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2019年9月15日まで開催された東京ゲームショウ。ビジネスデーではDMM GAMESから、2020年Q1に全世界同日発売予定の『Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2』PS4日本語版を含む今後の展開が発表されました。
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代表の村中悠介氏からは、DMM GAMESの事業戦略発表におけるプラットフォームの現況と今後について発表。オンラインゲームサイトの月間訪問者数ではDMM GAMES R18とDMM GAMESがそれぞれ1位、2位となっていて、収益環境も良好であるとのことです。
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また、エミュレーター技術を用いたマルチプラットフォーム化が進んでいることや、「DMMGAMES遊び放題」のクラウド展開、様々な契約パターンによる新作タイトルやパートナーの募集が伝えられました。
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続いて行われたステージでは、DMM GAMESからが発売する複数の海外ゲームが告知されました。その中にはParadox Interactiveの新作RPG『Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2』のPS4向け日本語版も。
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その発表ステージでは、DMM GAMESの川島重徳氏のほか、Paradox Interactiveで同作のチーフプロダクトオフィサーを務めるJulien Wera氏、シニアプロデューサーを務めるChristian Schlutter氏が登壇。同作の魅力についてたっぷり語ってくれました。
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吸血鬼などの闇の者たちが蠢く“ワールド・オブ・ダークネス”世界観が舞台のTRPGを原作とした、一人称RPGである同作。前作から15年ぶりの新作となる今作では、プレイヤーはシアトルで起こった、ヴァンパイアのテロ事件の生き残りであり新たなヴァンパイアとして、街をめぐる吸血鬼たちの争いへと巻き込まれていくことになります。
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主人公は吸血鬼の超常的な能力を使いながらも、吸血鬼としての掟「仮面舞踏会の掟(マスカレード)」も守り、生き残っていかなくてはなりません。ちなみに、前作は発売当時多くのバグを抱えていたものの、ストーリーラインやキャラクター、会話においては多くのユーザーから好評を集めていました。かの名作FPS『Half-Life 2』と同時期の作品でありながら、知名度の高いアクションRPGとしてその名を残しています。
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また、『Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2』でも前作の脚本を支えたBrian Mitsoda氏がシナリオを担当しているとのことです。また、ゲームの舞台となるシアトル(開発元Hardsuit Labsの所在地でもある)には様々なロケーションが用意されているのだそう。
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また、プレイヤーがいずれかに所属することになる「血族(クラン)」も解説されました。力を正義とする“ブルハー”、高貴な“ヴェントルー”、血の魔法などを操る“トレメール”、美を愛する“トレアドール”、頭の中で他人の声を聞くことができ、他のクランとは違ったゲームプレイとなる“マルカヴィアン”が紹介されました。
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同様に、プレイヤーが関わる吸血鬼の政治集団“カマリリャ”、“パイオニア”も公開。「ぜひとも本作で“ワールド・オブ・ダークネス”の世界観を体験して欲しい」としてステージは幕を閉じました。
Game*Spark編集部は、ステージに登壇したParadox Interactiveシニアプロデューサー・Christian Schlutter氏にインタビューを実施。同作の詳細や日本展開について伺いました。
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――自己紹介をお願いします。Paradox Interactiveではどのような役割を担当されているのでしょうか。
Christian Schlutter氏(以下 Schlutter氏) 『Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2』のParadox側のプロデューサーとして、シアトルのHardsuit Labsとともにゲームを開発しています。
――近年まで、Paradoxタイトルの日本向け展開は止まっていました。活発な日本展開を再開した理由を教えてください。
Schlutter氏 昔から日本市場は興味深く、重要なものであると感じていて、新作をリリースする機会を探っていました。『Bloodlines 2』に関して言えば、ヴァンパイアというテーマが日本でも受け入れられるだろうと考えていて、日本市場に詳しいパートナーとしてDMM GAMESが良き相手になってくれると感じました。
