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ダイスの姿に変えられた冒険者を操り、敵と戦いながらダンジョンを突破していくローグライクダイスゲーム『Dicey Dungeons』のプレイレポートをお届けします。
本作はTerry Cavanagh氏によって、Steamで8月14日に配信されました。Terry Cavanagh氏はジャンプアクション『VVVVVV』やひたすら障害物を避ける『Super Hexagon』など、独特な色彩デザインとシンプルながらリプレイ性の高い(そして文字通り「死ぬほど」難しい)アクションゲームを開発したことでも知られています。特に『VVVVVV』は筆者も以前ハマっていたことがありますが、とにかくよく死にました。しかしリトライは快適で、ストレスを感じさせないゲームデザインには素晴らしいものがありました。
本作は2018年3月に早期アクセス版(バージョン0.10)を配信しており、そのときのプレイレポートはこちらになります。本作はバージョン1.0となり、以前のプレイレポート時と比べるとドット絵的なグラフィックから、本作のイラスレーターMarlowe Dobbe氏の絵柄を忠実に再現するものへと変化しています。また『Super Hexagon』のBGMを担当した北アイルランド出身のミュージシャンchipzel氏が、本作でもBGMを担当しています。
本作の内容ですが、ローグライクにダイスゲーム要素を組み合わせたゲームです。「ローグライク+カードゲーム」は『Slay the Spire』のヒット後に多くのフォロワーが登場し、先日も『Phantom Rose』が配信されるなど、ジャンルとして確立してきています。ローグライク自体がボードゲーム的なので、そのガジェットであるカードとは相性がいいのですが、ならばそれと双璧を成すダイスではどうなのか。ゲームバランスの良いものになっているのか。さっそくプレイしていきましょう。
ダイスに変えられた冒険者
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ゲームを開始すると宮廷道化師が登場し、海外のTVショウのノリで「ようこそ、Dicey Dungeonsへ!」と言い出しました。本作はゲームショウに参加するというコンセプトのようです。
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本番組の主催者であるレディ・ラック。彼女の造った迷宮に、これから冒険者たちが挑むとのこと。このやり取りを見ていると、なんだか昔テレビでやっていた「風雲!たけし城」という番組を思い出しました。
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今回の参加者は、ダイスに変えられた冒険者の戦士。しかし悲壮感はなく、「おおっ!ダイスになっちゃったぜ!」と軽いノリです。「魔法でダイスに変えられた冒険者たちが、魔女を倒すために戦いに赴く」みたいなシリアスな内容を想像していたのですが、まったく違いましたね。
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さて、冒険の始まりです。とりあえずこのダイスを「ゲムスパ」と名付けておきましょう。周囲にはスポットライトやカメラもあり、本当にテレビ番組のようですね。チュートリアルなので、まずは宝箱を取りに行きましょう。
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宝箱の中から出てきたのは「ソード」カード。本作ではこれらのカードを装備することによって、戦闘で利用できます。ソードの効果は「ダイスの目と同じダメージを与える」です。
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お次は敵とのエンカウントです。マップ上にいる敵は強さ(レベル)が表示されますので、自分のレベルに合った敵と戦っていくのがいいでしょう。チュートリアルなので敵は1体だけです。
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敵のいるマスに突入。相手はスペースマリーンです。こちらはダイス1個しか使えません。出目は5。先ほど入手したソードカードに、このダイスを使用(ドラッグ&ドロップ)することで攻撃(5ポイントのダメージ)ができます。
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1個しかないダイスが消費されたのでターン終了。相手のターンになります。相手の装備は「プラズマキャノン」。20と書いているのは、「合計20以上の目のダイスが必要(成功すれば10ダメージ)」という意味です。相手はダイスを3つ振れますが、出目の合計は9。全部使用しても残り11なので、こちらにダメージはありません。
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ゲムスパのターン。ダイスの出目は1です。ここで戦士のアビリティ「コンバットロール」。好きなダイスを振り直せます(3回まで)。3回振り直して6が出たので、ソードに使って6ポイントのダメージです。今はチュートリアルなので分かりやすくするためカードを1枚ずつ表示していますが、実際のバトルでは装備しているカードが画面中にすべて表示されます(後述)。
