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PCゲームの世界最大プラットフォームSteamを有するValveが、携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」を一部地域向けに2021年12月に、それ以外の地域向けには2022年に発売すると発表しました。そこで本稿では、「Steam Deck」と他ハードとのスペックを比較し、最新のAAAタイトルの実行にも十分なパワーを発揮するという本機のポテンシャルを見ていきます。
4コア/8スレッドのCPUを搭載、据え置きハードにも劣らぬGPU性能も
据え置きタイプには劣るものの、動作周波数の高い4コア/8スレッドのCPUを搭載。各社ともにカスタムされたものが主に搭載されているため、直接的な比較は困難ですが、十分な性能を発揮しそうです。
Steam Deck: AMD APU Zen 2 4c/8t、2.4~3.5GHz
PS4: Single-chip custom processor x86-64 AMD “Jaguar”, 8 cores
ニンテンドースイッチ: NVIDIA社製 カスタマイズされたTegraプロセッサー(非公表)
また、PS4にも劣らぬ性能のGPUも搭載しています。
Steam Deck: 8 RDNA 2 CU, 1.0~1.6GHz(最大1.6 TFlops FP32)
PS4: 1.84 TFLOPS, AMD Radeon based graphics engine
ニンテンドースイッチ: NVIDIA社製 カスタマイズされたTegraプロセッサー(非公表)
LPDDR5を搭載し、高速な動作を実現
Steam DeckではLPDDR5を搭載。PS4のGDDR5と比較すると性能差はあるものの、携帯機においては十分ハイスペック。
Steam Deck: 16 GB LPDDR5 RAM(5500 MT/s)
PS4: GDDR5 8GB
ニンテンドースイッチ: 非公表(ただし、HACモデルが4GBのLPDDR4を搭載とiFixitの報道、HADモデルが4GBのLPDDR4Xを搭載とEurogamerが以前に報道。いずれも非公式です)
高速大容量のNVMe SSDも搭載できるSteam Deck
ゲーミングPCでも搭載されることが多くなってきたSSD。Steam Deckでは、その中でもより高速なNVMe SSDを、一番廉価なモデルを除き標準搭載。もちろん後から容量が拡張可能なようにmicroSDスロットも搭載しています。大容量のゲームでもロード時間に悩まされることはなさそうです。
Steam Deck: 64 GB eMMC(PCIe Gen 2(1枚)) / 256 GB NVMe SSD(PCIe Gen 3(4枚)) / 512 GB高速NVMe SSD(PCIe Gen 3(4枚))
PS4: 500GB/1TB
ニンテンドースイッチ: 32GB
少し短い動作時間が気になるかも
Steam Deckの動作時間は2~8時間。ニンテンドースイッチと比較すると少し短めなのがユーザーによっては気になる点になるかも…。現時点ではSteam Deckの充電時間は不明です。
Steam Deck: 40Whrバッテリー。2~8時間のゲームプレイ
ニンテンドースイッチ: 約4.5~9.0時間
Switchと比べると一回りとちょっとぐらい大きいSteam Deck
搭載されているディスプレイサイズがニンテンドースイッチが6.2インチ、Steam Deckが7インチのため、多少大きくはなるものの、それ以上に大きくなっている本体サイズ。厚みは約3倍ほど。
Steam Deck: 298mm x 117mm x 49mm
ニンテンドースイッチ: 239mm x 102mm x 13.9mm
筋トレ必須?重すぎるSteam Deck
携帯機では規格外の重さを誇るSteam Deck。長時間のプレイを快適にするためには、何らかの対策が必要になりそうです。
Steam Deck: 約669グラム
ニンテンドースイッチ: 約297g(Joy-Con取り付け時:約398g)
Steam OS?Windowsのゲームは動かないの?いえいえ「Proton」が解決します
Steam Deckに搭載されているOS、Steam OS 3.0。実はこのOS、LinuxベースのOSとなっています。「じゃあWindows向けのゲームは動かないの?」と思う方もいるかも知れませんが、必ずしもそうではありません。Steamには、WindowsのゲームをLinuxでそのまま動かすための“コンパチビリティレイヤー”として「Proton」と呼ばれる機能がすでに実装されています。
この「Proton」によって多数のゲームがすでにプレイ可能であることは実証されており、ユーザーにより作られたデータベース「Proton DB」などでは多種多様なタイトルが動作することを確認可能です。欠点としてOSと紐付いたり、OS標準の動作が要求されるアンチチートとの相性が悪い部分がありますが、Steam Deckの公式サイトではそれらを搭載するゲームを動作できるようにするため、Valveが改善に動いているとの情報も。
また、Steamで販売されてないタイトルにも「Proton」を適応させることは可能である他、今回のSteam Deckにあわせ、より容易にそのような利用が可能になるよう、さらなる改善を見ることもできるかも知れません。OSを入れ替えられる旨も公表されているため発売後、WindowsにOSを入れ替える方法もすぐに各所で研究されるだろうことを考えれば、ゲーマーたちがOSを欠点と捉えることなく、自分たちのすでに持っているゲームや、今後購入するゲームを遊ぶことができそうです。どうしても表現の基準などが原因でコンソールでは遊べないタイトルが存在することを考えれば、この互換性はコンソール機に対してのSteam Deckの大きな強みになることでしょう。
Steam Deckは一部地域向けに2021年12月に発売予定、それ以外の地域は2022年発売予定です。
UPDATE(2021/07/16 14:02): ニンテンドースイッチのRAM容量が海外報道で明らかにされているものの、任天堂からの発表はなく非公式である旨を追加しました。