気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Fishing Cactus開発、PC/Stadia向けに3月31日に正式リリースされたタイピングRPG『Nanotale - Typing Chronicles』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、すべてがキーボード操作で進行するタイピングアドベンチャーRPG。プレイヤーは色鮮やかな世界で知識を集める記録官ロザリンドとして、世界を探索し平和を脅かすものの裏にある秘密を解き明かしていきます。道中ではパズルや会話、魔法による戦闘などがありますが、これらはキーボード操作によって行うことになります。またタイピングによる魔法は使い方や組み合わせを工夫することも重要になっています。
日本語にも対応済み。アルファベットではない文字に対応させるため、開発者たちは実際に日本語の勉強をしたとのこと。インタビューへの回答の一部も、日本語でいただきました。
『Nanotale - Typing Chronicles』は、2,050円/19.99ドルで配信中(Steam/GOG.com)。
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――まずは自己紹介をお願いします。
Fishing Cactusこんにちは。いくつかのプロジェクトを同時進行で進めているインディースタジオ、Fishing Cactusです。メンバーは20人いますが、本作の開発に携わったのはその半分以下になります。
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Fishing Cactus2016年、私たちにとって初めてのタイピングゲームである『Epistory - Typing Chronicles』をリリースしました。その後、別のタイピングゲームをリリースする予定はなかったのですが、多くのプレイヤーたちから新しいタイピングゲームを作って欲しいというメッセージをいただいたのです。私たちは実際に検討することとし、コミュニティにはどんなタイピングゲームが良いか聞いてみました。アンケートの結果を見ると、『Epistory』と同じメインシステムを使いつつも、ストーリー、世界観、そしてゲームプレイ面ではまったく異なるものを多くの人が望んでいると知り、とてもインスパイアされたのです。
2018年1月、私たちは本作に関する初めての打ち合わせを行い、どうすれば前作と比較されない、特別なゲームを作ることができるのか話し合いました。実際の開発はそれから6ヶ月後に始まり、それからさらにおよそ3年の開発期間の末、ついに本作をSteam、Stadia、GOG.comでリリースすることができたのです。プレイヤーの皆さんからのフィードバックが待ち遠しいです。
――本作の特徴を教えてください。
Fishing Cactus『ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド』はたくさんの方が好きですよね。私たちは自分たちにとって初のタイピングゲームである『Epistory』をリリースすると、多くのプレイヤーの方たちがこのジャンルの復活にとても喜び、タイピングというシステムにはまだ可能性があるということに気づいてくれました。RPGスタイルのタイピングゲームというのは、2016年当時、まるでUFOのような存在でした。本作は前作と同じメインシステムを採用していますが、前作では実現したくても予算の関係上できなかったすべての要素が取り入れられています。本作ではコンセプトを進化させ、まったく新しいタイピング体験が可能となるのです。
本作で何より大切にしたのは、没入感です。プレイヤーにはタイプしてもらうことで、プレイヤーが行うアクションとの繋がりを感じて欲しいと思いました。プレイヤーが「水」とタイプすれば、床には水が広がり、その水は植物を育てます。「火」とタイプすれば、その植物を燃やしてしまうのです。このような様々な要素の繋がりを作るのは、とても楽しい作業でした。本作のストーリーもタイピングによるゲームプレイと関係しています。すべてが繋がっており、プレイヤーも大きな達成感を味わうことができるでしょう。
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――本作が影響を受けた作品はありますか?
Fishing Cactus本作のゲームデザイナーはまず、本作のプロトタイプを作る時、女の子をメインキャラクターにしました。これは彼が「風の谷のナウシカ」と「もののけ姫」が大好きだったからです。これらの作品を知っている上で本作をプレイすると、それらの影響を簡単に見つけることができるでしょう。ロザリンドが植物のサンプルを集めているのは、「風の谷のナウシカ」でも見ることができるシーンですね。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Fishing Cactus最初の頃はありました。突然自宅から作業をしなくてはいけなくなり、どのようにすれば効率が良いのか、解決するのに時間がかかってしまったのです。チームメンバーの数人は子供の世話もしなくてはならず、開発に集中するのが難しかったりもしました。しかし時が経つにつれ、新しい習慣にも慣れ、開発が終わる頃にはまるでスタジオで開発をしていた頃のようにスムーズに作業を行うことができていました。アフターコロナは新しい時代になりますので、プレイベートも仕事もそれに合わせていかなくてはなりませんね。
新型コロナで何より大変だったのは、すべてのイベントが中止になってしまったことです。ゲームショウに参加せずにゲームの売り上げを伸ばすのは難しいのです。私たちが最後に参加できたイベントは2020年のPAX Eastでした。その後はBitSummitに参加する予定だったのですが、キャンセルされてしまったのです。しかしBitSummitオンライン版の運営は素晴らしく、日本のプレイヤーの皆さんに本作を披露できたのはとても嬉しかったです。
BitSummitのため、プロジェクト・マネージャー兼コミュニケーション・マネージャーが日本語で短い動画も作りましたので、良ければご覧ください。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?
Fishing Cactusはい。配信も収益化も大丈夫です。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Fishing Cactus本インタビューをお読みいただき、ありがとうございました。私たちが本作の開発を楽しんだのと同じぐらい、皆さんにも本作をプレイし、楽しんでいただけると嬉しいです。
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に400を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。