先日、アメリカのインディーデベロッパーInnerSlothによる『Among Us』が同時接続者数150万人を達成したというニュースをお伝えしました。
ここ最近、Twitchの視聴者数ランキングで上位によく顔をのぞかせていたこのタイトルを目にしていたものの、国内では注目が向けられている様子もなく、筆者もあまり注意を払っていませんでした。しかし、今回のニュースを書いたこともあり興味が湧いたので、実際に買ってプレイしてみました。今回は、知られざる宇宙船人狼ゲーム『Among Us』の内容とそのプレイレポをお届けします。
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『Among Us』とはどんなゲーム?
本作は2018年11月17日にアメリカのインディデベロッパーInnerslothから発売されました。最近までほとんど注目されてきませんでしたが、今年の夏になってTwitchで有名配信者たちがプレイを始めたことがきっかけとなり、一大ブームに。現在でも、Twitchの視聴者数を降順に並べると、ほかの超有名タイトルと並んで上位に位置しています。
本作は宇宙船を舞台にした人狼ゲームです。プレイヤーたちは故郷へと帰還する宇宙船に搭乗する、映画「ミニオンズ」のような最高にやる気のなさそうな宇宙飛行士らしきキャラクターたちを操作します。しかしそのクルーたちのなかには、実は怪物が化けた「Impostor(偽物)」が潜んでいます。クルーたちの目的は、宇宙船の航行を行いつつ紛れ込んだImpostorを暴き出して排除。逆にImpostorの目的は、ばれないようにクルー全員を排除することです。
ルーム参加からゲーム開始まで
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サーバーはアジア、北米、ヨーロッパの3つが用意されています。ゲームモードは、ローカル、オンライン、プライベートの3つ。今回、筆者がプレイしたのはオンラインモードですが、オートマッチングではないため自分でゲームルームを選択して参加します。とは言っても、事前に確認できるのは言語、マップの種類、ホストの名前、Impostorの数とプレイヤー数上限。あとは入ってみてからのお楽しみです。
ルーム検索の際には言語設定をかけられます。言語ルームの寡多は表示されないので、どの言語がどの程度多く作成されているのかはわかりません。日本語は選択タブにないため、筆者は英語を選択。ホスト名がルーム名として表示されますが、初心者向けかベテラン向けかという判別はできなかったので、思い切って適当な部屋に飛び込んでみました。
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プレイヤー数は4人から最大で10人。ホストの設定に従い、ランダムでその中から1~3人がImpostorとして選出されます。ルームに参加すると待機部屋へ。待機部屋では小さな端末があり、そこで自キャラのカラーやアクセサリーなどの変更が可能ですが、他の人と同じカラーにはできません。ちなみに見た目用の課金アイテムもわずかながら実装されています。人数が揃った段階で、ホストがゲームを開始します。
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筆者が遊んでいた限りでは、Impostorが1人のルームが多かったです。マップは、宇宙船「The Skeld」、宇宙ステーション「MIRA HQ」、惑星基地「Polus」の3種類が用意されています。開始時点での手がかりは皆無で、全くの手探りで進めるほかなく、クルーの役割なども決められていません。
ゲーム開始後:疑心暗鬼の探り合い
クルーの場合はゲームが始まったらタスクが左上に表示されるので、マップを見ながら該当の場所に向かい、宇宙船を修理していきます。逆にImpostorになると修理はできず、バレないように修理しているふりをしてみたり、妨害工作で他のクルーを撹乱しながら「キル(Kill)」していきます。キルされるとその場に死体が残り、それが「報告(Report)」されることでディスカッションタイムに突入します。
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誰かがImpostorに殺害されていても、それを報告しなければゲームはそのまま進行します。ときには気づいたら2人、3人とやられていることも。報告はクルーでも、Impostorでもどちらでも可能です。クルーであれば報告しない理由もないように思いますが、Impostorなら放置するも良し、また推理モノによくあるように自身で第一発見者を装うのもアリでしょう。
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本作の醍醐味:ディスカッション
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クルーの場合は、とにかく生き残り、排除されないよう立ち回るのが良いと思います。基本的に単独行動は避けたほうがいいでしょう。狙われやすくなる上に、アリバイがないため疑われる原因にも。アリバイをはっきりさせ、Impostorが誰か見当をつけていくという意味でも、現在自分がいるエリア名と近くにいるプレイヤーの色を覚えておくのが良いでしょう。なお、船内の施設にはマップ上で他のプレイヤーの場所を監視できる機能などがあり、これらを用いて疑わしい人物を推理していきます。