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敵のターン。プラズマキャノン発動までに必要な合計のダイス目は残り11(先ほど9を入れたので)。現在の3つのダイスをすべて合計すると13なので、全部使用すれば発動します。ゲムスパは10ポイントのダメージを食らいました。
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敵から攻撃を受けたことで、画面左下のFURY(激怒)メーターが一気に満タンになりました。クリックすることにより、攻撃カードを2回使用(要は攻撃力2倍)できます。ダイスは6の目が出たのでソードに使用し、2倍の12ダメージを与えて勝利です。
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勝利時にはコインと経験値が手に入ります。レベルが上がると体力が全快しますので、このことも戦略に組み込んでおくといいでしょう。この手のゲームは回復できる場面が少ないですからね。
思った以上に戦略が重要
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次のマップにはリンゴと宝箱が配置されています。リンゴは体力を少し回復してくれます。宝箱からは「バトルアックス」のカードが出てきました。効果は「攻撃力はダイスの目の2倍。ただしダイスの目が4以下でしか使えない」。4が出れば攻撃力8ですね。なかなかいいんじゃないでしょうか。
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次のマップではホットヘッドという敵が出現。今回はチュートリアル戦闘ではないので、装備しているカードがすべて表示されます。そして振ることのできるダイスも2個になりました。これらを好きなカードへ放り込めばいいのですが、6のダイスはソードに使用するとして(入れたらソードは使えなくなる)、問題は5のダイスですね。
バトルアックスは4以下でないと使用できません。そこでコンバットロールに5のダイスを放り込んで振り直したところ、4の目が出ました。バトルアックスに使用して攻撃力8。ソードの攻撃力6と合わせて14の大ダメージです。
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敵のターンでは、「ファイアボール」の魔法を使われました。6のダメージに加え、ダイスを1個燃やされてしまいます。燃えたダイスを使用することはできますが、コストとしてHPを2失うことになります。敵のHPはあと10ですし、ここはダメージを気にせず一気に畳みこみましょう。
まず1の目のダイスをコンバットロールに入れて振り直し。4の目になったのでバトルアックスに入れて8ダメージ。敵のHPは残り2なので、燃えている3の目のダイスをそのままソードに使用して勝利です。レベルアップし、体力は全快。振ることのできるダイスも1つ増え、合計3つになりました。
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次のステージでは宝箱から「マッチ棒」「バンプ」のカードを入手。マッチ棒は「相手のダイスを1つ燃やす(ファイアボールの効果と同じ)。ただし偶数の目のダイスが必要」、バンプは「サイコロの目+1」(1回だけ)です。画面右下の「EQUIPMENT」から装備画面に移ります。
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「EQUIPMENT」では装備を入れ替えられます。画面右にあるのが装備状況で、「ソード、バトルアックス、マッチ棒、バンプ」が装備されているのが分かります。カードには大きさがあり、ソードとバトルアックスは2マス占有してしまっていますね。これ以上カードが増えた場合は、左側の「IN BACKPACK」に並びます。装備の入れ替えはマップ画面でしか行えません。
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チュートリアルのラスボスは、最初に登場した宮廷道化師です。画面には先ほど装備したマッチ棒とバンプのカードが並んでいますね。ダイスも3個ありますし、行動の選択肢が一気に増えました。
6のダイスはソードに入れるとして、1のダイスは振り直します。運よく4が出たのでこれをバトルアックスに使用。最後の2のダイスは偶数(EVEN)なのでマッチ棒に使用し、敵のサイコロを1個焼きましょう。
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宮廷道化師は様々なデバフを使ってきます。画面は「Shocked」を3回食らった状態です。ランダムで装備カードを1枚(3回なので合計3枚)使用不能にします。カードを回復させるには、ダイスを1個使用しなくてはなりません。
どの順番で敵と戦うかも重要
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宮廷道化師を倒し、チュートリアルはクリア。フロア2に移ります。ここから本格的に冒険がスタートです。マップ上の自分の行きたい場所をクリックすればいいのですが、まずは敵のレベルを確かめておきましょう。
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ハリネズミのSneezy(レベル2)にバトルを仕掛けます。ちなみに画面上部にある「↑」をクリックすると、敵の使う装備カードを見ることができます。
