11月13日に『Call of Duty: Black Ops Cold War』(コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー)がPS5/PS4/XSX/Xbox One/PCで発売されました。今作のキャンペーンモードでは、初代『Black Ops』と同じく冷戦時代のストーリーを追えます。プレイヤーは『ベル』という偽名のキャラクターを操作し、冷戦へと関わっていきます。
また、シリーズではお馴染みの「ゾンビモード」も今作で再登場。対戦がメインのマルチプレイとは少し異なった協力プレイを楽しめます。本稿ではマルチプレイを含む3つのモードについて評価、解説を加えながらレビュー。各モードは若干のネタバレを含みます。また、今回の記事執筆にあたってはPC(Battle.net)版を使用しました。
冷戦が舞台のキャンペーンモード。エンディングはマルチ、if展開も
キャンペーンモードでは冷戦時代が舞台になっており、謎のスパイ「ペルセウス」を追っていくストーリーになっています。アドベンチャーゲームのように選択肢も多く、登場人物の結末が変わる場合も複数存在します。またエンディングも数種類が用意されており、とある場面での重要な選択肢が鍵を握ります。
このキャンペーンではマルチプレイやゾンビモードで使用できるオペレーターも数名登場するので、もともとキャンペーンに興味がなかった方にもオススメ。愛着がわきますし、アンロックする上でのモチベーションにもつながります。
ストーリー自体は長いものではありませんが、内容はそれなりに濃厚。物語性を重視しているプレイヤーでも楽しめる作りになっています。ただエンディングの自体は、割と中途半端な状態で終わってしまうところも。はっきりした結末を求めている方には、本作のキャンペーンは向いていないかもしれません。
また、史実が舞台とはいえ、キャンペーンの内容はあくまでもif。歴史ファンの方にとって、納得できない展開などが含まれている場合があるのでご注意ください。また、ホラー要素も若干ではありますが入っています。
対戦ルールは全10種。ストリークは発動条件が変更されたものの、連続キルが最重要
本レビューは11月21日の状況を元に執筆しています。今後のアップデートで内容が変更される可能性があるので、ご留意ください。
マルチプレイは新登場のモードを始め、全10種類の対戦形式が用意されています。「Team Deathmatch」など分かりやすいルールもあるので、初心者でも把握するのに時間はかからないでしょう。細かな部分はマッチが進行している最中にも教えてくれます。ただ敵を倒すだけでは勝てないモードもいくつかあるので、ルールの詳細な理解も上達する上では必要に。パーティを組んでボイスチャットでの連携が出来なくても、理解度が深まれば十分勝っていけるでしょう。
綿密な連携への依存度が高いルールを上げるとすれば、「Fireteam」でしょうか。合計40人が参戦するこの大規模人数モードでは、付近にいる敵チームを全滅に近い状態に持っていく必要があります。現在実装されているルール、「Dirty Bomb」は点数を獲得するために爆弾を起動させる必要があるのですが、起動の準備中は攻撃などが行えない他、爆弾自体が外にあるので、屋根を取っている敵がいる場合は倒しておかないと高確率で妨害されます。
「Domination」のようにゲージを溜めてから一度その場を離れてもある程度維持されるわけではなく、起爆動作を解除すれば最初からやり直しに。現状、あまり初心者でも大丈夫、とは言えないモードになってしまっています。
今作はキルストリークがスコアストリークへと名称が変更されました。名前の通り連続キル数ではなく稼いだスコアの数でストリークが使用できるもの。デスしてもストリークに必要なポイントは残っていますし、「Domination」などであればルールを通してチームに貢献し、必要なポイントを集められたりも。戦闘が苦手な場合でも発動する機会には恵まれています。
しかし本作のスコアは連続でのキルが最も稼ぎやすいので、結局のところはキルストリークと根っこの部分が変わっていません。このため前線に出ない、オブジェクトに絡まないプレイが成立しやすくなっており、一部のルールではチームに貢献しない方が自分のスコアを上げられます。もちろんこのゲームに後衛は必要ですが、前線とのバランスが対等になっていない印象もあります。ストリークについても初心者にとっては嬉しい変更点になってはいるので、この辺りのバランス調整は行ってほしいところですね。
使用できる武器も今作では多数登場しており、メインで装備できるアサルトライフル、サブマシンガンが5種類ずつ、タクティカルライフルは4種、ライトマシンガン、スナイパーライフルは3種類ずつ登場。サブで装備できるハンドガンは3種、ショットガンとランチャーは2種類。また、ナイフとグレネードランチャーも1種類ずつ登場します。
ガンスミスやPERKの方も続投しており、ワイルドカードも復帰。豊富なカスタマイズで様々なプレイスタイルを実現できます。装着できるアタッチメントは銃のレベルに応じて増えていくスタイルをとっており、すべて開放するには1つの銃をかなり使い込む必要が出てきます。すべての銃でアタッチメントを開放しきるとなると、それだけで相当な時間を取られるでしょう。