――『Bloodlines 2』のどのようなところが日本で受け入れられると感じたのか、具体的にお聞かせください。
Schlutter氏 皆さんがイメージするヴァンパイアの能力をゲーム内で使っていけるところが、特に日本のユーザーに合うのではないかと思っています。舞台となるシアトルではアジア系の移民も多く、そういった文化の影響も受け入れていただけるのでは、とも考えています。
――プレイヤーキャラクターは、現在発表されている以外のクランに所属することはできるのでしょうか?例えば“ノスフェラトゥ”とか。(注:“ノスフェラトゥ”は原作TRPGや前作で使用可能なクランのひとつ。怪物然とした姿を持ち、「仮面舞踏会の掟」の元では他のクランと大きく違った立ち回りを要求されることとなる)
Schlutter氏 まず最初に言っておくと、今作ではプレイヤーは薄い血“Thinblood”として3つの能力を持った状態でゲームを開始し、後にいずれかのクランでさらに2つの能力を得ることになります。詳細はお伝えできませんが、発売後にクランが追加される予定はもちろんありますし、どのクランが追加されるとしてもすべて無料で配信されることとなります。
――前作ではプレイヤーは基本的に“カマリリャ”派閥で活動することとなりました。今作では派閥も選択可能とのことですが、ゲームにはどの様な影響を与えるのでしょうか。例えば「仮面舞踏会の掟」は“カマリリャ”において強く運用されています。
Schlutter氏派閥は今作でもっとも拡張された部分でもあります。プレイヤーはミッションにおける行動などを通じて複数の派閥で活動したり、一部の派閥を裏切ったりと自由に活動することができます。エンデイングやストーリーに影響を与えることもあります。「仮面舞踏会の掟」については、シアトルでは基本的に“カマリリャ”が力を持っているため、どの派閥でも影響を受けることになります。彼らに反抗する“アナーク”たちはシアトルでの勢力はそこまでありません。
――今作でも「仮面舞踏会の掟」は重要な仕組みなのですね。
Schlutter氏前作では「仮面舞踏会の掟」の違反は数回で粛清されるようなものでした。今作では段階を設け、まずは街の人が恐怖を感じ姿を表さなくなり、次に警察やSWAT等が街を徘徊するようになります。そして最終的には強力な同族に粛清されるようになります。違反を取り消していくことも可能です。
――そうなると、プレイヤーがその気になれば違反承知でスーパーヒーローのように派手に暴れることもできますね。
Schlutter氏そうですね、もちろん長くは続けられませんが(笑)。
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――今作ではシナリオライターが前作と同じ方ということですが、前作のキャラクターは再び登場するのでしょうか。
Schlutter氏今作はロスの事件(前作)から15年後が舞台です。しかしながら今作では、新たな物語が新たな街で展開することになります。ただ、もしかしたら、懐かしい顔を見ることができるかもしれません。
――今作はオープンワールドを採用しているのでしょうか。
Schlutter氏チームとも話し合った部分なのですが、最終的には前作と同様の仕組みに落ち着くこととなりました。“ハブとスポーク”と呼んでいるこの仕組みですが、ハブでは一般NPCが歩きまわっておりプレイヤーは闇に隠れて生きることになります。スポークはミッションに関連したエリアで、プレイヤーはハブからスポークへと訪れ、ミッションが終わると再びハブへと帰還します。
――戦闘システムはどうでしょう。前作は比較的シューター要素が強いと感じましたが、今作でも同様なのでしょうか。
Schlutter氏前作の戦闘システムには多くの改善の余地がありました。今作ではヴァンパイアとしての力強さを活かすために近接戦闘を強化しています。落ちているパイプなどを拾い武器とすることができるほか、各種の超常能力を使うこともできます。
――近接戦闘を重視しているとなると、三人称視点も欲しくなるところです。
Schlutter氏前作における視点の切り替えは有効に働いていなかったので、今作ではテストの上で一人称を基本として展開することに決めました。ただし、ダンスなど一部のシーンやジャンプなどの特定の能力使用時には自分のキャラクターの姿を見ることが可能です。
――ゲームの長さはどの程度になるのでしょうか。
Schlutter氏メインストーリーと、一部のサイドクエストなどをクリアするだけなら25~30時間程度になる見込みです。ただ、すべてのサイドクエストのクリアやアイテムの収集、異なるクエストクリア法へのチャレンジなどを始めると遥かに時間がかかるでしょう。リプレイ性も重視しています。
――クエストのクリア方法も多岐に及ぶのですね。
Schlutter氏先日E3で公開したクエストのプレイ映像を見て頂けるとわかるのですが、該当のクエストでは4つの派閥から目的を提示されます。当初の目的を裏切り、途中で現れる人物に目標人物を引き渡すことも可能です。クエスト中途のエリアの通り抜け方法も交渉や戦闘、能力の使用など多岐に及びます。もちろん目標人物の生殺与奪も含まれます。
――仲間と一緒に戦う機会はあるのでしょうか。仲間の吸血鬼だけでなく、下僕である“グール”や人間の協力者なども。
Schlutter氏まだ話せませんが、たぶん(笑)。
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――ところでPC版の方では既にシーズンパス「SEASON OF THE WOLF」がアナウンスされているのですが、これって人狼……?(注:“ワールド・オブ・ダークネス”においては人狼も主要な種族として登場する)
Schlutter氏そこは想像にお任せします(笑)。
――本作に期待している日本のユーザーへ一言お願いします。
Schlutter氏15年待ったファンたちのためにも、本作は完璧な状態でのリリースを目指しております。