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モンスターとなった少女が水没都市を冒険し、様々な苦難を乗り越えて心の孤独を克服する3Dアクションアドベンチャーゲーム『Sea of Solitude』のプレイレポートをお届けします。
本作はドイツのインディーデベロッパーJo-Mei Gamesが開発し、Electronic Arts(以下「EA」)によって7月5日にPC/PS4/Xbox Oneで配信されました。PC版はEAが運営するOriginで配信されており、月額サービスのOrigin Access Premierにも対応しています。EAは「EA Originals」というプロジェクトを立ち上げ、世界の優秀なインディーデベロッパーのサポートに力を入れており、本作はその第2弾に当たります(第1弾はスウェーデンのインディーデベロッパーの作品『Fe』)。
精神世界を描いた作品といえば、以前プレイレポートをお届けした2DアクションADV『GRIS』もそうでしたが、美麗なグラフィックに深みのあるストーリーの芸術的な作品が多く、筆者的にはこのジャンルに外れ無しと感じています。ゲーム中で多くを語らない代わりに、グラフィックや演出に力を入れているのでしょう。
本作の内容ですが、3Dアクションをメインとしたアドベンチャーゲームです。モンスターとなった主人公の少女「ケイ」が水没都市を旅し、様々な出会いを通して内なる孤独を克服するのが目的です。タイトルの『Sea of Solitude(孤独の海)』の通り、現代社会の大きな問題でもある「孤独」がテーマとなっています。さっそくPC版をプレイしていきましょう。
暗闇の海上を漂う少女
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巨大な怪物が船を飲み込むイラストのタイトル画面からボタンを押してゲームスタートしようとしたら……怖っ!主人公の少女ですね。いきなりアップで出てきたので(その上モニタから近い距離で見ていたので)素でビビりました。しかもまだゲームメニュー画面。始まる前から驚かされたゲームはこれが初めてかもしれません。これだけ見せられるとホラーゲームっぽいですね。気を取り直してスタート。
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ゲームは暗い海から始まりました。少女ケイによる独白が流れています。家族も友達もいるのに、それでも孤独を感じるというケイ。何もかもが嫌になり、この状況から抜け出すために自分を変えたいと願っています。何か巨大な影が海の中を泳いでいますが、タイトル画面に出てきた巨大モンスターでしょうか。
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海上に浮かぶボートがアップされ、そこに横たわる黒い少女ケイ(やっぱり怖い)。なぜこの姿になってしまったかについては一切説明はありません。ケイ本人も、自分がなぜここにいるのかがわからないようです。物語が進んでいくにつれ、明らかになっていくのでしょうか。
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辺りが暗いことに驚くケイ。姿は怖いですが、言動などは普通の少女ですね。遠くに光の筋が見えます。「誰かが助けを求めているのかもしれない」とボートを動かして光の方向へと進み始めました。優しい子ですね。
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ボートを操作してしばらく進むと、黄色い雨がっぱを着た白髪の女の子が登場。超能力者なのか宙に浮いています。X-MENのストームをちょっと思い出してしまいました。ケイのことを知っているようですが、ケイは誰だか思い出せません。
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ケイが「私のこと知ってるの?」と聞くと、女の子は「おかしなことを言うのね!はい、プレゼント!」とケイの乗るボートに明かりを灯してくれました。
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すると闇が払われ、辺りが一気に明るくなりました。さらには水位が低くなり、海の中から建物がせり上がってきました。この演出、幻想的ですごくいいですね。こういう明るい背景はプレイしていて気持ちいいです。
水没都市を旅する
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ここからチュートリアル的なものが始まります。謎の女の子はフレアを放つよう言いました(XboxパッドだとLT)。押すとケイの左手から白い光が飛び出し、謎の女の子に直撃します。フレアは次行く場所を示してくれるようです。謎の女の子についていけということでしょう。
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女の子が前方へ飛んでいってしまったのであとを追いかけます。ここから第1章が開始。それにしても水没都市の雰囲気が良い。夏遊ぶにはぴったりのゲームかと思います。
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ボートを操り、建物の間を抜けていくケイ。謎の女の子の飛行速度が速すぎてなかなか追いつけません。海中には横倒しになった電車が見えます。冒険心をくすぐるような演出ですね。
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追いつくと女の子は「かくれんぼをしよう」と言い出し、消えてしまいました。フレアを使って女の子の位置を探ろうとしましたが、建物にぶつかってしまいます。目的地までの間に障害物があると駄目なようですね。しかし「フレアの飛んでいった位置」を追えばいいので、建物の裏に回り込めばいいだけかと。
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建物の裏に回り込んでフレアを打つと、姿を消して隠れていた女の子に直撃。女の子は「見つかっちゃった!」と笑いますが、その直後何かの気配を感じ取り、どこかへと飛んでいってしまいます。
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遠くから女の子の叫び声。そして背景もだんだんと暗くなってきました。何かあったのでしょうか。女の子が心配なので急いで先に進みましょう。
怪物の登場
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ゲートを抜けると辺りが闇に包まれていきます。そして前方の海中から巨大な怪物が姿を表しました。怪物はケイのことを知っているようで、「ケイ、なんの役にも立たないクズが!」といきなり罵ってきます。さらには「自分が何をしているのかわかっていないんだろう?お前はいつもそうだ」とも。ケイは記憶を失っているようで、相手のことがわかりません。どういう関係なのでしょうか。
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女の子は怪物に食われてしまったようです。次どこへ行けばいいのかわからないのでフレアを発射。背後の建物の上に行けばいいようですね。フレアシステム、なかなか便利です。
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怪物を避けて狭い水路を進み、ボートを乗り降りできる場所を見つけました。ここから建物の上を目指しましょう。
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ボートを下り、建物の上を目指すケイ。怪物に罵られたことに腹を立てているようで、ずっと愚痴を言っています。まあ、知らない人(というか怪物)からいきなり「クズ」だの「役立たず」だの言われれば怒るのも無理ありませんね。
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屋上には、誰かが囚われていました。先ほどの女の子でしょうか。RTを押すことで、黒い穢れを背中のリュックに吸収することができるようです。さっそく助けてあげましょう。
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助けた少女は、どうやらケイ自身だったようです。Aボタンでシンクロするように促されます。シンクロとはいったい……?とりあえずAボタンを押してみます。
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Aボタンでシンクロすると、ケイの体が宙に浮き、光の少女と一体化しました。そしてビームを放って怪物を攻撃します。しかしあまり効いていないのか、怪物はケイを罵り続けています。ケイは「あたしだって頑張ってる!意地悪言わないで!」と言い返します。
怪物との対決!
