気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Overseer Games開発、PC向けに8月11日に正式リリースされたサバイバル街づくりシミュレーション『パトロン(Patron)』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ソーシャル・ダイナミクス(社会動学/社会動態学)の要素を盛り込んだサバイバル街づくりシミュレーション。街の指導者であるプレイヤーは、街の建設だけでなく、階級、移民、宗教、健康、治安、忠誠などと言った様々な社会問題に対処する必要があります。日本語にも対応しており、本作の日本語訳は、チーフ・プログラマーの日本人の奥さんが担当しているとのことです。
『パトロン』は、2,050円(8月18日までは10%オフの1,845円)で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Mario Nemec氏(以下Mario)Overseer Gamesの中心メンバーの1人、Mario Nemecです。私たちは新たに結成された開発チームで、本作がデビュー作になります。
私は子供の頃からずっとゲーマーで、あらゆるジャンルのゲームをプレイしてきました。ただただバーチャルな体験が大好きなのです!私がインスピレーションを受けたゲームには、都市建設ゲームとコロニー建設ゲームという2つのタイプがあります。これらのゲームでプレイヤーはクリエイティブになることができ、目標を達成するということにやりがいを感じますし、暴力や破壊は必要ありません。そのようなゲームの中でも、特に初代『The Settlers』 『ストロングホールド』『Sid Meier’s Colonization』『Anno(アノ)』から影響を受けてきました。しかし、もし自分が一番好きなゲームを1本だけ選ぶとしたら、初代『Sid Meier’s Colonization』でしょう。
――本作の開発はなぜ始まったのでしょうか?
Mario私たちは何年間も様々な都市建設ゲームをプレイしてきましたので、自分たちでも同じような体験ができるものを作りたいと思ったのです。プレイヤーの方たちには、自分たちの作るものにあらゆる面で関われるようなゲームにしたいと思いました。これはつまり、ただ都市を建設するだけでなく、社会の成長に合わせたニーズに応えたり、社会階級のバランスを取ったり、時には政治的な決定もしなくてはいけないということです。
――本作の特徴を教えてください。
Marioもちろん「ソーシャル・ダイナミクス」システムです。これはつまり、都市が大きくなるに連れ、様々な異なる試練に直面するということを意味します。最初の方は人も少なく、プレイヤーは主に食料や薪、家と言った生き残るために最低限必要なものを確保する必要があります。しかし人口が増えると、人々は4つの異なる社会階級を作り始めます。そしてそれぞれの階級には異なるニーズが生まれてきて、移民、宗教、治安、教育などといった様々な問題へのスタンスも各階級によって異なるのです。
プレイヤーがこの段階に到達すると、彼らの特定のニーズにしっかりと応えることが重要になってきます。しかし一つの階級にとって利益となるものでも、他の階級にとっては危険なものである可能性もあります。労働力が足りなければ、移民を奨励するという方法で問題を解決できます。紳士階級の人たちはこれで満足かもしれませんが、農民階級は怒って暴動を起こすかもしれません。これらのバランスを取りつつ、生産性の高い社会を作っていくのがプレイヤーの役割であり、それには長い目で見た計画や直接的な命令が必要になってきます。
私たちとしては、このような体験自体が本作をとても特徴的なものにしていると思います。都市が大きくなるにつれ、次はどんな問題が出てくるのかわかりません。プレイヤーは建設者と政治家という役割を同時に行わなくてはならないのです。
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――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
Mario程よいチャレンジが好きな人にプレイしてもらいたいですね。本作は複雑で、ゲームを進めるにつれ進化していきます。予想もしなかったイベントが発生したら、それを分析してクリエイティブな解決方法見つけることを楽しめる人は、本作も気に入っていただけることでしょう。また、本作は他の都市建設ゲームと比較的似たようなシステムを採用していますので(『Banished』『Kingdoms Reborn』『Anno』など)、そのようなゲームが好きな人にも興味を持っていただきたいですね。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Marioある程度は、『Banished』『Sid Meier’s Colonization』『Sid Meier’s Civilization』『Anno』『The Settlers』のようなゲームから影響を受けています。これらのゲームはどれも素晴らしく、これらの作品のプレイヤーたちにも遊びやすいようなゲームを作りたいと思いました。本作は複雑なゲームですので、遊び慣れたシステムや操作方法を採用することで、本作独自の要素に早く慣れていただきたいと思ったのです。このジャンルのゲームをよくプレイする人であれば、これらのゲームからの影響を垣間見ることができるでしょう。
『Sid Meier’s Colonization』からは本作の舞台と本土との交易部分で影響を受けており、『Civilization』は本作のリサーチシステムに影響を与えています。『Anno』はソーシャル・ダイナミクス、『Banished』はわかりやすい建物の建設システムという部分で影響を受けました。本作では、これらの要素が実に上手く機能していると思っています。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Mario新型コロナの開発への影響は限定的でした。パンデミックが長期間続いていますので、開発の一部はこれまでと異なる環境のもと行わなくてはならなかったのです。新しい挑戦ではありましたが、私たちは可能な限り順応することができました。ここクロアチアでは、2020年の秋から今春にかけてが一番大変な時期でした。その間、多くの開発チームメンバーは自宅から作業をしなくてはならなかったので、コミュニケーションはいつもより難しく、本作を披露するはずだった国際的イベントにも参加できませんでした。しかしなんとか状況が改善するまで耐えることができ、こうしてゴールまで辿り着くことができたのです。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?
Mario問題ありません。作曲家であるNikola Jeremicの作った素晴らしいクオリティのサウンドトラックを誇りに思います。彼のおかげで、YouTubeでの収益化に関する障害も取り除かれました。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Mario日本のプレイヤーの皆さんからのサポートに感謝いたします。パンデミックが収束しましたら、東京ゲームショウに私たちのゲームを出展し、日本のプレイヤーの皆さんに直接お披露目させていただきたいと思っています。それまで、どうか本作を楽しんでくださいね!
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に400を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。