2020年8月20日、DMM GAMESよりバトルロイヤルシューター『Cuisine Royale』の国内PC版が配信されます。本作のルールは、最後のひとりになるまで戦いまくる「バトルロイヤル」のオーソドックススタイルなのですが、他のゲームでは決して体感できない不思議としか言えない特徴がいくつかあります。
「銃とキッチン用品で戦い抜け！」と説明されるように、本作にはリアルな銃器のほか、体に身につける防具として「鍋」や「ワッフルメーカー」と言った調理器具をマップで見つけて装備することになるのです。また、高くジャンプする、ゾンビを呼び出す、マップ上のトイレから他のトイレにワープするなどさまざまな効果を持つ「神秘のスプレー」や、特殊な効果を持つ衣装などのカスタマイズ要素も用意されています。
本稿では、Steam版を2018年から遊び、シングルランク世界上位に入った経験のある筆者から、『Cuisine Royale』の魅力を伝えていきたいと思います。筆者も最初は「バトルロイヤルブームの最中に現れた変なゲームだな」くらいの印象でしたが、遊べば遊ぶほど奥が深いその戦略性は唯一無二だと感じています。
そもそも『Cuisine Royale』ってどんなゲーム？
本作のルーツは、ラトビアのパブリッシャーDarkflow Softwareが開発する第二次世界大戦MMOシューター『Enlisted』に遡ります。プレイヤー自身がAI部隊を率いて戦う数百人規模のゲームであり、リアルな銃器や車両などが多数登場する作品です。そんな真面目なWW2シューター『Enlisted』なのですが、2018年のエイプリルフールに突如として公式Twitterがひとつのお知らせを投稿しました。
Dinnerware will finally be able to show off its true potential - only in #CuisineRoyale! We are happy to invite you to the 1st test session of our new game - just visit the website on https://t.co/AH5F3boF1Z pic.twitter.com/74FexWC7EZ
— Enlisted (@EnlistedGame) March 31, 2018
これが、パンツ姿のプレイヤーが銃を持ち、防具としてキッチン用品を身に着けて戦う『Cuisine Royale』の誕生です。最初はエイプリルフールネタとしてアルファテストを行っていたのですが、2ヶ月後にスタンドアロン版として公開。最初は銃とキッチン用品のみが得物だった戦場も、開発が進むたびに新たなシステムを組み込んでいき、「神秘のスプレー」などの魔法要素やキャラクター固有スキルなどが彩るようになりました。
そんなわけでゲームメーカーならではのジョークから生まれた本作は、出自が真面目なFPSいうこともあってか、「ふざけながらも真面目に遊べる怪作」として進化を続けています。
最大40人バトル！冷蔵庫を探して強化せよ！
本作はソロ/デュオ/スクアッドでプレイ可能で、マッチの参加人数は最大40人。戦場は、サービス開始時から収録されているのどかなマップ「Normandy」と、遺跡やピラミッドの残る中南米マップ「Mexico」の2種類です。マップには天候の概念があり、同じ戦場でも状況によって戦術を使い分けることが重要です。
ゲームルールは「時間で収縮していくマップ内で、装備を拾いながら戦闘して、最後の生き残りを目指す」というおなじみのものです。装備は建物の中で拾うのみでなく、マップに点在する「冷蔵庫」型のルートボックスからも入手可能。冷蔵庫のグレード次第では強力な装備を獲得できます。また、マップに落ちている「アステカ金貨」を使って回せるスロットマシンなども登場します。
昨今のバトルロイヤルゲームよろしく、デュオ/スクアッドでは戦闘時に倒れてしまった仲間を復活させることが可能。「仲間の心臓を火の祭壇に捧げる」という独特のシステムで味方を蘇生できます。また「Cuisine（＝料理）」というだけあって、本作での回復アイテムはすべて食べ物なのも忘れてはならないこだわりですね。
銃に鍋、天使の輪っかまで！豊富過ぎる装備たち
本作がこうしたバトルロイヤルゲームである以上、生き残るためには武器が必要です。先述の通り本作はWW2をベースにしたゲームがベースになっているため、当時使用された「Beretta M38」「PPSH」「M1 Garand」など40種類以上の銃器が登場します。
