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9月12日から15日にかけて催された「東京ゲームショウ2019」会期中に、SIE ワールドワイド・スタジオ(以下、SIE WWS)のプレジデント・吉田修平氏にインタビューを実施しました。
当メディアでは毎年恒例となりつつある、同氏へのショートインタビュー。TGS2019に出展されたなかで注目タイトルは何か、そして気になるあのニュースについて。PlayStation VR (以下、PSVR)の展開についても貴重なお話を伺えましたので、その一部始終をご紹介したします。
◆今年のTGSではデベロッパーのソフト力の進化が見えた
――今年もインタビューよろしくお願いします。早速ですが、PlayStation 4(以下、PS4)・PSVRの調子はいかがですか?
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吉田修平氏(以下、吉田氏):ソフトの面では、例えば『モンスターハンターワールド:アイスボーン』『ボーダーランズ3』、さらには日本では12月発売予定の『CONTROL』と、良いタイトルが出続けています。VRでも弊社でリリースした『ライアン・マークス リベンジミッション』は海外ですごく評判がいいです。ただ日本ではPlayStation Moveが2本必要であることが一定のハードルになっているのかなと思いますね。『Beat Saber』も世界中で大ヒットしていますが、PlayStation Moveが2本必要なので、日本でももっと(PS Moveを)普及させたいところです。
今回のTGSの目玉タイトルに『マーベルアイアンマンVR』がありますが、すごいんですよ、これが。本当に自由に箱庭世界を飛び回れるんです。まるで自分がアイアンマンになったかのように遊べるのが楽しい。デベロッパーはどんどんVRに慣れてきていますし、PS4もそうですが、次々とこなれたゲームが登場しています。
やっぱり同じハードでも、後半になってくるとデベロッパーのソフト力が違ってきますよね。まだ発売時期は言っていませんが、サッカーパンチプロダクションズが制作中の『Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ)』(仮称)は、プレイテスト途中で手を止めてしまうほどにグラフィックがキレイ。今年で言えば、それこそ『DEATH STRANDING』ですね。昨日(12日)のデモも大変面白かったです。
――『DEATH STRANDING』のステージイベントは間違いなく、その日一番の盛り上がりを見せていました。
吉田氏:私も開発途中でプレイさせてもらっていますが、昨日のデモを見ると“こんな風に他のユーザーさんと繋がるんだ”という新しい発見がありましたし、やっぱり期待は大きいですね。
――確かにPS4のソフトは今回のTGSでも大変盛り上がっていますね。ただ、VRに関しては去年・一昨年と比べて落ち着いているような印象を受けましたが。
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吉田氏:そうですかね?私は逆に、日本のデベロッパーが生み出すVRコンテンツは、同人的なものではなくて、プロフェッショナルなクオリティで作られているものが出てきていると思って見ています。『Last Labyrinth』や『スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー』『東京クロノス』など。あとはPSVRのタイトルではありませんが『ソード・オブ・ガルガンチュア』はじめ、本格的な日本のVRゲームが現れ始めているといった印象ですね。
――挙げられたタイトルは本格的かつ、ゲーム性も毛色が全く違いますね。
吉田氏:やっぱりVRデベロッパーが慣れてきていますね。2作目3作目になるので、すごく使い方が上手くなってきています。
◆Insomniac Games『Sunset Overdrive』の今後はどうなる?
――ガラッと質問が変わってしまうのですが、今年8月にSIE WWSがInsomniac Games(以下、インソムニアック)を買収されたというニュースがありました。そんななか同社が手掛けるXbox One向けタイトル『Sunset Overdrive』について、その権利がどうなっているのか―MS側、インソムニアック側のどちらが保有しているのか気になるユーザーが多いようです。
吉田氏:過去のインソムニアックの作品については、SIEが権利を保有することになります。同作をPSで出してほしいという声があるんですか?
