本記事は前記事である「【調査中】サマーセール前の大惨事……決済トラブルでSteamアカウントがロック!問題は広く発生か」の続きとなります。何が起きていたのか、どういうトラブルだったのかというのは前記事をご参照いただけますと幸いです。
朝早くから問題は動き出す
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解決の糸口が見えず沈んだ気持ちのまま6月12日朝の5時、『天穂のサクナヒメ』(リアル)をプレイするため家を出ました(人はそれを「田植え」というのですが)。ある程度植え終わり、休憩するため9時頃にiPhoneを見るとSteamアプリに通知バッジがついており、Steamサポートから返事が届いていました。
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要約すると「決済は誤りだったから解除しておいたから確認してくれな!ゲームとか戻ってなかったら迅速に対応するからサポートに連絡してな!」とのこと。田んぼの中で確認ができないので、残りを終わらせ家に帰ることに。
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17時現在の今、ようやく状態を確認するとチャージバック対象だったゲームもプレイ可能に戻っており、ゲームも無事購入することが可能になっていました。ただし、支払い方法がリセットされていたため(筆者だけの問題かもしれません)、以降は今回のこともあり「クレジットカード(国内利用)」を使うことに決めました。
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さて「購入が確認できたから無事終わりです!」という記事であれば正直ブログにでも書いておけばいい話になってしまうので、今回は何故このトラブルに巻き込まれたのかをもう少し細かく追っていくことにしましょう。
6月8日のCDNの障害が全てのキーだった
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先日の6月8日にCDN提供大手のFastly社でソフトウェアのバグに起因する障害が発生し、Fastly社のCDNを使用しているサイトが見えづらい、もしくは接続できない状態になっていました。サーバー設計やWebに詳しい方ならここで「あぁ、なるほど。」となるかと思いますが、分からない人の方が多いと思いますので図解などを交えて説明したいと思います。
簡単にざっくり説明を行うと、Webにアクセスする際はデータが置いてあるサーバーにアクセスし、データを読み込むことで表示やデータの取得をしています。この際、全員が同じサーバーにアクセスするとサーバーの処理が追いつかなくなり、俗に言う「鯖落ち」が発生してしまいます。
そこで、一般的に企業はサーバー負荷を回避するために、データを置いてあるサーバーを別にし、地域毎にアクセスを分散させることでユーザーは気づかない間に快適なサーバーに接続してページを表示しています。これをCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)といい、ゲムスパを始めAmazonなど、ありとあらゆるWebサービスで用いられています。このCDNを提供しているFastly社と契約しているWebサービスが先日の障害でことごとく接続できなくなり、日本ではメルカリやnote、楽天などが正しく表示できない障害が発生していました。
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Steamだけでなく、ショッピングサイトも含めて支払いの情報はまとめて確認されます(一件一件確認すると手間がかかるため)。そこで今回の問題です。Steamのシステムはおそらく問題の6月8日、いつもどおりに与信情報の確認を行ったのでしょう。しかし、そのタイミングはこのCDN障害の真っ最中。Fastly社のCDNを使用しているカード会社の与信情報が取得できなくなっているワケです(筆者は某ショッピングサイトのカードを使用しているのですが、Fastly社のCDNを使用していたのでまさしく今回の件にドンピシャでした)。
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Valveから公式の見解などは出ていないのでこの推測が正解とは言い切れませんが、与信情報が取得できなかったことが、今回の問題につながったと考えるのが自然でしょう。今回はたまたま特定のクレジットカードなどを主にトラブルが発生したわけですが、問題の原因だろう部分を考えれば、代行決済業者(Paypal)などでも起きうる可能性もあったわけです(この取引が~という文面が与信照会のこと)。
今後の対策など
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正直なことをいえば、今回の障害は交通事故に遭う位の確率のトラブル。「Valveが悪い」というよりは「該当のCDNを使っていたカード会社とユーザーの運が悪かった」といった方が正しいかもしれません。もちろん、解決したとはいえ不安は残るので、カード会社にも確認を取ったところ「決済情報の変化は確認できていない」とのことだったので円満解決といっていいでしょう。
むしろ、確認できなかった決済情報を一件ずつ手動で確認しただろうValveのスタッフの方が修羅場だったのではないかと思います……。この辺りは大変でも、しっかり比較的早期に対応がなされるのがSteamが世界一のPCゲームプラットフォームたるゆえんでしょうか。欲を言えば、先にサポートへの回答が一言あれば顧客の不安が解消され完璧でした。
このようなトラブルへの対策としては「クレジットカード決済を避ける」というのが一番の解決策になってしまうといえばなってしまうのですが、それはハサミが危ないからハサミを使わないというような短絡的な発想になってしまうため、本稿ではあえて別の解決策を提案することにします。
国内決済に切り替える
前回の記事でも書きましたが「クレジットカード(国内利用)」などであればトラブルが発生しても国内でのサポートが受けられます。次回同じような問題があった場合でも、しっかりとした日本語でやりとりできるので安心感が違います。ただ、毎回の入力が発生するのは若干手間かもしれません。現金決済にする
コンビニ払いにすれば手数料が若干割高ではあるのですが、現金のみでゲームなどが購入可能です。過去に一度仕事で利用したのですが、支払後の適用もかなり早いため現金のみで完結したい方にはオススメです。ただ、コンビニが遠い場合はちょっと面倒かもしれませんが……。
とはいえ、今回の障害はどの方法であっても起きうる可能性があったでしょう。筆者は今回、ゲーム一つの購入だけが原因であり他には大きなトラブルはなかったのですが、『Apex Legends』のユーザーがこれに関連しサーバーから弾かれた、という情報も聞きましたので、そういった方々も含め、皆のトラブルが円満解決に向かうことを願っています。