非常に強力な対戦車ライフル「PTRS41」や対戦車ロケット「Panzerschreck」なども装備できますし、そのほかグレネードに近接戦闘用のナイフ、フライパンなど、さまざまな武器で戦いに飛び込めます。
また、ここで本作の特徴のひとつである「キッチン用品」を挙げないわけにはいきません。胴体に装備する鍋、膝に装備するワッフルメーカーなどは、おバカなビジュアルにはなるものの序盤で頼りになるありがたい防具なのです。アップデートによって軍事用ヘルメット/アーマーが追加されたものの、それでもキッチン用品たちは欠かせない相棒です。
また、戦場で拾える装備には特殊な効果を持つアクセサリーも存在しています。ダメージゾーン軽減効果の「闇の力から護るニンバス」、高速ダッシュが可能になる「スピードのヘルメスニーパッド」、ジャンプ力大幅アップ＆落下ダメージ無効の「セブンリーグブーツ」など種類はさまざま。アクセサリーが2つまで同時に装備でき、組み合わせ次第では大きなシナジーを生み出すこともあります。以下に、ちょっとした組み合わせの例を紹介しておきます。
- 「セブンリーグブーツ」＆「息止めの酸素ボンベ（スタミナ増加）」：通常では移動しづらい高い位置からの長時間狙撃が可能に。
- 「スピードのヘルメスニーパッド」＆「酸素ボンベ」：高速ダッシュの利用時間が延長。
- 「スピードのヘルメスニーパッド」＆「セブンリーグブーツ」：高速ジャンプして相手を翻弄可能に。
- 「オグンのタフなキューバ産葉巻（最大体力アップ）」＆「再生の点滴バッグ（体力リジェネ）」：肉壁化。 などなど……
これらの装備と次項で説明する「神秘のスプレー」「衣装カスタマイズ」の組み合わせは、本作の奥深い戦略性を生み出す重要ポイントです！
無限の可能性を生むカスタマイズ！
またまた先述した通り、本作にはスキルとして「神秘のスプレー」というものが存在します。これはプレイヤーが「魂」を消費して任意で発動できるもので、不利な戦場をひっくり返せるさまざまな能力を有しているのです。踏んだ人間を高くジャンプさせる効果や、マップ中に無差別に襲うゾンビを召喚する効果まで、種類はさまざま。「魂」は敵プレイヤーのキルや墓の破壊などで入手可能です。
リリース当初は下着姿の男が戦い合っていた本作ですが、現在は女性を含む5人のキャラクター用の衣装を収録しています。マスクや下着などの衣装には「近くのアイテムの場所が分かる」「食べ物を食べると魂が少し増える」「スロットマシンのコストを削減できる」などの効果があるため、「魂」獲得系の衣装と上手く組み合わせれば、低コストの「神秘のスプレー」を連発することも可能です。
すべての装備は、ゲーム内のミッションやレベルアップで獲得できる「キャッシュ」を利用して、スキルツリー形式で開放していきます。同じ効果でも、レア度と共に少しずつ効果が上がっていくため、やり込めばある程度は戦場を有利に動かすことも可能。初期に獲得できるものでも十分強いため、発想次第でいくらでも戦況を覆すことができます！
装備の数だけ戦略がある……自分だけのスタイルを見つけ出せ！
戦場で拾う「武器」「アクセサリ」と戦闘前にカスタマイズ可能な「衣装」「神秘のスプレー」「キャラスキル」と、大きく5つの要素が存在する本作。いずれも強力な個性や能力を持っているものばかりです。そして、これらが合わさることで本作の戦闘は考えられないほど複雑で、楽しくなっていくのです。ここからは、実際にゲームで使えるいくつかの戦術を紹介していきます。
●ダメージゾーンなんて怖くない！範囲外からの狙撃！
アクセサリ「闇の力から護るニンバス」と「再生の点滴バッグ」を使用することで、プレイヤーはダメージゾーン外でもかなりダメージを抑えられます。大抵のプレイヤーは「範囲外から入ってくるプレイヤー」を狙うことができても「範囲外のプレイヤーから襲われる」ことは想定していないものです。
プレイに慣れてくると、敵に狙われてる状態を避けるためにダメージゾーンに自ら逃げ込むという戦術も取れます。ダメージゾーンは視界的に少し見づらくなるため、相手の狙いを外しやすくなる効果もあります。ただし範囲が狭まるほど受けるダメージが大きくなるため、万全な準備が必要です。
●自分が戦う必要なし！ゾンビアポカリプスで大混乱！
「神秘のスプレー・ゾンビの黙示録」でゾンビを呼び出し、自分は「セブンリーグブーツ」などを利用して屋根の上に逃れる戦術。ゾンビはある程度の高さなら登ってきてしまうのですが、屋敷などの屋根の上なら安全です。ただしこの戦法は目立ちますし、同じように屋根に逃れてくるプレイヤーも多いので、戦闘準備は怠らないようにしましょう。
