「Cyberpunk RED」は2020年11月14日にR. Talsorian Gamesより発売されたテーブルトークRPGです。同作は、2020年12月10日に発売が迫るCD PROJEKT REDの新作RPG『サイバーパンク2077』の原作「サイバーパンク2.0.2.0.」の新バージョンにあたります。
本特集では『サイバーパンク2077』の発売を待ちきれない方に向けて、同じ世界観を共有する「Cyberpunk RED」をいち早く遊ぶのに必要な情報を日本語でお届けします。第二弾となる今回は行動の判定ルールを中心にご紹介します。『サイバーパンク2077』のシステムをイメージするのにも役立つこと間違いなしです。
「Cyberpunk RED」の世界観やテーブルトークRPGの基本、キャラクターの作成については第一弾でご紹介しています。こちらの記事も併せてお読みください。
『サイバーパンク2077』が待ちきれない?なら遊んでみよう、テーブルトークRPG「Cyberpunk RED」!【解説・キャラ作成篇】
本特集でお届けするのはあくまでルールの要約です。完全なルールをお知りになりたい方は、別途ルールブックを入手して記事と併せてお読みください。以下のサイトではデジタル版のルールブック(英語)を購入できます。
「Cyberpunk RED」のルールブックには初心者向けの簡易版「Cyberpunk Red Jumpstart Kit」もあります。2020年12月16日まで、Humble Bundleで「Cyberpunk」関連の電子書籍がバンドルとして提供されており、8ドル以上の寄付で「Cyberpunk Red Jumpstart Kit」と旧版「Cyberpunk 2020 Core Book」を含む多数の関連書籍が入手できます。
距離と時間
「Cyberpunk RED」では距離を測る単位としてメートルまたはヤードを用います。両者の差はわずかなので、ルール上は同じものとして扱われます。
非戦闘時は現実世界のように時間が流れますが、戦闘中はより正確に時間を管理します。時間はターン(Turn)に分かれ、1ターンは約3秒に相当。戦闘の参加者が一通り自分のターンを終えると1ラウンド(Round)の終了です。ルール上、キャラクターの行動はほぼ同時とみなされるので、1ラウンド(全員のターン行動が解決される作中時間)も約3秒となります。
キャラクターの行動順はイニシアティブ(Initiative)によって決まります。戦闘の開始時には、戦闘に参加する全員がイニシアティブを決めるためにダイスを振ります。
上の式で、1d10は“10面体ダイスを1個振った値”を意味します。以後の説明ではテーブルトークRPGの慣例に従い、この表記を用います。
戦闘の参加者はイニシアティブの大きい順にイニシアティブ・キュー(Initiative Queue)と呼ばれる順番待ちの行列に並べられます。イニシアティブの値が同じ場合はダイスを振り直して順番を決めます。戦闘はイニシアティブ・キューの順番に進行し、最後まで行ったら同じ順番で最初から繰り返します。
アクション(Action)
各キャラクターは毎ターン、移動アクションを1回、その他のアクションを1回実行できます。一般的なアクションには次のようなものがあります。
移動アクション(Move Action)
1ターンにMOVE×2メートルの距離を移動します。
走る(Run)
追加の移動アクションを実行します。移動アクションが使えない状況では走れません。
攻撃する(Attack)
近接武器あるいは射撃武器により攻撃します。
つかむ・ひったくる(Grab)
相手を捕まえたり、所持品を奪います。あるいは、取っ組み合いの状態から抜け出します。
投げる(Throw)
つかんでいる人間や持っている物を投げます。
起き上がる(Get Up)
床にうつ伏せになっている状態から起き上がります。
容態を安定させる(Stabilize)
対象を治療し容態を安定させます。
乗り物に乗る(Get into a Vehicle)
鍵を持っているか、鍵のかかっていない乗り物に乗り込みます。
NETアクションを使用する(Use NET Actions)
プログラムの起動など、様々なNETアクションを実行します。ネットランナーだけが使用できます。
スキルを使用する(Use a Skill)
