突然ですが、PSP向けステルスアクション『天誅 忍大全』を取り上げようと思います。
……なぜ今更PSPのゲームなのかというと、筆者がGame*Spark編集部に「7月2日にPSPの購入機能が終了するらしい。その前に、読者からオススメされたPSPのダウンロードゲームを実際にプレイしてその魅力を紹介する企画をやろうぜ!」と提案したからなんです。
で、その企画は通って、Game*Spark公式ディスコードサーバーに参加する読者からPSPの名作ゲームをいっぱい教えてもらったのですが、読者から「PSPのゲーム、実は7月2日以降も買えるらしいぞ」といわれてSIEに問い合わせたところ……それは事実でした。
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ダメじゃん……。
ただ、読者からオススメされた名作ゲームをプレイする企画は前々からやりたかったし、いつかはPS StoreでPSPソフトが配信されなくなる日は来ると思うので、思い切って企画は続行することにしました。
あと、もう経費でゲーム買っちゃったしね……。
右スティック操作がない3Dゲーの面白さを再確認
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ゲームを起動するとバーンと出てくるのが、日本が誇るゲームメーカーであるフロム・ソフトウェアのロゴ。まぁ本作は、前作『天誅 参』から引き続き、ケーツーとプロソフトといったメーカーが開発を担当しているものの、近年のフロム・ソフトウェアの人気作をプレイしてきた筆者からすると、この社名が出るだけでワクワクしますね。
実は、筆者は『忍道 戒』などのステルスニンジャアクションはプレイ経験があるのですが、『天誅』シリーズには全く触れたことがありません。本作を激推ししてくれた読者は「『天誅 参』からこれまでのシリーズとは毛色が変わってしまって、それはそれで面白かったけど、PSPから発売された『天誅 忍大全』は正統派に戻ってきてくれて嬉しかった」と語ってくれました。
それを聞いた筆者は「まぁでもストーリーが違うだけでゲームそのものは『忍道 戒』みたいなもんでしょ?余裕っすわ!」と内心ナメた感じでした。しかし……プレイしてすぐに『忍道 戒』とはまったく違うゲームであることを痛感させられるのです。
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そういえば、最近のゲームでは少なくなりましたが、メニュー画面を放置していると流れるオープニングムービーは一見の価値がありましたね。本作が発売された2005年といったら筆者はまだ高校生。リアルとは言えないビジュアルですが、今見ると味わいがありますね~。
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主人公には、力丸以外にも彩女や凛、藤岡鉄舟などの個性豊かなキャラクターが用意されており、それぞれオリジナルのストーリーが展開されます。「???」があるところから何かしらの条件を達成することで新たな主人公が開放されるみたいですね。
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ステージに向かう前に、どの忍具(アイテム)を持っていくか準備することになります。
ステージを進めれば、回復アイテムだけではなく、敵の姿に変化したり、遠距離から暗殺できたりと便利な忍具が増えていきます。なお、任務の評価によって入手できる忍具が増えるので、クリア済みのステージを周回することも大切みたいですね。
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それではゲーム開始……って、あれ?右スティックが動かないだと……あっ!
