今回のゲーム系プラモデルレビューは、2020年11月にスクウェア・エニックスから発売されたプラスチックモデル組立キットシリーズ「ストラクチャーアーツ」第1弾の「ゼニス」をピックアップします。
第1弾はドラマティックシミュレーションRPG『フロントミッション』シリーズから、「ゼニス」「ギザ」「ドレーグ」「ナムスカル」のヴァンツァー4体が立体化。スクエニ初のプラモデル展開ということもあり、ディテールや組み立ての容易さ、そして塗装を含めてその内部に迫ります。
しかしながら筆者は『フロントミッション』シリーズへ馴染みが薄いため、武器の組み合わせや細かな部分塗装が抜けていることをご了承下さい。なお、本記事も入れて5編に渡って本シリーズのプラモデルレビューを予定していますので、今後公開予定の他の記事もお読みいただければ幸いです。
- 「ゼニス」編(本記事)
- 「ギザ」編
- 「ドレーグ」編
- 「ナムスカル」編
- 全体の比較記事(写真中心)
弾薬箱をイメージしたパッケージ―梱包は丁寧で隙が無い
「ストラクチャーアーツ」第1弾のパッケージ外枠を見ていきましょう。弾薬箱をイメージした外見には、同梱されている4体のヴァンツァーそれぞれが描かれており、蓋を開けるとそれぞれのパッケージが並びます。
パッケージ自体の大きさは同じスケールのプラモデルと比べると少し大きい程度で、梱包自体はかなり丁寧です。中身を取り出して見ると、ランナーが隙間無くビニールに梱包され、パッケージ内で暴れないように工夫されています。
「ゼニス」を構成するランナーは関節を含め8枚。組み立て説明書はモノクロで、機体説明や塗装図は無く、パーツの組み立て順が裏面にまで描かれています。ランナー自体を取り出し触れてみると、微妙に離型剤が残っているようなぬめりがありました。
そのため、塗装も考慮しランナーを中性洗剤で洗浄。ある程度離型剤が落ちたことを確認したら素組みに入ります。
小さな1/72スケールでも繊細なディテールが演出する高い精密感
組み立て自体は簡潔です。本キットで使用されている関節やハードポイントは、「FRONT MISSION Joint」として共通化されています。また組説の組み立て順は、左右腕→左右脚→本体→腰→背負い物→武器です。
各パーツのディテールは非常に細かく、モールドも全身に組まなく張り巡らされ、光に照らされた陰陽だけでも見て楽しめます。
本キットはスナップフィットなため接着剤が必要ありませんが、上腕や大腿部パーツの合いが悪く、隙間が生じパーツを取り付けられなくなってしまうことがありました。そのため、大腿部パーツの可動部における円形部位を一部切り取り、無理なく装着できるように一部加工しました。
一部パーツのはめ込みがタイトなことと、スモークディスチャージャーパーツなどが極小であること以外は、全身のディテールが細かく可動範囲の広さも含め(特に腕と膝関節が二重関節になっている)、スクエニ初めてのプラキットとしては非常に質が高く隙の無いキットです。
組み立てたキットの全身を見てみましょう。手のひらサイズで全高10cmにも満たないほどの小ささですが、前述の通り裏面にまでディテールがあるために、どこを見ても没入感が阻害されることはありません。
簡単な立ちポーズやヒロイックなポーズをさせても様になる全身のバランスも良好で、全高10cmという小ささを気にさせないような凹凸のあるディテールは見る物を満足させます。
ディテール自体はとても良いキットでしたが、塗装はどうでしょうか?次ページでは「ゼニス」をエアブラシで塗装してみました。