2Dスタイリッシュアクションアドベンチャー『Olija』数奇な運命の男女、伝説の「銛」の織りなす物語【爆速プレイレポ】

最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない！」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。

今回は2021年1月29日にSkeleton Crew StudioとDevolver DigitalよりPC（Steam/GOG.com/Epic Games ストア）/PS4/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けにリリースされた『Olija』について生の内容をお届けしたいと思います。

『Olija』とは

繊細な2Dピクセルアートで描かれたアートワークが特徴的なアクションアドベンチャー。プレイヤー伝説の銛を手に入れた領主「ファラデー」となり、謎に包まれた姫「オリヤ」との出会いや故郷に戻るための物語が描かれます。物語の舞台は、さまざまな伝説や東洋風の風習が残る世界など、奇妙な島ばかりです。

伝説の銛を使い、刺した場所へ瞬間移動するといったスタイリッシュなアクション要素もあるほか、ステージ内で集めた素材やお金でクラフトできる不思議な帽子の力により、ファラデーは特殊な能力を身につけていきます。宝探しや拠点のアップグレード要素もあり、やり込み要素も十分。

探索アクションとしても細かく作り込まれているレベルデザインは非常に秀逸。戦闘や移動、謎解きなどの要素も伝説の銛が上手に攻略に盛り込まれており、ゲームの個性と楽しさを両立させています。

『Olija』の実内容に迫る！

主人公のファラデーは、貧しい南国の漁村を治める若き領主です。不漁や戦争で貧困にあえぐ領地を救うため、大物狩りで一攫千金を目指すため配下とともに出港。しかし航海中の事故により船は大破、ファラデーは1人見知らぬ島「テラファージ」へと漂着します。

テラファージは奇妙な風習や文化が残り「朽木族」と呼ばれる部族が支配している場所。島の中では、故郷に戻れない人々が絶望感による無気力な生活を送っています。ファラデーは出会った船乗りの老人に「影の門」と呼ばれる外の世界へと通じる場所へと案内されたものの、門は封印されていました。

ファラデーの目的は配下たちを見つけ出し、門の封印を解くための3つの「青い鍵」を探し出すこと。彼の冒険はいずれ無気力の人々の希望になっていくのです。呪われた「伝説の銛」の発見、謎の姫「オリヤ」との出会いなど、ファラデーの数奇な運命の物語がここから始まります。

刺した先まで瞬間移動！「銛アクション」が楽しすぎる

本作のジャンルは探索アクション。ワールドマップで行き先を指定し、ステージ内でダンジョン探索やボスと戦うオーソドックスなスタイルです。ステージ内ではゲームの目的となる「青い鍵」のほか、新たなエリアが探索可能になる「地図」などを見つけることもあります。

ファラデーは、通常攻撃の他に「伝説の銛」を使用したさまざまなアクションを駆使してステージを攻略していきます。銛は通常の武器として敵を攻撃するほか、投げて突き刺さった敵やオブジェクトに瞬間移動したり、刺さった銛を足場にして高い場所までジャンプしたりすることも可能です。

そのほか、道中手に入る「剣」や「クロスボウ」なども戦闘・ダンジョン探索で活躍します。剣は吊るされたオブジェクトの紐を切る際にも使いますし、銛は投げて突き刺すのには便利ですが、特に近接戦闘では剣の方が活躍するでしょう。ちなみにクロスボウなどの遠隔武器は弾数式なので残数管理には注意が必要です。一応コンボのような要素もありますが、ボス戦以外の戦闘難度はそこまで高くないためさほど重要ではありません。

本作のストーリーにも関わる「伝説の銛」の瞬間移動能力は本作のキーともいえる大事な要素です。大穴が空いている対岸の敵に突き刺して新たな道を見つける、天井の穴に投げて隠しアイテムを探すなど、攻略からやりこみまでさまざまな場面でお世話になることでしょう。何より重要なのは、瞬間移動のエフェクトが最高にかっこいいことですね。

本作には、探索アクションにありがちな「この場所に行けるアイテムがいずれ手に入るんだろうなあ」という要素がほぼありません。便利な銛が比較的早い段階で手に入るため、あとはプレイヤーの発見と発想で、今行けるマップならば隅々まで遊び尽くせるのです。

拠点アップグレード要素も充実！人々に希望を取り戻せ

ファラデーが冒険の拠点にしている「オークタイド」と呼ばれる集落には、体力上限を引き上げる「錬金術師」、代わりに素材を集めてくれる「冒険者」など、ファラデーの冒険をサポートしてくれる心強い仲間が暮らしています。

また、体力を回復するキャンプなどの施設も用意されています。正直なところ、回復には困らない作品のためあまり意味はないのですが、必死に食べるものを集めてくれた仲間に感謝していただきましょう。こういったフレーバーもゲームに大切な要素ですよね。

そのほか、本作で重要な施設に「帽子屋」があります。最初のダンジョンで出会う奇妙な男が経営している場所で、ゲーム内で集めた素材を利用してさまざまな効果を持つ「帽子」をアンロック可能です。

帽子には「ダッシュ軌道で追尾する羽根」などの攻撃アイテムのほか、地形効果無効や「与えたダメージ分回復する」といった補助効果を備えたものも多数登場します。常時発動効果のほか、戦闘中にゲージが溜まると発動する特殊能力もありますが、一部帽子の制作にはレア素材が必要となるため、マップのくまなく探索し、新たな帽子を入手していきましょう。

最初は絶望感に打ちひしがれていた人々ですが、彼らがファラデーに感化され、少しずつ活気を取り戻していきます。その様子も丁寧に描写されており、アクションや探索だけでない本作の魅力です。

不思議な島に流れ着いた主人公・ファラデーと謎めいたヒロイン「オリヤ」、そして「伝説の銛」という要素が織りなす物語は、王道でありながらどこか不思議な雰囲気に満ちています。本作の独特なアートワーク、さまざまな民族音楽のエッセンスを盛り込んだBGMも雰囲気を盛り上げるのに貢献しています。

本作で何より特筆すべきは、やはりその銛を活かした攻撃と移動のアクション要素です。ステージ内のギミックや敵の配置なども、プレイヤー側がスタイリッシュに気持ちいいアクションを決めやすいような絶妙な塩梅で設定されています。また、細部のドット絵や演出なども作り込まれているため、すべてのマップをじっくり見て回るだけでも楽しく感じられることでしょう。

物語性とアクション要素が非常に秀逸な本作。ストーリー自体はそこまで長くありませんが、ファラデーいう男の数奇な運命の物語を十分楽しめる満足感のある作品です。日本語翻訳も非常に高いレベルで仕上がっているため、独特の良質な物語を楽しみたい人も安心してプレイできることでしょう。