そう、PSPには右スティックがないことに気づくまで大体40秒かかりました。そういえば昔の3Dゲームって移動する方向に応じてカメラが動いたな……。
ただ、筆者は右スティックのカメラ移動に慣れて十数年になるわけで……頭で理解しても筆者の指はなかなか右スティックが存在しないことを理解してくれませんでした。
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操作になれない状態でプレイヤーキャラクターを動かしていると、すぐに町人に見つかって不審者扱いされたので、パニックになって斬殺してしまいました。
後から知ったのですが、町人を殺すのはマズいらしいです。
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主人公達が活躍するステージは暗闇に包まれており、4~5メートル先がどうなっているのかわかりません。このままではすぐに敵と鉢合わせになるでしょう。そこで画面左下のレーダーのようなマークの「気配」を参考に敵の位置を探し当てていくのです。
気配が強くなればなるほど敵との距離は近いのですが、逆に敵に見つかる可能性も高くなります。なので、ゆっくりゆっくりと敵がいるであろう方角にすり足で進んで、時折主観画面で周囲を観察しながら敵の正確な位置を探ります。探し当てた後は、敵の行動パターンを観察し、絶好のタイミングで背後や頭上から殺るわけです。
なるほど、仮にこのゲームに右スティック操作があったら難易度下がっちゃうかもな……。
この敵を暗殺するまでの過程が『忍道 戒』とは全くの別物。その別物感をガンダムゲーで例えるとするならば、『忍道 戒』がスピーディーな戦闘が楽しめる『機動戦士ガンダム戦記』なら、『天誅 忍大全』は戦略的に作戦を遂行していく『ジオニックフロント』といったところでしょうか。いや、違うかも……別ゲーで例えるの難しいな。
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いずれにしても本作には対象の敵を暗殺するまでの過程に泥臭さがありました。そこにスタイリッシュなアクションは控えめです。
それこそが本作ならではの面白さであり、『忍道戒』とは別の魅力がありました。どちらも素晴らしいゲームってことです。
説明書が読みごたえあって嬉しい
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ちなみに本作は、ゲームシステムを解説するチュートリアルモードが搭載されていますが、それとは別に電子版の説明書もしっかりと用意されています。
この時代の説明書ってキャラクターのプロフィールが詳しく書かれていたり、わかりやすくシステムが解説されていたりと読み応えがありましたね。本作の説明書もそういった部類といえます。
虎の巻目当てに本作を購入する人もいたらしい
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そして、読者が特に評価していたのが、自分だけのステージや任務を制作できるゲームモード「虎の巻」。このモードのために本作を購入する人もいたようで、発売当時は、ユーザー同士による自作ステージの交換が活発に行われていたのだとか。
ちょっとググってみると、有志が制作したと思われる本ゲームモードのデータを共有するアップローダーが残っていました。すでに投稿はできないようですが、任務のダウンロードはできるようです(とはいえ、大分時間も経っているので利用する際はウィルスチェック等自己防衛は忘れずに)。
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虎の巻では、ステージに意外なキャラクターが設置できるので、本編では考えられないようなストーリーを展開にしても面白いでしょうね。
他のプレイヤーと自作ステージを共有するのは難しくなりましたが、自分だけの任務を制作できる面白さは色褪せていないように感じました。本編をクリアしてもこれをひたすらプレイできそうです。
最新ゲームに慣れたゲーマーは新鮮な気持ちになるかも
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PSP向けに発売された『天誅』シリーズは本作以外にもあるのですが、PS Storeでダウンロード版として配信されているのは本作だけです。まぁ、冒頭で説明した通り、PS Storeで配信されているPSPソフトは、一部除いて7月2日以降も購入できるので、だから何だって話なんですけど……。ただ、PSPのパッケージソフトは、店頭に置いていない場合がほとんどなので、『天誅』シリーズの名作を今すぐ手に入れたいなら、本作のダウンロード版を購入するのもアリなのではないでしょうか。購入価格は1,572円(税込)でした。
最新のゲームに慣れたゲーマーだと、右スティック操作がないのは不自由に感じるかもしれませんが、その不自由さの中で敵を暗殺する確実な方法を見つけ出すのは、手探り感があって逆に新鮮でした。
2005年に発売された本作を初めてプレイすると、懐かしさとともに新鮮な気持ちが湧いてきて変な気分でした。最新のゲームと比べたら親切な設計ではないですし、ストレスに感じる部分もあるのですが、ついついのめり込んでしまう魅力があります。
ただ、まぁ……この記事が好評だとしても「読者の激推しゲーをプレイする」方向はそのままに、ちょっと形を変えて企画を再始動したほうがいいんでしょうね……。
いずれにしても読者の反応や閲覧数などを見て今後について考えようと思うので、コメント欄での感想を待ってます!