アメリカ・カリフォルニア州の倒木の下から『侍魂~サムライスピリッツ~』のプロトタイプが発見されました。
同作は1997年にハイパーネオジオ64用ソフトとして開発された『SAMURAI SPIRITS』シリーズ初の3D格闘ゲーム。今回発見されたのはそのプロトタイプで、ピンボールマシン修理専門業者Craig Weiss氏がマシンの修理依頼を受け、家を訪ねた際に見つけたといいます。
Weiss氏が依頼主の家で、90年代後半に倒産したピンボール・アーケードマシンの業者から買い取ったという筐体から修理できるものを探していたところ、家の畑の倒木の下にある、ブルーシートに覆われた6つのパレットを発見。このパレットは依頼主の夫が中国の元SNK社員からオークションで落札したもので、米SNKがオフィスを閉鎖した後に持ち帰った倉庫の資料が含まれていました。パレットは業者に引き取ってもらう予定だったらしく、ギリギリのところで発見できたと話しています。
ブルーシートで覆われているものの、約20年間雨ざらしにされていたためパレットの中身はほとんどダメになっていました。ですが、その中で見たことのない黒い金属のケースに覆われたハイパーネオジオ64用ソフトを発見します。このカートリッジはパレットの中心に置かれていたので、奇跡的に保存状態が良好だったようです。
その後、Weiss氏はこのソフトを理解できる人に見てもらうべきだと考え、シカゴ在住のゲームコレクターであるAnthony Bacon氏に連絡しました。彼は過去に発売中止になった3DO M2版『Dの食卓2』のプレイファイルの発掘などで、海外メディアに取り上げられたこともある人物です。
発見されたものは通常のソフトと比べて2倍ほど分厚く、黒い金属のケースを開けると、基盤に30種類のROMがはめ込まれていたとのこと。Bacon氏がこれをメンテナンスし、ハイパーネオジオ64の基盤で起動したところ、かつて千葉県の幕張メッセで開催されていたAOUアミューズメント・エキスポに向けた『侍魂~サムライスピリッツ~』プロトタイプ版であることが判明しました。
このプロトタイプは演出やUIが製品版と違っていたりしますが、カメラのアングルがキャラクターに近い場所にあるのが特徴です。また、未完成なためボスが出現しなかったり、8ステージ目以降はゲームオーバーとなってしまいプレイできません。
今回見つかったプロトタイプは誰も見たことがなく、さらに誰もその存在を知らなかったという希少品。それが20年間雨ざらしの状態で保管されていたのにもかかわらず起動できたわけですから、今回の発見はまさに奇跡的としか表しようがないものと言えるでしょう。