――Xbox Oneでしか出てない人気タイトルなので、今後そのIPがどうなってしまうのか心配……といった感じでしょうか。
吉田氏:インソムニアックは力のあるデベロッパーなので、今後のタイトルが楽しみですねとしか言いようが無いですね(笑)。去年は『Marvel's Spider-Man』、そしてOculusデバイス向けの新作『Stormland』がもうすぐのリリースを控えているなか、「じゃあ、あとは何をやっているんだ?」となると思うんですけど……まぁ何かをやっていますよ(笑)。
――さらにもう一点。先日、海外メディアのインタビューにおいて、今後SIE WWSで開発された一部のマルチプレイタイトルに関しては、PC展開の可能性についてもShawn Layden氏が言及されていましたが、これは日本においても同様でしょうか?
吉田氏:よく拾われましたね(笑)。気づかれていないかもしれませんが、実はPC展開は一部やってきているんですよ。マルチプレイが面白い『HELLDIVERS』というタイトルは、Steamでも出しているんです。結構評判は良くて売上も上がりました。さらに言えば、クアンティック・ドリームが手掛ける3作(*)すべてが今度Epic Storeで出ます。そこのユーザーの反応にはすごく注目していますね。
(*)『Detroit: Become Human』『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』『BEYOND: Two Souls』の3作
国や地域によってはPCユーザーの割合の方が多いので、新たなファンを掴むためにも、PC市場とどう付き合うかは試しているところです。ただ、我々のようなファーストパーティの役割というのは自社ハードでのヒットタイトルを作ることが根本にあるので、そこからPCのユーザーに対して、どうやってIPやタイトルの活用を行うかを社内でも議論しています。『HELLDIVERS』もありましたし、クアンティック・ドリームの件も控えているので、可能性としてあることは記事にあった通りです。
◆盛り上がる “5G×ゲーム”―ゲーマーとしてはピンとこない?
――ありがとうございます。そして今後のゲーム市場の動きについても気になります。やっぱり、いま注目なのは5G(第5世代移動通信システム)ですが……。
吉田氏:今年のTGSでは本当に盛り上がっていますよね。一体どんな話をされているんだろうと興味深いんですけど……、逆にどうですか?(笑)。いちゲーマーの視点ではピンと来ていないんですけど。
――え?(笑)。分かりやすいところで言うと低レイテンシーの実現や「Google Stadia」などのクラウドゲームサービスも話題になっていますよね。
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吉田氏:技術的には分かるのですが、ではストリーミングをガンガンして、果たしてデータキャップが無いのかなどは気になりますよね。レイテンシーは低い方がいいし、バンド幅は広い方がいい。それは4Gまでの歴史でもハッキリしているので、個人的には楽しみではありますけど、それで何かゲームが変わるのかというのは、まだちょっとピンと来ていないですね。
――では逆に、今後盛り上がるであろう技術でゲームと絡めば面白そうなものはありますか?
吉田氏:それはいっぱいありますよ。そういう意味では5Gでもストリーミング面でコスト制約が無いのあれば、Oculus QuestのようなスタンドアローンのVR機器に5Gがのって、サーバー側にはハイエンドなNVIDIAのコードがあって……みたいな。そうするとVRでどこへでも行けちゃうような世界が描けるのかなぁと思いますね。
――ちなみにOculus Questが例に挙がりましたが、PSVRについてもスタンドアローン機化させるような構想はあったりするのですか?
吉田氏:業界全体として、スタンドアローン機の重要性はガンガン増していると思います。理由としてはやっぱりお手軽ですし、セットアップもほとんど必要としませんので。ただ、モバイルSoCになってしまいバッテリー駆動となる為、パフォーマンス的にはトレードオフがありますよね。とはいえ、PCVR とPSVRは並行して進化していくものかなぁとは思っています。
PSVRっていうのはPS4の性能を活かす設計がされていますから、もしスタンドアローン機を作るとなると、別のプラットフォームを立ち上げる必要があります。なので既存のPSVRのやり方とはかなり違うアプローチになってしまうと思いますね。
――それでは最後にゲームファンに向けてメッセ―ジをお願いします。
吉田氏:『DEATH STRANDING』が非常に楽しみです(笑)。それを待ちきれない人は『モンスターハンターワールド:アイスボーン』『ボーダーランズ3』などで遊んでいただくことをオススメします。それと『マーベルアイアンマンVR』もすごいので是非プレイして欲しいですね。
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