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撃破後、コインと経験値以外に、2枚のカードから1枚を入手できます。ここはローグライクカードゲームっぽいですね。「ブーメラン」の方は「攻撃力がダイスの目の2倍。ただしダイスの目と同じダメージを自分が受ける」。長期戦向きではないですね。「スパイクシールド」は「偶数なら攻撃力、奇数ならシールド(シールド分のダメージを無効化)」なので、こちらを選びます。
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敵を倒したことで道が開けました。落とし戸は、次のフロアへ行くことができます。すべて探索したいので、ワゴン車の方へ行きましょう。
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ショップのようですね。入手してきたコインを使って装備カードを購入できます。防御カードが欲しいので「バックラー」にしましょう。効果は「合計7以上の目で4シールド」。少なくとも2つのダイスを消費してしまいますね。うーん、買ったはいいけど、ちょっと微妙かも……。
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バックラーを装備するのを忘れて戦闘に突入。こういうことがあるので、戦闘前には装備に注意しておいたほうがいいでしょう。また弱点持ちの敵もいるので、それに合わせて装備を変えておくのもいいかと。
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フロア2をすべて探索し終えた後、落とし戸からフロア3へ。マップ上に金床が出てきましたね。いったいなんでしょうか。行ってみましょう。
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敵を倒して道を開き、金床に到達。装備カードをどれか1枚アップグレードできます。どれにしようか結構悩みますね。バトルアックスをアップグレードすると、2マス占有していたカードサイズが1マスになります。1マス空きができるので、別の物を装備できますね。バックラーが1マスサイズだったので、アップグレード後に追加装備しましょう。
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バックラーを装備してバトル開始。使用できるカードが増え、画面がにぎやかになりました。敵の魔女がスマホを見ながら戦っているのが多少腹立ちますが。レベルアップでサイコロの数も4つになったので、できることはかなり増えています。
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フロア4に到達。画面右下のガイコツマークが現在のフロア数を表しています。全部で6フロアあるので、あと半分ですね。最後にはボス敵も登場します。この続きは自身の目で確かめてみてください。
運と戦略の好バランスなローグライク
本作はダイスを使うということもあって運要素の強いものだと思っていましたが、多数ある装備カードによって戦闘中の選択肢が多く、プレイヤーは自分の考えた戦略でゲームを進められます。特に装備の組み合わせを考えるのは面白いですね。ボードゲームでは「戦略半分、運半分」ぐらいが面白いと言われますが、本作もそのような感じでバランスが取れたゲームになっています。それと戦闘時のBGMがテンションの上がるもので、これも本作を盛り上げる大きな要因になっています。
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ちなみに今回の戦士プレイ、筆者は初見でクリアできました。2回目のプレイでは、使用キャラに盗賊がアンロックされます。戦士とはプレイ感覚が違い、ダイスの目の数が低くないと使用できない装備カードが用意されています。攻撃力は低いけど手数で勝負というキャラですね。戦士よりもだいぶ難しく、フロア3あたりで死んでしまいました。
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その次にアンロックされたのはロボット。特殊なダイスの振り方をするので、これもまたプレイ感覚がだいぶ違います。使用キャラは全部で6種類。キャラごとで様々なゲームの楽しみ方ができるでしょう。現在日本語はありませんが、ゲーム中のテキストは少ないので(また文章も平易なので)、装備カードに書かれていることが分かればプレイ自体は問題無いかと思います。また近日中にアップデートで日本語がサポートされる予定です。ローグライク好き、ボードゲーム好きの人はぜひとも本作をプレイしてみてください。
製品情報
『Dicey Dungeons』
開発・販売:Terry Cavanagh
対象OS:Windows、MacOS、Linux
通常価格:1,520円
サポート言語:日本語(予定)、英語、中国語(簡体字)、韓国語、ドイツ語
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/861540/Dicey_Dungeons/
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら。