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去年の8月にリリースされ、その特異な世界観や美麗なグラフィックスによって数多くのファンを獲得したアクションアドベンチャーゲームである『CONTROL』。それから約1年後、8月28日にDLC全部入りの完全版「アルティメットエディション」が発売されました。
特にPC版では待望のSteamストア対応ということで、この機会に購入を検討されているプレイヤーの方も多いのではないでしょうか。また、アルティメットエディションと同日に配信された第2弾DLC「AWE」では(本作のデベロッパーである)Remedy Entertainmentの過去作『Alan Wake』とのリンクが匂わされており、同社ファンであればその内容も気になるところでしょう。
と、いうことで今回は、本作の内容が気になっているプレイヤーのために、筆者がそんな『CONTROL』のアルティメットエディションをざっと一通り遊んできたレポートをお届けしていきます。
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本作の最大の特徴は、なによりその特異な世界観でしょう。物語の内容は非常に難解で、かつ(本作最大のウィークポイントでもあるのですが)字幕も直訳気味でわかりづらいため、導入部ではかなり混乱させられます。あらすじをざっと説明すると、主人公のジェシーは生き別れた弟を探すために、かつて弟を連れ去った(と、ジェシーは考えています)組織である「連邦操作局」の本部にやってきます。しかしそこではすでに何か異変が起こっており……と、いうような感じでしょうか。
びっくりするような奇抜な展開が連続しますが、あとから何となくぼんやりと全容がわかってきたりもするので、最初のほうは「考えるな、感じろ」的に、物語のジェットコースター感に身を任せて進めていくのがよいかと思います。
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本作のジャンルを、筆者なりに説明するなら「超常現象SF」という感じになるかと思います。インターネット上で大人気のシェアワールド作品である「SCP財団」シリーズとの類似性を指摘するプレイヤーも多いです(ちなみに製作者の一人であるThomas Puha氏にかつて本メディアが行ったインタビューでは、「SCP」からの直接的な影響は否定されていました)。
超常的な力を持ったアイテムである「パワーオブジェクト」の存在や、黒塗りが多く施されたゲーム内資料などから筆者も「SCP」を連想しましたし、(おそらく「SCP」自体の着想元にもなっているであろう)「X-ファイル」や「ツイン・ピークス」などの超常現象を取り扱った海外ドラマっぽい雰囲気もあります。個人的には「弟が政府組織に連れ去られる」的な陰謀論めいた世界観は「MMR マガジンミステリー調査班」を連想させられたりもしました。普遍的に誰もが興味を持てるジャンルではないかと思います。
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世界観を表現するのに欠かせない要素であるグラフィックスも(さんざん言及されているでしょうが)非常に素晴らしい出来です。ハイスペックなゲーミングPCであればレイトレーシングでの豊かな「光」の表現も楽しめますし、ゲーム自体もそれを意識してか「闇」と「光」にまつわるロケーションやシチュエーションが多く登場します。
また、バカでかいフォントで場所の名前が表示されたり、直線的かつ無機質な物体がよくわからんがカッコいい感じで配置されたりなど、デザイン的なかっこよさもかなりのもの。暗めの照明によってバキバキに色分けされた無機質な空間が数多く登場するので、おそらくは現状レイトレーシングが実装されていないコンシューマ機でプレイしても、ある程度の美しさは体感できるように作られています。
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物体の破壊描写も非常に精密ですし、念動力で映写機を持ち上げると映し出されている像もリアルタイムに変化するなど、すさまじい「ディテールへのこだわり」も感じられます。ゲーム本編ではずっと「連邦捜査局」という単一の建物内にいることになるわけですが、小物類や照明の変化、また超常的な力による異常な空間の広がりなど、ロケーションの変化が乏しいわけではありません。本編だけを駆け抜けるように遊ぶと若干短めなのですが、サイドミッションも豊富ですし、ゆっくり探索するように遊ぶことで本作本来の魅力が見えてくるでしょう。
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超能力を使ったド派手なバトルが楽しめる戦闘シーンも本作の大きな魅力の一つ。敵からはプレイヤーを強化するアイテムがランダムでドロップされるので(あくまでエッセンス程度ですが)「ルーターシューター」的な要素もあったりします。
戦闘の難易度は結構難しめなので、アクションが苦手だったり、慣れないプレイヤーは苦戦を強いられることもあります。死んだ後の巻き戻しもけっこうしんどかったりするので、体力に気を付けて、出来る限り慎重にプレイしたほうがよいでしょう。
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難易度の高い本作ですが、うれしいことにアップデートによって「アシストモード」が実装。照準アシストやダメージ軽減のようなものから、敵の攻撃によってプレイヤーが死ななくなる「不死身」、敵が一発で死ぬようになる「一発キル」などチートめいた効果を持つものまで幅広くアシストが用意されています。
プレイ感覚を大きく変化させかねないため使用にはちょっとした注意が必要ですが、これでTPSが苦手なプレイヤーでも問題なくプレイできるでしょう。例えば照準アシストと一発キルを併用すれば、恐ろしい速度で敵を殲滅することも可能です。
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さて、最後に『Alan Wake』との直接的なリンクがある第二弾DLC「AWE」についてちょっとだけ(ネタバレを避けて)説明していこうと思います。
前述しましたが、『Alan Wake』とは本作のデベロッパーであるRemedy Entertainmentの過去作で、「光」によって敵を倒すギミックが特徴的なホラーゲームです。「AWE」では(気づいていたプレイヤーの方は多いでしょうが)『Alan Wake』と『CONTROL』が同一ユニバースであるということが改めて描かれます。
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『CONTROL』がもともと難しい作品な上に『Alan Wake』自体も難解なテイストを持ったゲームですから、「AWE」もまた「非常に難解」なストーリー性のあるDLCになっています。
連邦捜査局内にはゲーム『Alan Wake』で描かれる「小説家であるアラン・ウェイクが体験したブライト・フォールズの事件」の捜査にまつわるエリアがあり、主人公であるジェシーはその内部を探索し、とある『Alan Wake』のキャラクターと対決することになります。
連邦捜査局が『Alan Wake』の事件にかかわっていた、というのは飲み込みやすい設定ですが、この『CONTROL』の世界自体がアランが創作したものでは?というような示唆もあり、ぶっちゃけ、めっちゃややこしい内容です(ゲーム内資料の読み込みもまだまだなので筆者の理解が浅いだけかもしれませんが……)。
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ゲーム内容としては『Alan Wake』と同じく「光」によって「闇」を祓っていくようなパズルが特徴です。一部の戦闘シーンでは光源をなんとか確保しながら戦うことになり、緊張感も難易度もかなり高め。とはいえ『Alan Wake』をプレイしたことがある人であればわかるような要素もてんこ盛りなので、同作ファンはプレイ必須かと思います。
逆に、『Alan Wake』を知らないプレイヤーはまったく意味不明と感じるかもしれませんが、そもそも元々解釈が難しいゲームですし、プレイしていればわかるかというというとそんなこともないので、逆に何も気にせず遊べるかと思います。
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すでに発表があった通り、Remedyは本作と『Alan Wake』の同一ユニバース内での新作を準備中とのこと。「AWE」にはその予告とも取れるような内容が含まれているため、Remedyのファンであればプレイして損はないでしょう。
ともかくDLC込みの全部入り大ボリュームなのにもかかわらず、Steamであれば9月9日まではセール価格で3,984円というのは大変お値打ちだと思いますので、超常現象SFが好きな方、Remedyのファンの方、そして『Alan Wake』をプレイしたことがある/する予定の方は、このアルティメットエディションを購入してみてはいかがでしょうか!