気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Foxy Voxel開発、PC向けに6月8日に正式リリース予定(コンソール版は2021年Q4にリリース予定)のフランス産JRPG『Edge Of Eternity』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、フランスの開発スタジオによるJRPG。プレイヤーは謎の侵略者との戦乱続く世界の兵士ダリオンとなり、世界を蝕む敵の兵器「腐蝕病」に対抗するための術を探す冒険に旅立ちます。オープンワールドRPGとして展開し、戦闘はターン制。装備にクリスタルを埋め込んでパワーアップさせる要素の他、各クエストを様々な方法でクリアすることができるのも特徴。メインテーマやキャラクターテーマなど、音楽の一部は『クロノ・トリガー』や『ゼノブレイド』の光田康典氏が担当しています。日本語にも対応済み。
『Edge Of Eternity』は、3,090円で早期アクセス配信中(本日中に早期アクセスが終了予定)。
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――まずは自己紹介をお願いします。
Guillaume Veer氏(以下Guillaume)本作のプロデューサー兼ナラティブ・デザイナーのGuillaume Veerです。インタビューの機会をいただき、ありがとうございます!
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Guillaumeおよそ7年前に始まりました!最初は「私たちが子供の頃、壮大な冒険の夢を見せてくれたゲームのようなものを、自分たちでも作ってみたらどうだろうか?」という自分たちへの問いかけから始まったのです。私たちは考えることにそれほど時間はかけず、すぐにKickstarter向けの初期バージョンを作り始め、以来ノンストップで開発を続けてきました。あれから7年が経ち、今私たちはここにいるのです。
――本作の特徴を教えてください。
Guillaume本作は古いものと新しいもののミックスです。私たちはATB(アクティブタイムバトル)が大好きですので、新しく新鮮な要素を取り入れながらも、ATBを中心とした戦闘システムを構築することとしました。それから六角形のグリッド、戦況を変えるインタラクティブな環境、そしてボーナスが手に入る戦闘中のミッションなどを徐々に追加していったのです。
本作のプロットにも同じことが言えます。本作では他の多くの壮大なRPGと同様、「お決まり」が登場します。英雄的なシーン、巨大な剣を持った主人公、世界を脅かす脅威…しかし、これらのどれもにある種のひねりが加えられています。例えば、主人公はとてもありがちな勇者に見えますが…ゲームの始まりにおいて、彼はすべての仲間を失ってしまいます。そんな勇者が、どのようにして、もう一度勇者になり得るのか?私たちはあらゆる要素に小さなひねりを加えることで、新鮮な体験ができるようにしているのです。
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――本作が影響を受けた作品はありますか?
Guillaume本作は数多くのJRPGから多大な影響を受け、たくさん学ばせていただきました。90年代と2000年代、ヨーロッパではコストの関係もあり、JRPGはほとんどローカライズされていませんでした。そのため、ヨーロッパで新しいJRPGがリリースされるとなると、それ自体が一大イベントであり、実際に遊んだ時には、もう信じられないぐらい心に残る体験となったのです。
本作に登場する環境や景色は『ゼノブレイド』から多大な影響を受けていますが、ゲームプレイやプロットは『ファイナルファンタジー』シリーズや『ブレス オブ ファイア』シリーズ、『グランディア』シリーズ、そして『シャドウハーツ』から影響を受けています(私たちはこれらのゲームが大好きです)。
とは言え、本作はもちろんオリジナルの作品です。しかしJRPGというジャンルのちゃんとしたゲームを作るためには、同ジャンルの名作からヒントを得る必要があったのです。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Guillaumeはい、様々な面でありました。私たちは小さなスタジオですので、一緒に話をしながら作業をするのが好きです。お互いのフィードバックにより、開発も非常にスムーズに進みました。そんな中、チーム内のコミュニケーションが突然断たれてしまったのはきつかったですし、せっかくのシナジー効果も薄れてしまいました。今ではまた、一緒に作業ができるようになり嬉しいです!
――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?
Guillaumeもちろんです!是非やっていただけると嬉しいです!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Guillaume開発チームは全員、JRPGをプレイして育ちました。JRPGは私たちにとって心に寄り添う、とても大切なジャンルなのです。もちろん、私たちが「本物のJRPG」を作れるとは思っていませんし、そのようなフリをする気もありません。おそらく、私たちの作品はFRPGと呼ばれるべきなのでしょう!
しかし、FRPGでは意味がないのです。私たちにできる唯一のことは、JRPGの素晴らしい「公式」を使いつつ、私たちフランスの感性を注ぎ込むということだけなのです。そして、私たちにできる最高のゲームをお届けし、それを日本のプレイヤーの皆さんに気に入っていただけるように祈っています。これだけでも、かなり大きな野望かもしれないですね!
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に400を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。