気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Unknown Worlds Entertainment開発、PC/Mac/PS5/PS4/XSX/Xbox One/スイッチ向けに5月13日に正式リリースされた海洋サバイバル『Subnautica: Below Zero』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、前作『Subnautica(サブノーティカ)』の後の出来事を描いた海洋サバイバル。惑星4546Bを舞台に、プレイヤーは科学者ロビンとして、姉のサムの身に起こった出来事の真実を探ります。サバイバル装備を基に資源を集め、拠点や乗り物を作成しながら、凍える世界の陸上と海中を冒険。日本語にも対応済み。
『Subnautica: Below Zero』は、3,500円で配信中(Steam)。


――まずは自己紹介をお願いします。
David Kalina氏(以下David)こんにちは!David Kalinaです。ゲーム業界で20年以上の経験があり、ユービーアイソフト、Ion Storm(テキサス州・オースティン)、ミッドウェイゲームズでAIプログラマーをしてきました。また、Tiger Styleと言うインディースタジオの共同オーナーでもあります(『Waking Mars』と『Spider: Rite of the Shrouded Moon』と言うゲームを作りました)。そしてついに、私はUnknown Worldsでプロジェクトリーダーと言う、自分の居場所を見つけたのです。本作のリーダーとして、クリエイティブディレクション(開発の方向性)とプロダクションスコープ(開発範囲)の責任者を担いました。
好きなことはテニス、猫、カラオケです。
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
David本作の開発は、前作『Subnautica』のリリース直後に始まりました。会社は毎年恒例の社員旅行を実施したのですが、チームのほとんどが『Subnautica』の開発を続けたいと思っていたのです。極寒の環境やモジュール式シートラックなど、前作では入れることが出来なかったアイデアがたくさんありましたので、これらが本作の方向性を決めることとなりません。また、前作は多くのファンから賞賛の声をいただきましたので、私たちとしても、続編を作ることが正しいことのように感じたのです。
――本作の特徴を教えてください。
David本作は、ほぼ水中を舞台とした非暴力SFサバイバルアドベンチャーです。他のサバイバルゲームと違い、探索と(拠点や乗り物の)作成に焦点を当てており、プレイヤーが自ら切り開く「体験」に力を入れています。私たちからプレイヤーにミッションや目的のようなものを与えるのではなく、私たちが創り出した美しくも危険な世界を自由に探索していただきたいのです。また、本作はほぼ水中が舞台ですので、他のゲームとは大きく異なる体験をすることができるでしょう。冒険の舞台は、いつでもあなたの周りに広がっているのです。

――本作が影響を受けた作品はありますか?
David開発チームは多くのものから影響を受けていますが、もっとも大きな影響を受けたものは、地球上のあまり人が立ち入らないような「場所」でしょう。地球上にはとても変わった場所や奇妙な生き物がたくさんおり、まるで他の惑星なんじゃないかと思うほどです。こういった場所の光景や生き物を参考に、本作を作りました。
また、映画、テレビドラマ、建造物、時には他のゲームからも私たちは影響を受けています。つい最近、前作について「ジェームズ・キャメロン監督の映画「アビス」と「ファインディング・ニモ」を掛け合わせたようだね」と言われました。ゲームに登場するエイリアンの建造物は、やわらかで有機的な世界と対比させるようにデザインされています。アートチームは、東欧のブルータリズムからインスピレーションを受けました。本作の開発において、地上の気候やゲームプレイをデザインする際、開発チームは「ザ・テラー」と言うドラマを参考にしています。
ここで挙げたものは私たちが影響を受けたもののほんの一部であり、私たちは良いアイデアを出すため、常に他のクリエイティブな作品に目を向けるようにしています。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Davidあったとも言えますし、なかったとも言えます。私たちの会社の従業員の90%以上が世界中に散らばっており、本作の開発者たちも8つのタイムゾーンにまたがっています。アメリカから西ヨーロッパ、ロシアからオーストラリアまでです。そのため、新型コロナの感染が広がり始めたからと言って、何か大きな調整をしなくてはいけないと言うことはありませんでした。とは言え、もちろん新型コロナは各個人に影響を与えていますし、実際に顔を合わせることもできなくなってしまいました。つらいことではありますが、それでも多くの意味で私たちはとても幸運だったと思います。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?
Davidはい、配信者の方に私たちの作ったゲームを遊んでいただくのは嬉しいことですし、どのような形であれ、収益化していただいて問題ありません。配信していただくことで私たちのビジネスにも良い影響がありますし、私たちのゲームに対する視聴者の反応を見るのも大好きです。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Davidもしあなたが、エイリアン、サバイバルゲーム、もしくはデカイ魚が大好きならば、ぜひ本作を遊んでみていただけると嬉しいです!ありがとうございました!
――ありがとうございました。


本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に400を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。