Impostorなら、修理ポイントのあいだのエリアに息を潜めて通りがかった人をキルしてもいいし、孤立している人を狙うのもあり。また、Impostorだけが使用可能な「通風孔(vent)」もあり、これを使ってマップ内を素早く移動できます。
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そして人狼ゲームたる本作の最大の醍醐味「ディスカッション」。話し合いをして全員が怪しいと思う相手に投票を行います。緊急招集を使うか、死体発見の報告が為されたらディスカッションが開始。このときはお互いをプレイヤー名で呼ぶことはなく、各キャラクターの色で呼び合っていました。
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たいてい、「Who?(だれ?)」や「Where?(どこ?)」といった当たり障りのない質問から始まり、「自分は~の場所にいた」とか、「死体は~の場所にあった」といった情報共有、各自のアリバイ宣言というパターンが多かったです。あまりにアリバイ宣言が早いとそれも疑われますし、Impostorに「それは嘘だ。違う場所にいるのを見たぞ」と陥れられるときも。最初は全く根拠がない状態のため、適当に言いがかりをつけるとその人に投票が集まる場合も少なくありません。
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ディスカッションをどう乗り切るかには個性が出るので、見ていて非常に面白いところ。余計な注目を集めないようずっとだんまりの人もいますし、なかにはわけのわからない自作ラップのようなものを終始コピペしてくる輩もいました。意味不明ではありますが、それはそれで笑えます。また、どうしても誰に投票してよいかわからない場合や無責任に投票したくない場合、スキップも可能です。
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やはり、ディスカッションの読み合いはめちゃくちゃ楽しいです。変に発言しようものなら疑われるので慎重になり、言葉数は少なくなります。誰がディスカッションの主導権を握るかというのも重要に。なにせ、会話をリードしている当の本人がImpostorかもしれないのですから。これを利用して、Impostor本人が周りを仲違いさせていく展開にも遭遇しました。
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矛盾した発言をしている人はいないか、誰がマップのどの位置にいると言っていたかを考えながら推理を楽しむもよし。特に細かいことは気にせず、なんとなくで投票してもOKです。Impostorではないプレイヤーに投票してもペナルティはありませんし、疑いに疑った結果、投票して排除したプレイヤーがImpostorでなかったりすることだってもちろんありますが、そのあたりも含めてこのゲームの楽しみでしょう。
やられてしまったあとは幽霊状態でゲームに残り、他の死亡済みのクルーたちとチャットで会話も可能。ですが、生き残ったメンバーとのやり取りはできません。
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殺害されたプレイヤーがまだルームに残っていた場合、チャットをしながら一緒にその後のゲームの展開を観戦するのもなかなか楽しかったです。もし次のマッチに進みたければ、途中退出してもペナルティは発生しません。また一回のゲームが長くても10分程度で終わるというのも良いポイントでした。
筆者がプレイしているあいだ、わずかばかりストレスを感じたのは、ディスカッション時にマップが確認できない点です。他のプレイヤーからどこにいたか尋ねられても、事前に覚えておかないとすぐに答えられず、「えーっと、どこだっけ」と思い出そうとしているあいだに変に疑われてしまう場合がありました。いくつかの事柄を並行して記憶していかなければなりませんから、そういう意味では脳トレにもなるかも?
また、急な人気上昇のせいかサーバーが安定していないようで、接続切れやプレイヤー名の文字化けと思しき「???」、名前が表示されないバグなどがごくまれにありました。
総評
人狼ゲームというすでに確立されたゲームジャンルを下敷きに、それをアレンジしているため、ゲーム性そのものを不満に感じることはありませんでした。二番煎じという印象もなく、むしろそれゆえに誰もが遊べるとっつきやすさ、ルールの理解しやすさがあり、プラスに働いています。Twitchでの配信を通じた爆発的な人気上昇もこの点に起因しているのでしょう。もし自分でプレイしていなくても見ているだけで楽しいゲームです。
唯一にして最大の難点は、やはり日本語に対応していないというところです。しかしプライベートルームも立てられますので、例えば配信者同士や視聴者参加型で集まるなどすれば、「配信映え」するパーティゲームとして、極めて優れているのではないかと思われます。
ワンコインという価格は、ハイクオリティな無料プレイのゲームが群雄割拠する昨今においては、むしろ足踏みをしてしまう価格になるかもしれません。それでも非対称型のPvPゲームとして、アクションやシューティングが苦手な方も気楽に楽しめる作品ではないでしょうか。
『Among Us』はPC(Steam)/Android/iOS向けに発売中。Steamでの価格は520円です。