準備ができてないプレイヤーはゾンビと戦うしかなくなり、無駄な弾薬消費と銃声で自分の位置を知らせてしまうというデメリットを受けます。逆にゾンビを呼び出される側になることもあるでしょうから、対処には注意しましょう。
●低重力＆ジャンプパッド＆ジャンプで高高度爆撃！
「神秘のスプレー・ムーングラビティ（マップの重力軽減）」「神秘のスプレー・ジャンプパッド」と「セブンリーグブーツ」を組み合わせれば、高高度からの攻撃も可能！すべてを組み合わせると街中を軽く見下ろせる高さまで到達するので、屋内に潜んでいる敵以外はかなり見つけやすくなります。ただし当然こちらも目立つため、狙われるのはある程度覚悟が必要です。
地上からの攻撃に対抗するために「Panzerschreck」などの強力な武器を装備しておいたり、高レベルの防具と「葉巻」で防御を上げておいたりすれば、安定した空中戦に挑めます。キャラクター「アニー」のスキル「バレットタイム」を使用してこちらの銃撃精度を上げるのも有効。また、チーム戦ならあえて囮となるという使い方も可能です。
これらの戦術はどれもトリッキーで、ごく一部のプレイヤーにとって使われる戦術です。ゲームを続けていると、勉強させられるような組み合わせの攻撃を受けることは珍しくありません。相手の戦術を吸収し、更にこちらが応用していくことも『Cuisine Royale』の楽しみ方のひとつです！
戦闘の合間に注目したい！丁寧にちりばめられた小ネタたち
●細かいこだわり方がすごい！マップ観光のすすめ
本作は真面目なWW2シューター『Enlisted』をベースに作られているため、武器のデザインや「Normandy」マップの戦場を思わせる建築物など、細部までこだわって作られています。
「Mexico」マップはメキシコにある「Lacandon Jungle」をモチーフにしていて、マヤ文明の巨大遺跡「パレンケ」などを再現した建築物を見つけられます。ほかにも特徴的な石像や石柱など、メソアメリカの歴史を感じさせるものが登場します。
バトルロイヤルゲームなので悠長なことは言ってられませんが、余裕があるときはマップ観光を楽しんでみるのもおすすめです。「なんでこんな変なとこまでこだわってるの！？」と驚くような、さまざまなオブジェクトを見つけることができるでしょう。
●なぜゾンビがいるの？それは……過去のイベントが面白かったから！
エイプリルフールネタとして生まれた本作。そんな経緯もあってか、ハロウィンやエイプリルフールの季節になると、妙に力が入ったシーズンイベントが展開されます。2018年には死んだプレイヤーが突如NPCゾンビへと変貌する「ゾンビモード」が追加。チームメイトの死体でも容赦なく襲ってくる様は、本当に恐ろしい光景でした。ゾンビモードは評判が良かったのか、2019年にも復活していました。
2019年のエイプリルフールには「マネキンモード」が開催。これはプレイヤーの初期装備がダミー人形の姿になり、マップに落ちている人間の腕や頭などのパーツと入れ替えて強化していくという、カオスなモードでした。
現在ゾンビは「神秘のスプレー」用に、ダミー人形は射撃訓練上の的として再利用されています。「ジェットパック」など、世界観を疑いたくなるような装備も過去のジョークイベントから正式に採用されたものでした。面白そうと思ったものは貪欲に採用し、それでいて不思議なくらいバランスが取れるよう仕上げていくのが、Darkflow Softwareらしいセンスなのだと思います。
『Cuisine Royale』は、2020年8月20日からDMM GAMESにてPC版がサービス開始。国内公式サイトでは事前登録を受け付け中です。予約したユーザーには特典として、初期キャラクター用の衣装「アニーの縞パン（仮）/クライドの縞パン（仮）」が配布されます。登録の際には、DMMアカウントが必要となるのでご注意ください。また、PS4版も2020年夏配信予定とされています！
なお、Steam版とDMM GAMES版のユーザーは一緒にプレイ可能。アップデートは同じタイミングで配信されます。PS4版とのクロスプラットフォームプレイには対応していないので要注意です。
キッチン用品に冗談としか思えないモードなど、どこかおバカでふざけた内容に見える『Cuisine Royale』。しかし実際に遊んでみると、さまざまな要素でプレイヤーに無限の戦術を生み出させる「懐の深さ」を感じられるでしょう。アップデートも頻繁に行われていて、新武器の追加やバランス調整も精力的に実施されています。ユルめの雰囲気と真面目なプレイが調和している本作は、昨今のバトルロイヤルシューターの中でもぜひ一度遊んでもらいたい作品です！
