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2020年に6周年を迎える、Cygamesのスマートフォン向けタイトル『グランブルーファンタジー』。そのスピンオフ作品にして初のコンシューマー向けタイトル『グランブルーファンタジー ヴァーサス(以下、GBVS)』が、いよいよ発売されます。
開発は、『ギルティギア』シリーズなどスタイリッシュな作品を排出してきたアークシステムワークス。対戦格闘ゲームとして期待が高まる一方、もしかすると「対戦格闘」というジャンルゆえに「難しいのではないか……」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな諸氏でも楽しめるのが「RPGモード」。こちらは『GBVS』独自のストーリーを楽しみながら、本作でのキャラクター操作を横スクロールのアクションRPG方式で学べるモードとなっています。
そのボリュームは、決して少なくありません。言うなれば、ソフト2本分遊べると言ってもいいほど。本稿ではこのRPGモードのインプレッションをお伝えします。
複雑なコマンドがいらない親切設計
まずは各キャラクターに共通する操作から。こちらはすこぶる簡単で、□・△・○・×の4つのボタンに弱~強攻撃と特殊技が割り振られています。このうち□と×ボタンの同時押しかL1ボタンで投げ、△と○ボタンの同時押しかL2ボタンでオーバーヘッドアタック(しゃがみガードの相手に有効)が発動します。
ガードはR2ボタンを押すだけで、向きは関係ありません。このR2ボタンに下と左右の方向キーを組み合わせれば「しゃがみガード」「避け」「回り込み」になります。ちょっと複雑になってきましたでしょうか? 最初は投げや避けよりも、自身の攻撃方法を把握して、敵の攻撃をしっかりガードすることを優先してみましょう。
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いくつかある攻撃方法の中でも、一番大事なのは「アビリティ」です。『グラブル』プレイヤーにはおなじみですが、本作では対戦格闘ゲームでいう必殺技に該当します。といっても、複雑なコマンドを入力せずともR1ボタンと方向キーの組み合わせだけで出るようになっているのが大変うれしいところ。
ちなみに、格ゲーによくあるコマンドでの入力(本作では「テクニカル入力」と呼称)でも発動でき、こちらでアビリティを放つとR1での入力よりもクールタイムが短縮される仕組みになっています。
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これまた騎空士におなじみの「奥義」ももちろん用意されています。こちらは奥義ゲージ100%時に【236+R1】(※)で発動する親切設計。さらに、HP30%以下かつ奥義ゲージ100%時に【236+R1+×ボタン】で「解放奥義」が放たれます。
※編集注:「236」は方向キーおよびスティックの入力方向をテンキーにおける数字の位置で表したもの。236は「下・右斜め下・右」を指します。
奥義はアニメーションがめちゃくちゃカッコよく制作されており、一見の価値あり。解放奥義になるとさらに豪華になるうえ、トドメになれば特別な演出も。全キャラクター分を見たくなりますね。
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対戦格闘ゲームといえばアーケードコントローラーがつきもの。しかし本作ではパッド(いわゆる普通のコントローラー)でも快適に遊べるように設計されています。しかもキャラクターの攻撃動作ひとつひとつが非常に丁寧に、かつカッコよく作り込まれており、本家『グラブル』をプレイしている人、キャラクターを知っている人ほどうれしくなるはず。
本作ではRPGモードでストーリーを楽しみながら操作を覚え、対戦格闘の「VSモード」に挑むという流れができており、アクション・対戦格闘の初心者でも楽しく遊べるよう、かなりハードルが低く設定されています。安心してプレイしてみてください。
グラブルといえばこれ!武器編成もポイント
RPGモードには、『グラブル』ユーザーが日々向き合っているであろう武器装備も搭載されています。本家と同様に10本の武器を選んで装備したり、強化したり、上限解放させたりすることで、バトルを有利に進めることが可能。「攻刃」などのスキルもちゃんと備わっていますよ。
武器はクエスト報酬や武器チケットを使ったガチャで入手します。こちらのガチャは課金要素ではないのでご安心を。
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この武器装備を始め、クエスト前の準備がRPGモード攻略のポイントです。特にボス戦は弱点属性に合わせたメイン武器の装備が重要で、そうでない武器をメインに携えていくと倒せないこともあります。
一見、攻略難度が上がっているようにも見えますが、装備をきちんと整えていけばプレイヤーのテクニックが高くなくてもボスを倒せるということ。『グラブル』をプレイしていても、アクションゲームには不慣れ……というユーザーにとってはありがたいかもしれません。
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ちなみに、武器以外にもバトルで役立つ「サポートアクション」をキャラクターにセットすることも可能。『グラブル』らしい戦略的な要素も楽しめるようになっています。
キャラクターのアクションが本作の醍醐味
2019年末のグラブルフェスでは、本作の追加DLCキャラクターも発表され、大きな反響を呼びました。魅力的なキャラクターが多いのは『グラブル』の特長であり、彼らの華麗なアクションやムービーが見られるのは『GBVS』の醍醐味でもあります。
奥義のアニメーションがカッコいいのは前述の通り。付け加えれば、本作のキャラクターは3Dモデルながらアニメ調の仕上がりになっており、2Dイラストを用いている原作と高い親和性をもっています。
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他にも、ストーリー中にムービーが再生されたり、立ち絵が動いたりと、生き生きした騎空団の面々が見られるのがうれしいところ。『グラブル』の中でもこんなふうに話したり戦ったりしていたのかな……? と、想像力をかきたてられます。
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RPGモードのストーリーでは、本作オリジナルの物語がフルボイスで楽しめます。また、色のついたテキストは常時「用語辞典」で詳細を確認することが可能。『グラブル』で無料ガチャを回したりファンアートを見たりしてキャラクターは知っている、という人もしっかり楽しめる作りです。
細かい点ではありますが、キャラクターのカラー設定もおすすめしたいところ。クエスト報酬やカラーパックで入手できるものも含めて、各キャラクター全18種類が用意されています。すでに公式Twitterでもいくつか公開されていますが、キャラクターのカッコよさ、美しさを引き立てるカラーリングが堪能できるので、きっと自分なりのお気に入りが見つかるはずです。
間口の広い、誰でも楽しめる対戦アクションRPG
今回はRPGモードをメインに紹介しましたが、やはり『グラブル』のキャラクターを気持ちよく、カッコよく動かせる点が本作の醍醐味。お気に入りのキャラクターを自在に動かせるようになるために、本作ではRPGモードに加えて「トレーニングモード」「タクティカルモード」と、練習するためのモードがかなり充実しています。見本となる動きも見せてくれるので、非常にわかりやすい設計です。
その点も含め、とにかく間口が広く取られているゲームだと感じました。アクションRPGや対戦格闘に馴染みのない人でも、『グラブル』が好きならきっと楽しめるはず。特に、今回紹介したRPGモードではオンライン・オフライン問わず共闘ができます。ローカル含め協力プレイができるアクションRPGも昨今では珍しいので、VSモードはもちろん、RPGモードもぜひ楽しんでみてください。