ゲームをプレイするモチベーションになると考えることも出来ますが、色々なカスタマイズを楽しみたいプレイヤーにとっては足かせにもなってしまいそうです。
武器のバランスについては、強力なサブマシンガンである「MP5」に弱体化が入りました。後日もとに戻ってしまいましたが、これはミスらしくまた弱体化した状態が適用されるとのこと。強力なタクティカルライフルとして「M16」、「AUG」も修正が必要との声は多数でており、先日修正入りに。とはいえそれでもトップクラスの性能は維持しています。アサルトライフルの強武器として名前が上がっていた「FFAR」は反動を始め大幅に弱体化しています。
まだ手放しで称賛できるバランス環境にはなっていませんが、公式は調整に対し前向きなようです。もう少し時間はかかるかもしれませんが、多くのプレイヤーの不満点が解消される望みはあるでしょう。
ゾンビモードは最大4人での協力プレイモード。チュートリアルは不足気味?時間を確保した上でのプレイを
最後に3つ目のモード、ゾンビモードについてご紹介します。このモードは最大4人まで参加できる協力系のモードになっており、次々に湧き出すゾンビたちを倒し、脱出を目指すモード。10ラウンドまでクリアすれば脱出が可能で、その後は15、20、25、と5ラウンドずつクリアする度に脱出の機会が訪れます。
しかしこの脱出はラウンドをクリアしても自由に行えるものではなく、自分が脱出したくても他のプレイヤーの同意が得られない場合、そのまま続行する羽目に。ラウンド10をクリアするだけでも相応に時間がかかるので、パーティを組まずにプレイする時は十分な時間を確保しておきましょう。
どうしても脱出できない場合は、ソロモードでの挑戦がオススメです。プライベートの一覧にソロモードが実装されており、ラウンド10で脱出するのであれば30分ちょっとでクリアできます。マルチプレイで使用できるオペレーター、「ヘレン・パーク」をとりあえず開放したいのでこのやり方で問題ないでしょう。
プレイ開始時にロードアウトは選んで持ち込めますが、基本的にはモードの中で武器を入手、それを強化してゲームを進めていきます。とはいえすべての武器を入手できるわけではなく、ゾンビモード中に入手できる武器は限定的。ランダム入手も含めれば種類は大幅に増えますが、特定の武器を使いたい、あるいは育てたい場合、ロードアウトで選択しておく必要があります。
もし特に育てたい武器がないのであれば、ロードアウトではナイフを選択するのがオススメ。序盤の敵なら一撃で倒せますし、弾の消費もなし。もちろん強化すれば、中盤以降もゾンビとの1対1をメインに運用できます。
このモードも、マルチプレイと同じようにチュートリアルのようなものはほぼなく、プレイ中のアナウンスは謎解きを進める際の助言程度。ゾンビモードで重要な武器や、プレイヤーの強化については具体的な指示が出ない状態でプレイすることになります。モード中に手に入る「エーテリウムクリスタル」の使用方法も最悪の場合、気付かずプレイし続ける可能性があります。1人で大暴れしてどうにかなるモードではないので、始めてプレイする場合は多少の情報収集はしておいた方が良いでしょう。
課題はあるものの、初心者にもオススメできるFPS。容量も前作に比べれば少なめに
『Call of Duty: Black Ops Cold War』は次世代機にも対応したシリーズ作品として、好調なスタートを切りました。発売してまだ間もないため多数の問題点はありますが、初心者から上級者まで、様々な層にオススメできるFPSと言えそうです。コンテンツ量も豊富で、プレイヤーを飽きさせないための工夫は感じ取ることが出来ます。
ただゲームモードやルールについては、多すぎるとも捉えられます。クイックマッチでマッチングを探していると、明らかに一部のルールは出現率が低め。全ルールを対象にしておけばスムーズに対戦を始められますが、特定のルールで対戦したい場合は予めメンバーを集めておく必要も出てくるでしょう。発売してから徐々に人口は減ることが想定されるので、この辺りについては運営云々よりもプレイヤーの方で対策をした方が早そうです。
本作の容量についてですが、PC版の場合は最低でも30GBほどが必要になります。インストールするコンテンツの選択によって容量の方は増減し、ゲーム本編が約15GB、キャンペーンモードが約44GB、マルチプレイヤーは約17GB、ゾンビは4GB、DEAD OPS ARCADE 3は5GBほどになっています。高解像度アセットは約51GB、すべて合わせると137GBになります。必要のないコンテンツを削ってしまえば、一般的なPCゲームとそこまで容量の差はないでしょう。
一方で最新作なのもあってか、PC版だとCPUやメモリの要求量が上がっています。画質設定を上げてしまうと理想的なフレームレートが出ない場合もあるので、設定から画質は下げられる範囲で下げておきましょう。
良い点
・多様な対戦モード
・ガンスミスを始めとした幅の広いカスタマイズ要素
・冷戦時代を舞台にした密度の濃いキャンペーンモード
悪い点
・カスタマイズ要素を全開放するのが手間
・チュートリアルの不足
・一部武器の性能格差