気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Sneaky Yak Studio開発、PC/Mac向けに6月16日に正式リリースされた魔法学校運営シム『Spellcaster University』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ファンタジー世界で魔法大学の学長として運営を行うシミュレーション。学校を作り、予算を管理し、先生の募集などを行いますが、どのような学校になるかは手札のカードから選ぶことになります。必然的に、プレイする度異なる学校になるため、高いリプレイ性が特徴。日本語にも対応済みです。
『Spellcaster University』は、2,570円(6月23日までは20%オフの2,056円)で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。
Julien Nigon氏(以下Julien)Julien Nigonです。妹のCosette Nigonと一緒にSneaky Yak Studioを設立しました。私はフランス・トゥールーズに住んでいます。ゲーム開発を始める以前は、物理学とコンピュータ・サイエンスを学び、人工知能に関する論文を書きました。本作では、ゲームデザインとプログラミングを担当しています。
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Julien人工知能の論文を書き終えたのが2017年の秋で、当時私は次に何をやろうかと考えていました。カートゥーン業界でコンピュータ・グラフィック・アーティストとして活躍しているCosetteは、キャリアの転身を考えており、私たちは2人で能力を合わせ、ゲーム業界に飛び込もうと思い立ったのです。こうして、私たちは本作の開発をスタートさせました。
――本作の特徴を教えてください。
Julien本作は魔法学校マネジメントゲームです。プレイヤーは学校を建て、その管理を行います。私たちは2つの点から、本作を他のマネジメントゲームと差別化しようと試みました。
1つ目は、高いリプレイ性のあるカードをベースとしたシステムです。本作でプレイヤーは、様々なデッキからカードを引くことで資源集めを行います。カードを引く際、3枚のカードの中から1枚だけを手札に加えることが出来るのです。それぞれのカードが、部屋を作ったり、アーティファクトを設置したり、生徒のための装備をアンロックしたり、といった異なる効果を持っているのです。
2つ目は、マネジメントゲームとしては各プレイの展開が早いという点です。しかし、プレイヤーが育てた生徒はプレイヤーにボーナスを与え、キャンペーン期間中には蓄積されていくという要素もありますよ。
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――本作が影響を受けた作品はありますか?
Julien私たちはたくさんのものからインスピレーションを受けています。ここではいくつか例を挙げますが、中には本作との関係がわかりにくいものもあるでしょう!
ゲームプレイ面ですと、多くのマネジメントゲームから影響を受けています。昔のものですと『テーマパーク』『ザ・タワー』『ダンジョンキーパー』、最近のものですと『トロピコ』シリーズですね。しかし、マネジメントゲームではないゲームからの影響もあります。例えば、『FTL: Faster Than Light』『King of Dragon Pass』『Slay the Spire』です。
本作を実際にプレイしていただいた方たちは、本作がこれらのゲームと似ていると感じないかもしれませんが、ゲームシステムや各ゲーム要素でこれらの特徴を見つけることができるでしょう。
世界観や全体の雰囲気は、テリー・プラチェットの作品からとても大きな影響を受けていますし、もちろん「ハリー・ポッター」からの影響もあります。ファンタジーファンの方々に向けたゲームを作りたいと思っていましたので、「指輪物語」『Warcraft』『ダンジョンズ&ドラゴンズ』からの影響も明らかでしょう。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Julien開発チーム全員がテレワークをしていますので、コロナ禍の運営もかなり楽にできました。もちろん、生活の質(QOL)には影響があり、仕事でのパフォーマンスにもそれが影響したと思います。とは言え、開発への影響はかなり小さかったと言えるでしょう。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?
Julienまったく問題ありません!正直、私たちのような小さなスタジオにとって、配信者の皆さんは私たちの作品を多くの人に知っていただく大きな助けとなっています。ですので、もし配信者の方がこれを読んでいましたら、遠慮しないでくださいね。それに、公式サイトからご連絡いただければ、本作のキーをご提供できるかもしれません(ただ、実際の配信チャンネルを確認できるようにお願いいたします。たくさんスパムが届いておりますので)。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Julien2019年に早期アクセスを開始したとき、すぐに1人の日本人配信者から連絡があり、日本語版は出るのかと質問されました。残念ながら、当時は予算がなかったことから実現しなかったのですが、本作の翻訳についての問い合わせはあれが初めてでした!バージョン1.00となった今、本作は日本語にも対応しています。本当によくここまで来られたなと思います!日本の皆さんにも、ぜひ本作を気に入っていただけると嬉しいです!
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に400を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。