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前作から約五年ぶり、ナンバリング新作としてはなんと七年ぶりの新作である『ボーダーランズ3』。多くのプレイヤーが首を長くして待ち望んでいたであろう新たな『ボダラン』……筆者も首を長くしてキリンのようになっていたファンの一人です。『ボーダーランズ2』ではキャラを変えたり友人に布教してまたイチから遊んだりと、本当に長いこと楽しませてもらいました。
っていうか七年ってヤバいですよね。小学校に入学したての子どもが生意気ざかりの中学生になるくらいの歳月なんですが……ともかく、この七年間で主要ハードも軒並み刷新され、ビデオゲームの世界は大きく変わりました。では、『ボーダーランズ』シリーズにはどれほどの変化があったのでしょうか? まずは変化にフォーカスして、ゲーム内容を見ていきましょう。なお、筆者はPC版をプレイしています。
スケールアップしたフィールドとスムーズになった戦闘
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本作最大のフィーチャーは世界自体のスケールアップでしょう。「パンドラ」が舞台だった一作目、二作目と異なり『ボーダーランズ3』では宇宙船に飛び乗りいろいろな星へ旅することになります。惑星ごとにフィールドの雰囲気がガラッと変化するので飽きませんし、『ボーダーランズ プリシークエル』の舞台になった「エルピス」のように重力が変わるマップも(一箇所だけですが)用意されています。
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筆者が特に気に入ったのは、アトラス社が本拠を構える惑星「プロメティア」です。今までの『ボダラン』ではあまり描かれなかったような未来的な大都市のマップです。遠景のビル群が美しく、グラフィックス向上の恩恵が最も感じられる惑星でしょう。プロメティアは最初に訪れるパンドラ以外の惑星ということもあって、後に登場する他の惑星よりもじっくり描かれており、多くのプレイヤーにとって印象的な場所になったのでは。逆に言えば他の星はあんまり印象が強くなかったりもするんですが……。
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また、シリーズの特色である爽快感抜群のワチャワチャしたガンファイトもさらに進化。スライディングやよじ登りといったプレイヤーアクションの追加が戦闘の高速化に一役買っています。一部武器では武器モードを切り替えられるようになり、煩雑だった属性武器の管理が楽になりました。戦闘のバリエーションが増える、非常によい進化です。
今までの『ボダラン』のプレイ感覚を大まかにベースにしながらも、細かい点を現代的にブラッシュアップした『ボーダーランズ3』の快適さは、間違いなくシリーズ最高のものになっています。
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新ビークルやカスタマイズ要素、武器スキン、武器装飾品の追加、スキルツリーの多様化などなど、細かい改善点は多岐に渡ります。その中で最も気に入ったのは「どこからでもファストトラベルが可能になった」という点で、広大化したマップも快適に遊べました。
協力プレイの改善も非常に意欲的で、レベル差があるプレイヤーと遊ぶときに「敵のレベルがプレイヤーごとに変わる」仕様になっているのはとても嬉しい変更でした。「殺戮サークル」「試練の場」という、短めかつ野良参入しやすいモードが最初から実装されているのも良い点……なのですが、野良プレイは現状あまりオススメできるものではないかもしれません。その理由は後述します。
変わらない楽しさ、シリーズ伝統のゲームプレイ
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「進化した」「改善された」といっても、まったくの別ゲーになっていたらシリーズファンとしてはがっかりですよね。『ボーダーランズ3』はシリーズファンにとっては嬉しい、非常に伝統的なプレイ感覚を持ったゲームであると言えます。『ボダラン』シリーズの“らしさ”を形作るものといえば……そう、過激さとバカバカしさです。
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もちろんシリーズを代表するおバカキャラである「クラップトラップ」のハチャメチャさは健在。というか明らかにパワーアップしており、ゲーム中ずっと迷惑です。他にも何故かトイレを打ち上げたり、中二病の日記を回収させられたりと、バラエティ豊かなミッションの数々はプレイヤーを呆れさせながらも非常に楽しいゲームプレイを形作っています。
とはいってもメインプロットは基本的にシリアスなので「いったいどういう感情でゲームをやればいいんだ!?」という、引き裂かれたような気持ちがずっとありました。しかし、なんだかんだ言ってこの感覚こそが『ボーダーランズ』的というような気もします。お馴染みのキャラクターが多数登場するので、シリーズファンにとってはエモい瞬間もあります。
