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どうぶつたちの住む村で自由気ままな暮らしを楽しむ『どうぶつの森』シリーズ。その最新作となる『あつまれ どうぶつの森』では、自然豊かな無人島に移住したプレイヤーが、なにもないところから自分だけのコミュニティを作り上げます。
無人島生活を夢見て意気揚々と移住した筆者でしたが、無人島だったのはわずかな間。未開の島はまたたく間に発展を遂げ、立派な村になりました。島をさらに発展させるためのインフラ整備費用は、いつの間にかすべて筆者が負担することになっています。
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『あつまれ どうぶつの森』は2020年3月20日、任天堂よりニンテンドースイッチ向けにリリースされました。スピンオフ作品ではない『どうぶつの森』シリーズの完全新作としては『とびだせ どうぶつの森』(以下、前作)以来、約7年ぶりとなります。また、本作は“DIY”(Do It Yourselfの略)と呼ばれるクラフト機能によって、様々なアイテムを作り出すことが特徴の一つとなっています。
Game*Sparkでお届けする『あつまれ どうぶつの森』レビューは連載形式であり、第2回は初めての季節イベントとなる“イースター”までのゲームプレイを基に評価します。本作は長期間にわたって遊ぶことが醍醐味のゲームであるため、評価が変わるほどのイベントやアップデートがあった場合には再度レビューすることを予定しています。
本稿はネタバレを含みます。ある程度ゲームが進行した状態でのレビューとなるため、ゲーム序盤の評価が知りたい方やネタバレを避けたい方は、第1回のレビューをご覧ください。
Game*Sparkレビュー:『あつまれ どうぶつの森』第1回―幻の無人島生活
本稿を執筆するにあたり、筆者がプレイした条件は次のとおりです。
・ニンテンドースイッチ本体の日付と時刻は一切操作しない。
・他のプレイヤーとのマルチプレイは行う。季節が反対(南半球)の島も含まれる。
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季節の移り変わりはどのように表現されたか?
『どうぶつの森』シリーズの最大の特徴は、ゲーム内の時間が現実の時間と連動していることです。現実世界が昼の時はゲームの世界も昼であり、現実世界が春ならばゲームの世界も春になります。
発売から約2週間が経過した4月1日、ゲームを起動すると島中の広葉樹が桜の木に変わっていました。それまで青葉が茂っていた木々に満開の桜が咲いたのです。同時に、島のあちこちで桜の花びらが舞いはじめました。この花びらを虫とり網ですくい取ると、桜にちなんだアイテムをDIYする材料になる仕掛けです。
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4月7日になると桜の花が散り始め、4月11日には元の広葉樹に戻りました。結局、桜の季節が体験できたのは一年を通じてわずか10日間でした。しかし、それだけにこの10日間は貴重な時間となりました。住民のどうぶつ(NPC)からも桜のはかなさを愛でる言葉が聞かれたほどです。
現実の時間と連動しているのは四季の風景だけではありません。月の満ち欠けも同様です。4月8日、現実の世界ではスーパームーンと呼ばれる大きな満月が観測されました。同日はゲーム内でも満月で、筆者の島では桜の散る中、満月と流星群がコラボレーションする珍しい光景を楽しめました。
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桜が終わった4月11日には、筆者の島で初めてのイベントとなる釣り大会が開催されました。釣り大会の目標は制限時間内にできるだけ多くの魚を釣ることです。魚の種類に関係なく釣った数に応じてポイントがもらえ、ポイントと交換で釣り大会限定の賞品が入手できます。終了時刻までなら何度でも挑戦可能で、ポイントは加算されていきます。
前作では他の住民と釣った魚の大きさを競いましたが、本作では順位の概念はなくなりました。その代わり、累計ポイントに応じて記念品のトロフィーが贈られます。順位のない釣り大会なんてつまらないと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありませんでした。実際のところ、筆者は賞品目当てに大会が終わる直前まで魚を釣り続けたのです。
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初めての季節イベントとなるイースターは、桜が咲いた4月1日から準備期間が始まり、釣り大会の翌日にあたる4月12日に本番を迎えました。イースター本番では、すべての住民がタマゴ形の服を着て、お祭りムードを盛り上げました。
イベントの目標は、島中に隠された6種類のタマゴを探し出し、それを材料としてイースター関連のアイテムをDIYすることです。タマゴは木や岩を叩いたり、魚を釣ったり、空を飛んでいる風船を撃ち落としたりして手に入れます。
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前作のイースターは一日限りのイベントでしたが、本作では12日間のイベントになりました。そのおかげで忙しいプレイヤーも参加しやすくなったのではないでしょうか。イベントの長期化は歓迎すべき改善ですが、一方で弊害も見られました。
筆者は最初の数日間で準備期間にDIYできるアイテムをすべて作り終えましたが、その後もタマゴは手に入り続けました。通常の材料が欲しくて木や岩を叩いたのにタマゴが飛び出したり、貴重なアイテムを運んでくる風船に交じってイースターの風船がひっきりなしに飛んできたり、釣り大会の最中にタマゴが釣れたりするのには少々閉口しました。
本作の季節イベントは無料アップデートで追加される仕組みになっています。その仕組みを活かし、今後開催されるイベントでは開催期間とイベントアイテムの出現率が調整されることに期待します。
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このように、本作では日々のプレイを通じて季節の移ろいを感じることができます。本作が発売されてからまだ一ヶ月も経っていませんが、それでもこれだけの変化がありました。今後一年を通じてどんな体験をさせてくれるのか今から楽しみです。
デザインの共有で広がる世界
ゲームの進行とともに仕立て屋が解放され、一気におしゃれの幅が広がりました。中でもゲームを大きく変えたのは、世界中のプレイヤーとマイデザインを共有できる“マイデザイン・ショーケース”です。
マイデザインとはプレイヤーが自由に創作できるドット絵のことで、その用途は多岐にわたります。服や帽子として身につけるほか、地面を装飾したり、地上絵を描いたり、額縁やイーゼルに飾ったり、家具に貼りつけることもできます。
前作ではQRコードを用いてマイデザインを共有していましたが、本作ではインターネット経由で手軽にダウンロードできるようになりました。ただし、この機能を利用するにはニンテンドースイッチ向けの有料オンラインサービスである「Nintendo Switch Online」への加入が必要です。
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マイデザイン・ショーケースを使えば、ドット絵に自信のない筆者のようなプレイヤーでも、他のプレイヤーが作成した素晴らしいマイデザインの数々を利用できます。簡単に言えば、自分が気に入った服を好きなだけダウンロードして着られるのです。筆者の場合、この機能が使えるようになったことで文字通り世界が変わりました。
前回のレビューでは、ドット絵を自動的になめらかにする機能の弊害を指摘しました。しかし、世の中にはすでにこの機能を使いこなしているプレイヤーが多数います。そのようなプレイヤーがSNSなどで公開している作品を借りれば、手軽にマイデザイン機能を活用できるのです。
本稿のスクリーンショットにも、他のプレイヤーが作成したマイデザインが含まれています。素晴らしい作品を公開してくださった作者の方々に心より感謝いたします。
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仕立て屋でもうひとつ触れたいのは、本作で新たに登場した試着室です。試着室では、その日の商品を色違いも含めて自由に試着して購入できます。コーディネートをその場で確認しながら買い物ができる素晴らしい機能です。
試着して購入した商品はそのまま着ていくことも、自宅の収納に送ることもできます。しかし、一度に購入できるのは同時に身につけられる分だけです。例えば、色違いの服をすべて購入しようと思えば、試着と購入の手順を何度も繰り返す必要があります。この手間は少々煩雑に感じられました。
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