3秒以内で実行可能なスキルを使用します。3秒以上かかるスキルを使用する場合は、完了するまで毎ターンアクションを消費し続けます。成功判定は完了時に1回しか行なえません。
物を使用する(Use an Object)
物を使用したり拾い上げたりします。他のアクションに含まれない行動で、スキルを必要とせずに3秒以内で実行できる行動でなければなりません。例えば、ドアを開けたり、武器を持ち替えたり、スイッチを押すといった行動です。
アクションを保留する(Hold Action)
イニシアティブ・キューが指定した順番になるか、特定の状況が発生するまでアクションの実行を保留します。指定した時が来たら、アクションを実行するか放棄するかを決定しなければなりません。複数のラウンドをまたいで保留することはできず、途中で実行条件を変えることもできません。移動アクションとNETアクションは保留できません。
スキルチェック(Skill Check)
スキルが必要な行動をする時は、行動が成功したか失敗したかを決める判定を行います。これをスキルチェック(Skill Check)と呼びます。明らかに簡単な行動にスキルチェックは必要ありません。判定が必要かどうかはGMが判断します。
スキルにはそれぞれ関連する能力値が定められており、スキルチェックでは能力値とスキルのレベルを足したものを判定の基本値とします。スキルチェックの手順は、対象が人間や生物の場合と、なんらかの状況の場合で異なります。
対象が人間や生物の場合
対象が人間や生物の場合は、お互いの基本値(関連する能力値+スキルのレベル)に1d10を加えた値を比較します。自分が相手の値を上回れば成功、同じか下回れば失敗です。同じ値の場合は常に相手が勝つ(スキルチェックに失敗する)ことに注意してください。この時、上回るべき目標値(相手の最終結果)のことを難易度(Difficulty Value、DV)と呼びます。
vs
相手の能力値 + スキル + 1d10 = 難易度(DV)
対象が困難な状況の場合
対象が人間ではなく、なんらかの困難な状況(鍵をこじ開ける、車を運転するなど)の場合は、GMがスキルチェックの難易度を決定します。指標となる表が用意されているので、GMはそれを基準に難易度を選びます。この場合も、自分が対象の難易度を上回れば成功、同じか下回れば失敗です。このときGMはダイスを振りません。
vs
対象の難易度(DV)
大成功(Critical Success)・大失敗(Critical Failure)
スキルチェックで振ったダイスの目が10だった場合は大成功とみなされ、もう一度ダイスを振り、その値を結果に加えます。二度目のダイスの目が10でも大成功とはなりません。
スキルチェックで振ったダイスの目が1だった場合は大失敗とみなされ、もう一度ダイスを振り、その値を結果から引きます。二度目のダイスの目が1でも大失敗とはなりません。
補正値(Modifier)
通常より困難な状況でスキルを使用する場合、プレイヤーはダイスの目からGMの決めた補正値を引かなければなりません。この補正値も指標となる表が提供されています。補正値は累積することがあります。
判定のやり直し
スキルチェックに失敗した場合、なんらかの理由で成功の可能性が上がらない限り、判定をやり直すことはできません。
補完スキル(Complementary Skill)
あるスキルが別のスキルの使用に直接影響するとGMが認めた場合、最初のスキルによる成功判定から、関連するスキルの判定値に+1のボーナスを得られます。このボーナスは重複しません。
時間の余裕
GMがスキルの実行に必要と決めた時間の4倍の時間をかけることで、判定値に+1のボーナスを得られます。
スキルがない場合
使いたいスキルを持っていなくてもスキルチェックは行なえます。その場合はスキルのレベルを足すことなく、単純に“関連する能力値+1d10”の値だけで判定を行います。
運の活用
キャラクターは能力値のLUCKと同じだけ運の蓄えを持っています。ダイスを振る前にこの蓄えを消費することで、消費した値の分だけダイスの結果を増減できます。ただし、消費した蓄えは次回のセッション開始時まで回復しません。
ここまでスキルチェックの基本ルールをご紹介してきました。この判定方法は戦闘などあらゆる場面に応用されます。具体的なスキルの例や関連する能力値については特集の第一弾をご覧ください。