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大量に出てくる敵をとにかく倒しまくり、大量にドロップされるアイテムを厳選して拾い、プレイヤーをガンガン強化していく楽しさはまさに麻薬的。筆者にとって『ボーダーランズ』シリーズの最も好きな部分はそこにあるので、その点がしっかり継承され変わらない楽しさがある『ボーダーランズ3』はおおむねグッドと言える出来です。シリーズファンにとって基準点は充分に満たしているでしょう。ですが、不満点も多くあります。
足を引っ張る不満点たち
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最初に挙げる不満点はシナリオです。感じ方は人それぞれでしょうが、筆者にとって今作の、特に後半部のシナリオは「セイレーン」という存在が徹底的に便利使いされるだけのものに思えました。
銀河上でも希少な存在であるはずのセイレーンが、メイン登場人物のうちかなりの割合を占めていて、物語のほとんどがセイレーンの持つ特殊能力をベースに進行していきます。その能力で何ができて何ができないのかの線引きが曖昧な点も首をかしげさせられますし、プレイヤーとしては「なんか知らん人たちの話に巻き込まれてしまった」という強い置いてけぼり感がありました。
しかし、エンドコンテンツまでゲームをやり込んでいるうちに、物語のことはどうでもよくなってきたというプレイヤーもいることでしょう。筆者としても、もはやシナリオの出来は非常に些末な問題である、ということは添えさせてください。
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次に大きい問題点はバグでしょう。まだ発売から間もないとは言え、セーブデータの消失や金庫の消失などかなり致命的なバグもありました。また、一部の武器が異常な挙動をして想定を超えた強力さになったり、ドロップ率が高過ぎる敵がいたりとプレイヤーに有利に働くバグもあり、そのせいで一部のプレイヤーにとってはエンドコンテンツの寿命が著しく縮んだりもしました。
バグを脇に置いておいたとしても、現状のエンドコンテンツは少々ボリューム不足と言えるでしょうし、メイヘムモードでの「ランダム性のある敵強化」はかなり大味で運要素が強いため、エンドコンテンツが全体的に大雑把に感じられる点も残念なところ。バランス系はかなり大味で調整不足な点が目立ち、アップデートでの弱体化連発などがコミュニティで疑問視されていたりもします。しかし、修正のペースは現状かなり早いですし、これからに期待をかけて長い目で見ていきたいと思います。
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また、筆者が野良でマルチプレイしていたところ、異様なまでに強い装備を持ったプレイヤーが乱入してグレネードMODをくれたことがありました。これがどう見てもおかしい性能で、おそらくはチート品だったと思われます。こういった体験はゲームプレイのバランスを崩壊させますし、「誤BANされるのでは?」といらぬ心配を抱くことにもつながります。
前作より優れたマッチングシステムを搭載しているのに野良でマルチプレイするとこういったリスクがあるところも現状の残念な点です。他にも「メインストーリー上で何度か存在するビークルでの逃亡パートがあまり楽しくない」など、細かい不満点は数多く存在します。ゲーム自体が巨大なので、ある程度は仕方がないとは言えやはり残念ではありますよね。
総評
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最後に不満点を列挙しましたが、『ボーダーランズ3』は、先述のとおりシリーズファンにとっては「おおむねグッド」な出来です。
撃ちまくり爆発しまくりのゲームプレイはあいかわらず超楽しいですし、友人との協力プレイも盛り上がります。ソロでも(一部ボスが難しすぎると問題になったりしていましたが筆者はあまり苦戦しなかったです)問題なく、値段分は充分に楽しめるでしょう。
『ボーダーランズ2』の続編にふさわしい仕上がりであり、純粋な進化版であり、これからのコンテンツ追加にも期待できるFPSです。筆者はもう既にゲーム内でやることが尽きつつありますが、アップデートやDLC追加のたびに戻ってきて再プレイしたいと思いますし、そうするだけの魅力が本作には備えられています。
総合評価: ★★★
良い点
・大規模にスケールアップしたマップ、豊富なサブミッション、多様な武器などのコンテンツ量
・シリーズ伝統の爽快感
・大幅に改善され、野良でも遊びやすくなった協力プレイの楽しさ
悪い点
・「セイレーン」を便利使いし過ぎているストーリー
・バグの多さと大味なバランス
・現状では長持ちしないエンドコンテンツ
・一部の退屈なビークルパート