く、それを分析してコンピューターが計算できるように置き換える作業が必要でした。試行錯誤が多い状況で、思ったよりも時間がかかってしまったんです。
――当時からWindowsベースの開発だったのではないのでしょうか。
竹内Windowsベースではあるのですが、当時はDirectXのバージョンがDirectX 7だった時代です。そして、Xboxの開発用はDirectX 7のXbox用のマイナーチェンジバージョンで、DirectXなんだけどDirectXそのものではないというものでした。純粋にPCゲームとして作られているものとは違うところがあって。ほとんどPCゲームなんだけどちょっと違うという、ややこしいものだったたんです。それをそのままPCゲームだと思って移植してみたら、トラブルを起こす状態になってしまいました。
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――昨年のgamescomのインタビューでは、当時『METAL WOLF CHAOS』が好きだった人向けの話をうかがっていたのですが、今回は、初めて触れる人へのアピールポイントをお聞かせください。
竹内おそらく、今回初めて触れる人は2種類いると思っています。初代のXboxでこのゲームが出ていたのを知っていたけど本体を持っていなかったなどの理由でプレイできなかった人。欧米のユーザーは、そもそも販売されていなかったのでプレイできなかったと思います。
2つ目は、全く知らなくて今回初めて知った人。『ダークソウル』などでフロム・ソフトウェアを知ってくれて、掘り下げていく中で『METAL WOLF CHAOS XD』を初めて知ってくれた人がいるのかなと。
この2種類の人たちには、それぞれ楽しみ方が違っているところがあるかもしれませんね。本作は、アクションゲームだけど『ダークソウル』のような死んで覚えるような難しいゲームではないです。でも、両方ともフロム・ソフトウェアのゲームなので、ベースとなるゲーム性だったり、プレイしたときに得られる達成感などは本作にも同じようにあります。そういった芯の部分は、『ダークソウル』をプレイした人でも楽しんでもらえると思っています。
それと、『ダークソウル』シリーズは、主人公=プレイヤーであることが多いですが、『METAL WOLF CHAOS』はフロム・ソフトウェアとしては珍しく主人公キャラが用意されていて、そのキャラクターになりきって体験してもらうタイプのゲームです。主人公はアメリカの大統領という設定になっているので、その辺の部分も楽しんでもらえるかと思います。
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――『METAL WOLF CHAOS』の新作を望む声はないのでしょうか。
竹内『XD』を発表した後に、続編を作って欲しいという声や、作ってるんじゃないかという噂は続々とでてるようですが、今の所、具体的に進んでいるわけではないです。他の会社のHDリマスター作品だと、その新作も作りながら過去作をリマスター化している会社もあるので、本作もそうだと思ってしまったユーザーさんがいるのだとは思います。でも、そういうわけではないです。
――どういう状況になれば新作の開発にGOが出るのでしょうか。
竹内初めてプレイしてくれる人たちがいると思うのですが、そういった人達がどのような反応をしてくれるのかによると思っています。ゲームとしては15年前のものであり、ゲームデザイン自体もクラシックになってしまっているので、昔を知っているプレイヤーさんはそういうものだと知ってプレイしてくださるとは思うのですが、今の新しいプレイヤーさんからどんなフィードバックをもらえるか予想できないところがあります。そこでポジティブな反応があったときに、そのことについて考えていけば良いと思っています。
続いて、Devolver Digitalのマーケティング・ディレクターを務めるナイジェル・ローリー氏へ質問。
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――まず、『METAL WOLF CHAOS』をリマスターしようと思った理由をお聞かせください。
ナイジェル・ローリー氏(以下ナイジェル) 聞くまでもないだろう!(笑)若い時からスーパーファミコンとか日本でしか発売してないゲームをプレイしたいという憧れがあったんだ。昔は専門店とかで輸入して友達とプレイしていたんだけど、その頃が懐かしくて、我々のレジェンドであるフロム・ソフトウェアの昔のゲームを歴史から取り出して今のユーザーに体験を知らせたいという思いがあった。当時の自分みたいに、輸入してまでプレイしていたあの特別な体験を与えたかったんだ。
――初めて『METAL WOLF CHAOS』をプレイしたのはいつ頃なのでしょうか。
ナイジェル実は、初めてプレイしたのは今回の『XD』なんだ。オリジナル版は全部プレイ動画で見ていたんだけど、自分で触ったのは、フロム・ソフトウェアからソースコードをもらって作り始めてからだよ。
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――最初にプレイした時はどう感じましたか。
ナイジェル初めてプレイしたときは、実況プレイとか全部で見たあとだったからシュールな気持ちだった(笑)。でも、フロム・ソフトウェアと組んで一緒に仕事をしているという実感を感じたよ。
――内容に関してはどう思いましたか。
ナイジェル我々がパブリッシングしている『Broforce』というサイドスクロールシューティングゲームは、内容はしっかりしているけどテーマはニュアンスにはユーモアがあって、アメリカという国とミリタリーを軽く突っ込みながらプレイできるものだ。『METAL WOLF CHAOS』もそれ同じで、人々を笑わせる要素がある。昔見ていたプレイ動画ではなくて、今回、自分でプレイしていても笑えたよ。
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――もし『METAL WOLF CHAOS XD』が大成功を収めたら、第二弾や第三弾はあるのでしょうか。
ナイジェルぜひやりたいと思っているが、IPはフロム・ソフトウェアのものなので、彼らが決めることなんだ。我々は彼らと仕事をするのが大好きなので、やりたい気持ちはもちろんある。
――日本の発売を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
ナイジェルみんな、15年間待ってくれていると思うが、もうしばらくしたら発売日について発表できると思う。多くのプラットフォームで発売するので、楽しみにしていてくれ!
――ありがとうございました。
リマスター版『METAL WOLF CHAOS XD』は、国内ではフロム・ソフトウェアからPS4、Xbox One、PC向けに2019年中頃発売予定です。