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コジマプロダクション開発の完全新作アクション『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』(2019年11月8日発売)。『メタルギア』シリーズの生みの親として知られる小島秀夫監督の最新作にして、同スタジオの処女作となるこのゲームは、発売前から世界中で大きな注目を集めています。
人々や都市が引き裂かれ分断された世界を舞台に、プレイヤーは滅亡に瀕した人類のため、そして未来のために、人々の希望をつなぐ危険な任務に旅立ちます。そして、この壮大な世界観を彩るのは映画顔負けの豪華すぎるキャスト陣。本連載では、『DEATH STRANDING』のキャスト陣を、映画、ドラマなどの代表作を含めてご紹介していきます。第6回では、クリフ役のマッツ・ミケルセンに迫ります。
マッツ・ミケルセンが演じる、クリフというキャラクター
主人公のサムと同様に、腹に十字の傷を持った素性不明の男。サムが“BB(ブリッジ・ベイビー)”と接続すると、逆流する記憶の中にクリフが登場します。どうやらBBとクリフとの間にはなにか大きな秘密がある様子。また、リサという女性とは親密な関係にあるようです。
公開中の映像内では、戦場のような場所で銃を持った兵士として登場。この世の者とは思えない複数のガイコツ兵士とケーブルで繋がっている様子など、極めてダークな雰囲気を漂わせています。物語のカギを握る重要なキャラクターです。
マッツ・ミケルセンってどんな人?
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) September 17, 2019
デンマークの首都コペンハーゲンに、看護師の母ベンテ・クリスチャンセンと、銀行員の父へニング・ミケルセンの間に生まれます。デンマークはオーフスの国立演劇学校で学び、幾つかの短編映画に出演。その後、ニコラス・ウィンディング・レフン監督(今作『DEATH STRANDING』ではハートマン役を演じています)の代表作「プッシャー」(1996)で長編映画デビューを果たします。
同監督とは以降も「ブリーダー」(1999)や「ヴァルハラ・ライジング」(2009)など数々の作品で共作。『DEATH STRANDING』では、同じ画面で共演を果たすなど、長きにわたる交友ぶりがうかがえます。アントワーン・フークア監督の「キング・アーサー」(2004)でハリウッドに進出。ジェームズ・ボンド役としてダニエル・クレイグが起用された「007 カジノ・ロワイヤル」(2006)では悪役ル・シッフルに抜てきされ、世界的知名度を獲得します。
以降はハリウッドとデンマークとを拠点に、さまざまな大作映画に出演。「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」(2011)に主演し、第85回アカデミー賞で外国語映画賞にノミネート。次いで主演したデンマークのドラマ映画「偽りなき者」(2012)では、その演技が高く評価されたことで第65回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞。第86回アカデミー賞では再び外国語映画賞ノミネートしたことで、主演作が2年連続ノミネートを記録しました。
トマス・ハリスの小説「レッド・ドラゴン」原作のテレビシリーズ「ハンニバル」(2013-2015)に出演。精神科医ハンニバル・レクターを怪演するなど、映画だけでなくテレビでも活躍。近年ではマーベル映画「ドクター・ストレンジ」(2016)で悪役カエシリウスを、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」(2016)ではデス・スターの設計者ゲイレン・アーソを熱演するなど、人気シリーズに立て続けに出演しました。
マッツ・ミケルセンは、今作『DEATH STRANDING』で、クリフのモーションキャプチャーと英語版声優を担当。マッツが愛煙家であることを知った小島監督が、マッツの習慣をそのままクリフに反映させるため、クリフをヘビースモーカーという設定に変更したそうです。
日本語版声優を務めるのは、山路和弘
クリフの日本語版声優を務めるのは、渋い声でお馴染みの山路和弘。舞台役者として数々の演劇やドラマに出演しつつ、声優としても長いキャリアを誇るベテランです。小島監督は「2年間くらい慎重にリサーチをした結果、『クリフ役は、山路さんしかいない!』と決断。収録時には、まるでマッツさんがスタジオで日本語を喋っているのかような錯覚を覚えた程」と語っています。
ビデオゲームでは『ウィッチャー3 ワイルドハント』のゲラルト役、『龍が如く』シリーズの伊達真役、『コール オブ デューティ ゴースト』のガブリエル・ローク役など。洋画の吹き替えでは、「LOGAN/ローガン」(2017)、「グレイテスト・ショーマン」(2017)のヒュー・ジャックマン、「エクスペンダブルズ」(2010)、「MEG ザ・モンスター」(2018)のジェイソン・ステイサムをはじめ、数々のアクション俳優を担当しています。
一度は観るべき! マッツ・ミケルセンの代表作
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今作『DEATH STRANDING』で、クリフに扮したマッツ・ミケルセン。彼の代表作にはどのようなものがあるのでしょうか。少し覗いてみましょう。
■「偽りなき者」
マッツ・ミケルセンが第65回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞したデンマークの名作。舞台は、クリスマス間近のデンマーク。妻との離婚を経て幼稚園の教職に就いたルーカス(マッツ・ミケルセン)。そんな彼がある日、親友の娘クララの虚言が元で、閉鎖的な片田舎で無実の罪を着せられてしまいます。マッツ・ミケルセンは、幼いクララの作り話によって、人生が狂っていくルーカスを巧演し、実力派としての名声を獲得しました。■「007 カジノ・ロワイヤル」
前任のピアース・ブロスナンが勇退し、ジェームズ・ボンド役としてダニエル・クレイグが起用された最初の作品。クレイグは、シリーズ初の“金髪ボンド”を演じました。「007 ゴールデンアイ」(1995)で高い評価を得たマーティン・キャンベルがメガホンを執り、エヴァ・グリーンがボンドガールを好演。本作で世界的知名度を得たマッツ・ミケルセンは、悪役ル・シッフル役を怪演。当初は、ベン・キングスレー、ジョン・トラボルタ、アラン・リックマンなど、往年の俳優たちが悪役での出演を熱望していました。■「ドクター・ストレンジ」
近年の映画業界を牽引している人気シリーズ、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の第14作品目。原作は、スタン・リーとスティーヴ・ディッコのレジェンドコンビが創出した同名のアメリカン・コミックスです。天才的な神経外科医スティーヴン・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)が交通事故で両手を損傷。医師として復帰するべく魔術の世界に救済を求め、魔術師に転身するまでを描いた人気作。マッツ・ミケルセンは、そんなストレンジに立ちふさがる闇の魔術師カエシリウスを熱演。デジタル処理を多用した異次元バトルが見どころです。■「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」
マーベル映画に出演したマッツ・ミケルセンですが、同年にはスペース・オペラの金字塔「スター・ウォーズ」シリーズのアンソロジーに出演。時代設定は、「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」(1977)の直前。銀河帝国の宇宙要塞デス・スターの脅威と、その脅威に立ち向かった反乱同盟軍の活躍を描いた外伝作品です。本作でマッツ・ミケルセンは、主人公ジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)の父で、デス・スターの設計に関与したゲイレン・アーソを演じています。『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』はPS4向けに、2019年11月8日に発売予定。“デンマークの至宝”と呼ばれるマッツ・ミケルセン。彼の演じるクリフは敵か、味方か。気になる正体はゲーム本編で!