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光の自分をその場に残し、分離するケイ。怪物はまだ倒れていません。フレアを放ち、次の目的地へと向かいます。ビームは撃ったままにしてくれていますね。
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建物の上から下り、フレアの導く方向へと進みます。ドアの前で女の子の手形を見つけました。怪物は女の子を食べたと言っていましたが、まだ生きているかもしれません。ドアを開けて先に進みましょう。
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ドアを抜けたところには海面があり、ケイを狙って怪物が泳いできました。この巨大魚のような怪物と、先ほどビームを食らわせた怪物とは違う個体のようですね。遭遇しないように、フレアの示す方向へ向かいましょう。
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入り組んだ路地裏を走り抜け、開けた場所に出ました。しかし海で道が途切れてしまっています。ジャンプで向こう岸に届きそうにありませんし、どうやら泳いで渡らなければならないようです。というか、泳げるのでしょうか。
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他に行くところもなさそうなので、海に飛び込んでみます。ゲームオーバーになるかと思いきや、普通に泳ぐことができました。向こう岸まであと少し……。
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……と思ったら、いきなり真下から先ほどの怪物が登場。そのままケイを飲み込み、噛み砕いてしまいました。このゲーム、ゲームオーバーになるのですね。海に入る前に、怪物の動きに注意しておくべきでした。
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そしてゲームオーバー直前の場面からすぐさま再スタート。どこからやり直しさせられるのかと思っていましたが、これならアクション初心者でも安心です。
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今度は怪物が遠くへ行ったタイミングを見計らってから海に跳び込み、何とか奥へと進んでいきます。前方にブイが見えたのでフレアを放つと直撃しました。あれが目的地のようです。
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ブイまで泳いで渡り、先ほどと同じようにRTでブイの上にある穢れを吸収します。すると辺りから闇が払われ、次第に晴れてきました。
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辺りが晴れ渡り、また気持ちのよい青い空が現れました。ブイの上で束の間の休息を取るケイ。しかしまだ怪物は海の中に潜んでいます。そしてケイは怪物に立ち向かわなければなりません。フレアの導きに従ってさらにマップ奥へと進んでいきましょう。
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建物の中を抜け、梯子をのぼって屋根を伝いながら目的地へと向かっていきます。やはり明るいステージの方が操作していて気分がいいです。
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怪物と穢れを発見。先ほどと同じように吸収し、中にいるもう一人の自分とシンクロをしてビームを放ちます。今度こそ怪物との決着がつけられるでしょうか。そして怪物の正体はいったい……。この先の展開はぜひとも自身の目で確かめてみてください。
美しい水没都市とテンポのよいストーリー
筆者は本作をクリアしましたが、ストーリーのテンポがよく、緩急のある物語が次々に展開していくので最後まで飽きずにプレイできました。クリアまでの時間はそれほど長くはありませんが、時間つぶし的なクエストもなくリッチなプレイ体験が得られました。フレアがあるので道に迷うこともほぼ無く、快適に遊べます。また主人公のケイも、そのホラーなビジュアルとは裏腹に、悩み多き普通の少女です。共に冒険していくに従って、次第に感情移入していくことでしょう。
ストーリー自体は精神世界系のゲームの常なのか断片的な情報が多く、不明瞭な部分も多く存在しています。このあたりは自分自身で解釈していくしかありません(それもまたこの手のゲームの楽しいところですが)。アクション部分は難しいところもありますが、すぐにリトライできるので、何度か挑戦すればクリアできるかと思います。全体的には誰にでも楽しめる作品に仕上がっています。
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プレイしていて特に良かったと思ったところは、やはり舞台となる水没都市の美しさです。あちこちを歩き回っているだけでも楽しく、夏にプレイするのには最適なゲームかと思います。ただ暗いシーンも多く、暗すぎて道が見づらいところもありました。その場合は「設定」の「グラフィック」でガンマを最大にすれば見やすくなるかと思います。
また、クリア済みのセクションはいつでもやり直すことができるので、気に入った場面をあとから何度でもプレイすることができます。本記事で紹介したストーリー以降もあっと驚く演出が多く、水没都市以外のステージも用意されていますので、この夏にぜひともプレイしてみてください。
製品情報
『Sea of Solitude』
開発・販売:Jo-Mei Games、Electronic Arts
対象OS・ゲーム機:Windows、PS4、Xbox One
通常価格:1,900円(PC・PS4)、1,922円(Xbox One)
サポート言語:日本語、英語など6カ国語
ストアページ:Origin、PS4、Xbox One
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら。